蒼炎の女
勇者一行は魔王を倒しました。
勇者と見目麗しい仲間達はまた会おうと言ってそれぞれの道を歩み始めました。
勇者と仲間たちの絆は永遠に切れないでしょう。 ―勇者物語エピローグ
「あたしはオーズで傭兵やってるリザ。蒼炎なんて呼ばれてるね」
赤い髪で黒い肌、野性的な、だがやはり見目麗しいはちきれんばかりの巨乳の女はそう言った。後……妊娠してるな。たぶんヒッジの子じゃない。
「財産いらないって言いに来たんだけど子供達の為に必要かもしれないと迷ってはいるよ」
「本物ならどうぞ。ですが」
「本物だよ。ギルドの奴が蒼炎のリザだって証明してくれる」
背中に差していた巨剣をおもむろに抜くと短く呪文を唱えた。
蒼い炎が剣の周りを巡っていた。
「由来だよ。証明になるか分かんないけど」
「結構です。おそらくはほぼ確定ではないかと判断しました」
「ありがと、でもうん、やっぱり金は良いや。後で返せなんて言われても困るし面倒事に関わりたくないしさ。ヒッジの子もいるしこの国に関わる気は無いよ。ま、今回来たのは一応墓に手を合わせに来たってことになるかな」
墓はどこ? と聞く彼女に後で案内しますよ、と言った後聞いてみた。
「ヒッジとはどういう経緯で関係を?」
「ん? 途中まで勇者一行の一人だったよ。女ばっかりでさ、実質ただのあいつの夜の相手の集まりだったよ……だから嫌だったんだけどさ」
「え?」
「あたしは戦士だよ。女でもあるが同時に戦士なんだ。そういう役目しか求められてないっていうのは嫌で仕方なかったさ。だから腹が膨らんで子供が出来た事が分かった時もうついていけないって言って抜けたのさ」
うん、ヒッジ。お前はちょっと女の扱いは考えるべきだったと思うんだ。社交性皆無の俺と大して変わらないじゃねえか。
「まあ子供は大事さ。ただヒッジの事を今でも好きかっていうと全然、って答えるね。今分かると思うけど妊娠しててね。あたしの今の旦那は私よりちょっと……いやだいぶ弱いけどさ。私の隣で戦ってくれる。私と戦士としても向き合ってくれる。だからあいつだけの私でいたいからヒッジの物はいらないかな」
「そうですか……」
嫌な予感がした。いや、俺がではなくヒッジがかわいそうなことになる予感が。まあ死んだんだし可哀想も何もないが。
「二人目もいらないってヒッジ……あの子女抱きまくってても女の子にモテてなかったんですねぇ」
どういう顔をして良いのか分からないのだろう笑顔のような泣き顔のような同情のような表情を浮かべてレジナが言った。
「あいつがせめて十人、十人まで絞ればまだ愛想つかされることも無かったんだろうが。あと、ちょっと盛りすぎたか」
「女は浮気に良い気はしないですよー」
「だなぁ。まあ俺には縁が無かったから問題ない」
「何だかんだで私の知る限り誰とも付き合ってませんよねぇ。人付き合いそのものが殆どないですけど」
「まあな。まあ新しい女はもう良いさ。俺でも良いと言ってくる奴らはあいつらしかいないと思うしな」
「私もありかも知れませんよー」
「冗談は胸だけにしておけ」
巨乳好きは俺の血かと巨大な炎を目の前にしながら思った。ファラもリースも18になったら普通に巨乳だったんだよな。ファラは全く背は伸びなかったが。