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エロゲ―の悪役に転生したらしい  作者: ゴロフォン
本編
4/21

迷宮探索実習についていった時の話。

 冒険者育成をする、というのなら避けては通れないイベントがある。

 迷宮探索実習だ。

 必ずしも学園を出て迷宮を潜る必要というものは無いわけだがそれでも教育水準の高さを売りにしている冒険者の学校が冒険者の仕事の一つである迷宮探索を学習させていません、なんていうのは格好悪い。だから一応基礎実習だけは必修になっている。付与術はここ一年は全生徒必修にして生徒の能力上昇効果の有無を見た後必修にするか選択制にするか決めるらしい。個人的には楽そうな選択制一択だ。

 新任教師といえど必修科目の担当をしているとこういう場にも引率として一応連れてこられる、というより思っていた以上にファラが優秀でこれなら、と割り振られた。仕事が増えたともいう。



「はい、皆さん。揃っていますね。三年生の皆さんは今回で5度目の迷宮実習となります。もう慣れた、と思われているでしょうが冒険者のもう慣れた、は死を呼び寄せる死神になるので気を引き締めて行きましょう。入口には私達が待機していますが、今回の迷宮の危険性はあくまで実習用なので『枯れた』迷宮、つまり低いと言えますが本職の方のそれよりは低いとはいえ魔物は発生しています。つまり命のやり取りする場所です。油断していたら死ぬことを頭に入れて気を抜かずに探索しましょう。今回の実習の課題は……」


 ファラが長々と説明している横で俺は持って来ていた刻印石を活性化させていた。危険度が低いとはいえ命を落としかねないのは間違いない。なので加速刻印と筋力強化刻印を刻んだ石を各生徒に配布しているのだ。いざとなったらダッシュで怪我人担いで逃げろ、という意味だ。転移刻印はいしのなかにいる、が起きかねないので無し。それでも死んだら仕方ない。毎年これより性能が低い防護刻印石を配っているらしいが死者が10名くらいは出ているらしい。不思議な事に成績最下位の5組ではなく、3,4組に死者が多かった。曰く、5組は自分が弱者だとこれ以上ないほど思い知らされています。だから逃げることに躊躇いが無いのです。まあ他のクラスと違って迷宮低層にしか行かないから危険が少ない、ということもありますけどね、とファラと仲良くなった女教師のミレさんがファラに言っていたそうだ。



 今回の迷宮実習はもう一つの目的がある。迷宮の魔物掃除だ。迷宮にはどういう原理か分からないが魔物が発生する。一説によると迷宮自体に闇の神の加護が与えられているのだとかいう説があるが、それによって発生する魔物を駆除せず放置しておくとある現象が起きる。

 活性化。迷宮の最奥に守護者が現れるのだ。ついでに迷宮に核が生まれ罠も新生され危険な迷宮に逆戻りしてしまうのだ。さらにそれを放置すると大きな魔物が発生する。通称爵位もちと言われるそれら基本少数で遭遇したら即死亡だ。奴らは危険で上位の公爵級は国をも滅ぼせるのだ……と王級個体を倒した後で欄外専用受付の人が言っていた。国をも滅ぼせるレベルとかお前最初ちょっと街が滅ぶレベルですよって言ってたじゃねえか、と怒ったのは覚えている。メイド時代から俺を怒らせることなら天下一品の奴だと思う。嫌な縁だ。



 まあ欄外の俺がいるので戦力的には実は何かあっても問題ない。ただ、他人を守れるかどうかというと全く自信は無い。パーティなんて固定で組んでいた事なんて一度も無いからな。自分なりに努力はしたが連携というものを最後まで俺は学べなかった。非常に難易度が高い作業だった。前世のコミュ障の記憶がたぶん悪い。



「準備できた?」

「出来た。ほれ、全部活性化させておいた。効果も問題ないはず。3日くらいは持つだろ」

「相変わらず出来は良いよな、これで社交性と基礎知識と指導力と顔さえよければなぁ」

「殆ど全部じゃねえか」


 無いものねだりをするファラは放っておいて生徒に一応配布しておいた。

「本当刻印の腕は結構いいんですよね補佐先生」

「教え方は全然だけどな」

「頭が悪くても刻印は出来るんですね」

 酷い言い草で正直つらい。ただ授業などで格好いい姿を見せた覚えは無いから仕方は無い。


「俺だってそれなりの冒険者やってたんだぞ」

「へぇ。単独ですか?」

「三位一体で行動していたさ」

 スラーさんとジュタンさんと俺の三位一体で。

「ええっ! 補佐先生と組んでくれる人いたの!?」

「同じくらいレベルの低い人と組んでいたんでしょう」

 酷い扱いだ。だが思い返すと教師らしい姿も有能そうな姿も見せた覚えが無いので仕方は無い。帰りたいな。そしてスラーとジュタンを悪く言うな。2組とはいえ学生のお前らより遥かに強いんだぜ。

 と大人げなく言うとファラが生徒に張り合うとは何事か、と怒り狂うのが目に見えていたのでははは、そうだなと笑って流しておいた。



「では行ってらっしゃい。ただいま、ってちゃんと言いに来るんですよ?」

「はーい」

「この迷宮から帰ってきたら先生と」

「早く行って来い」

「は、はい!」

 罵倒されていたのに妙に嬉しそうな表情をして旅立った生徒もいたがとりあえずは全員送り出せた。地下10階までの迷宮で上位のクラス程潜る階層が深くなるらしい。確か1クラスは10階の最下層だったか。もちろん下見済みだ。だが道はファラが覚えているならいいやと思って覚えなかったので詳しい地図も朧げだ。地下迷宮なら壁を貫通させれば下に行けるんだから道覚えなくても問題ないな! と言って白い目で見られたのを思いだす。壁貫通で闇の神の呪いが降りかかるとか呪い抵抗最高で効かないんだ、身体再生能力持ちで怪我の心配いらないんだ。魔神三体と同化したから魔力馬鹿高いんだ。お前が大丈夫でも俺らが行けないだろ……そうだった。

 ……後はそれを有効利用できる頭の良さを魔神がくれれば問題なかった。それは最も難しい希望だな、とはどの魔神の言った事だったか。素体の質は最高だが魂の質は酷くて精神、知能の上昇は見込めない云々と言っていた覚えがある。まあこの世から成仏してしまわれたので聞き直すのは無理だが。



 あとスラーとジュタンは置いてきた。というより連れて行こうとしたら教師がそんな楽をしてどうするんですか。生徒に今のうちから楽を覚えさせるのは碌なことになりません、とファラと仲のいい件の女教師に禁止されたのだ。皆にスライムの凄さを見せる良い機会ののはず。冒険にはスライムは非常に役立つのだというのをこの目で確かめるいい機会じゃないですか、と言ったら確かにスライムは長旅に非常に便利で飼育している生徒も多いです。ですが苦労して怪我をしながら探索して帰って来て、外に出たら生徒を引率する教師がスライムの家で快適に過ごしているなんて光景見たら、どうなるか分かりますよね、と低い声音で諭された。教師は生徒にだらしない姿は見せてはならない。分かるが正直つらい。スラーとジュタンは大丈夫だろうか。転移刻印持たせて危なくなったらこっちに来るようには言ってあるが誘拐などされていないだろうか。まあ二体とも上級冒険者数十人分くらいの強さはあるし学園の敷地内だから大丈夫だとは信じたい。俺より力の使い方が上手いから問題ないはず。



「大丈夫かな……」

 着任する前は教師をやることにどちらかと言えば消極的だったのに何だかんだで半年も教師として生徒を見ていれば生徒が心配にもなるらしい。どちらかというと俺は俺の今でも一応所属しているギルドでは冒険者は迷宮に潜ったら一人二人は死んで当たり前、という雰囲気だったからまあ何人かは死んで帰ってくるんだろうな、と酷い事を考えているわけだが。ふむ、そうか。ファラのためにも少しくらいやる気を出させるかな。

 刻印石を取り出す。これは伝達の刻印石で主に声を増幅して拡声器のように使う、あるいは遠くの相手に声を届けるのが基本的な効果だ。あるいは少し調整すれば1対の石限定で合計十数分程お互いに連絡が取れるようになる、という事も出来る便利な道具だ。刻印は属性問わず基本何でも出来るのが俺だ。後は使う頭さえあればもっといろいろな効果が出来た。細かい部分を詰めるのがどうしてもできず効果が大雑把になってしまうからたぶん宝の持ち腐れ状態になっている。それでこそ身体がこの世界で最高峰なのだろうよ、と誰が言ったか。最高の体に最低の頭脳。これで釣り合いをとっているのだ、と。もし頭も優れていれば今頃世界を支配していただろうさ、とも魔神の誰かは言った。


 その最高の素体で

「生きて帰ってきたらファラがパンツ見せてくれるって言っていたぞ―――――――」

 と迷宮に向けて全力で声を伝達した。


 良くある火球のやり取りをしたが効果は絶大で恐ろしいことに全員が帰って来た。というより負傷者がきちんと無理せず撤退して来た。最悪な事を叫びましたがおかげで無謀な行動をしやすい3,4組が先に進む欲望よりも無理せず戻って人気のあるファラさんのぱ、ぱんつを見たいという欲望が勝って今年は死につながるような無茶をする生徒がいなかったのでしょう、とゴミを見る目で女教師の人が言った。ファラは怒り狂っていたが約束は約束、という事と安全に帰ってきたことに安堵もあったのだろう。顔を真っ赤にしながらもきちんと約束は守った。歓声は上がったが代わりにその後俺は引率の女教師三人にぼこられた。


 代わりに有難う! と男子生徒と極一部の女子生徒にお礼を言われたのが唯一の救いか。










ロリ普乳のぱんつの叫びは上位には白い目で見られています。ただ普通に優秀なので怪我は無かったから生還には問題なかった。

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