女神に拾われた子供と男。
出会い頭に頭が吹っ飛んだような衝撃が走った。
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夏。
天気は晴天。冒険日和。
冒険者である『ガルガ』は雲ひとつない空を見上げた。
「今日の仕事は…、と。」
ガシャッ。と荷物をこれでもかと詰め込んだバックを腹の前に移動させると中に手を突っ込み、グシャグシャになってしまっている煤けた紙を空にかざした。
「……お、でてきた。んーと、…今日はバンザリーか。」
煤けた紙は日の光を浴びると白みを帯びていき次々と地図を浮かばせる。
その中にある赤い×印を見つけるとガルガは呟きながら西の方角を見た。
見えるものは黄色い砂ばかり。
暑すぎる日差しに大量の汗が額にのっていく。目に入る寸前で汗を拭った。
ハァ…。とため息をつくと今度は小さなボトルを取り出す。
中に入っている液体を軽く混ぜ、蓋を開けると一滴…砂の上に垂らした。
ザザザザザザザザザザァッ!!!!
砂に落ちたと同時にその場から緑が映える。
そこからどんどん広がっていき、先程まで見えていた全ての黄色が緑へと変わっていく。
「こんなもんか。流石に『イエザート』を一日中歩き回る訳には行かねーしな。」
緑の森へと変わった砂漠は先程までとは違い涼しげな風が吹いている。
周りを見渡せば空を覆うほどの枝と葉を広げる木々たち。
樹木から出ている樹液を手に取りペロリと舐めると先程までの疲れがなくなった。
「流石、『マーザグス』から摂取しただけはあるな。疲れが癒える。」
ガルガは一時の休息を取ることにした。
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「ふぅ、久々の風呂(?)だな。気持ちがいい。」
ガルガは近くにあった小川で身体の汗を流し、口笛を吹く。
何処で覚えたのかも分からない音色はガルガの心を落ち着かせた。
さて、もうそろそろ行かないとな。と川から上がり服を着る。
ここに置いた荷物はと手に取ろうとする…が。
「え。」
手に取れなかった。
そこにはガルガの荷物をしっかりと抱き抱え、人を射殺せるような視線を送る子供がい…――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――…。