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3時間目:悩み

 昼食を食べ終えた俺たち3人はとりあえず解散することにした。謙也と七斗は学園郊外にあるテイマーショップに行くらしい。好みのパートナーが見つかるといいのだが…。


 一方、俺は図書館に向かっていた。育成対象パートナーを決めるためだ。


獣使いビーストテイマーになるって言ってもなあ…。図書館の図鑑になんかカッコいいヤツ載ってるといいなぁ」


 俺が向かっているのは、東京国立図書館だ。国内有数の図書館で、100万冊近くの書物を所蔵しており、その中には当然動物関係の本もある。というわけで、そこからお気に入りの動物を探そうっていうのが俺の魂胆である。


「まあ、動物なんて沢山いるんだし1匹くらいはハコモン(ボックスモンスターの略称である)みたいなヤツいるだろうしな。よぉ~し、漁りまくってやるぜぇ!」


 そして2時間後、俺はがっかりした表情で図書館を出た。ちょっといいなぁって思うやつはいたのだけれど、いまいちピンと来なかった。心の底から「こいつだ!」と思える奴がいなかったのだ。


「いくら2週間あるとはいってもなぁ…。選り好みしている場合じゃないのかな…」


 ちなみに俺の理想とするのは「ハコモン」のゲームの中で博士から貰える御三家の内の1匹、「ホノオワニ」の最終進化である「バーンレックス」だ。つまり、ドラゴンみたいなヤツだ。といっても、そんなのが現実に居ようものなら今頃は怪獣大戦争でも起きているだろう。


「俺もシルヴィア博士からホノオワニ貰いてえなあ……」


 ため息交じりに独り言をぼそっと呟く。周囲に人がいなくて良かったと俺は思った。もしもこの独り言を聞かれていたら、間違いなく痛い人だと認定されていただろう。


 そんなことを考えながら学生寮に帰る途中で、俺は大きな木を見つけた。高さ30Mはあるだろうか、遠くからでも一目で判る見た目だ。


「『龍樹』っていうんだ。大きな木だろう?」


近くにいた中年の男が話しかけてきた。


「少年、君って御旗(みはた)の新入生だろ?」


「分かるんですか?」


「俺もあそこのOBだからな。嫌でも分かるさ」


「そうですか……」


「どうしてため息混じりに言うんだよ!もしかしておっちゃんの話、つまらなかった?」


「いや…違うんですよ。パートナー探しが難航しておりまして…」


「ふぅーん…。」


男は黙り込んでしまった。ここのOBなのだ、2週間休学の規則は知っているだろうし、俺みたいな優柔不断な奴は毎年見ているに違いない。


「難しく考えすぎなんじゃないかな?」


「自覚はあるんですけど…」


「俺は君みたいな奴を毎年見ているが、大体のやつは獣使い(ビーストテイマー)になることしか考えてない奴ばっかりだ。君も多分そうなんじゃないかな」


図星だった。俺が獣使い(ビーストテイマー)を志したのは、テレビで見たプロの獣使い(ビーストテイマー)のバトルを見て憧れたからだ。


「はい…その通りです。ここに入って獣使い(ビーストテイマー)になることしか考えていませんでした。」


俺がこう言うと、また男は黙り込んでしまった。しかし、すぐに口を開いた。


「まあ、深く考えすぎるなよ。意外と答えっていうのは近くに有るものなんだぜ?…見えるだろう。あそこの龍樹の麓には神社がある。あそこでお祈りすれば答えが見つかると思うぜ」


「……なんか投げやりじゃないですか?」


「うるせぇ。お前みたいな奴は神頼みしときゃ充分なんだよ!」


「何ですかそれ…。でも、ありがとうございます。俺、そこに行ってみます」


「おう!期待しているぜ、未来の獣使い(ビーストテイマー)!」


そう言うと男の人は去って行った。まるでRPGで主人公にヒントをくれる村人みたいな人だな。そんな事を俺は思った。


アドバイスの通りに、俺は龍樹の麓にある神社に行くことにした。



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