やって来た153人の女達 ミル・ネージュの面接
「まあ、まずは世界に情報を出すことになるのか」
「ええ。アレメシアのミリシアの街のミル・ネージュ。イグナトのラシャの村のマルカ。ウォルラトのレガの街のムナ・ナジカ。エルフォの首都アーマサラスのネリー。オーズの傭兵の蒼炎のリザを探しているというのをギルド通して世界に拡散しますかね」
「全員国違うとかどういうことだよ」
「関係持った女の子は100人じゃ効かないんじゃないかな。あの子は」
「そうか。まあまずはミル・ネージュ。マルカ。ムナ・ナジカ。ネリー。リザという5人の女を探しているとだすか」
「そうですね。ミル・ネージュ。マルカ。ムナ・ナジカ。ネリー。リザという5人の女を探しているとだしましょう」
何となく予想はしていた。してはいたのだが
「153人か……」
「これ、どうしますか」
正直困った。他の子孫にビッジの女の事聞ければ良かったのだが皆、会う度に違う女連れていたから覚えていない、だった。遊び過ぎだろうビッジ。仲が悪いから交友関係も皆さっぱり。つまり153人からいるかいないか分からない本物の五人を探さないといけないのだ。
「まあ、面接をしましょうかー」
「まあ名前だけ、出したからな」
まあ100人くらいはここで切れるだろう。こういうのはヒッジの親父の仕事なんだろうが
あの親父も継承後に腹上死していたので役目を代われる身元が分かるヒッジの身内がいない。
「まあ偽物もたくさん混じっているのは確実なので簡単に面接をしようかと思いまして。初めまして。ヒッジの叔父のオーレン・アクスターです」
「あ、えと初めまして。ミル・ネージュです」
「まず出身はどこの方ですかな」
「ウォルラトのルノの街で生まれて今、ルノの街で花売りをしています。あ、えと花売りというのは」
「分かっているので説明は結構ですよ」
アウト、と。
145人が偽物だと断定できた。調べてみると全員が経歴はでたらめで財産目当てに近郊からここまで来たという事だった。少しの金貨を持たせて帰らせた。実は伏せていましたが出身が書かれていましてね、皆さんの嘘はバレバレだったんですよ、というと殆ど皆が顔を青くしていた。まあそれでも食い下がる女もいたがもし、嘘だと証明された場合、勇者に対する虚偽の証言で死刑ですよ、というと流石に引き下がってくれた。
問題は残り8人だ。
「とりあえず本人の可能性があるのではないか、と判断しました」
「そうですか」
目の前にいる見目麗しい金髪の女。巻き髪は何故か貴族を連想してしまう。胸は大きい。8人のうち6人は胸が巨乳だ。巨乳趣味だったのだろう。ただ残り二人を見るに変態性癖もあるんだろうが。体型を隠していてもはみ出しそうな胸はきっと人目を引いたことだろう。
「もう一度出身を聞いてもよろしいですか?」
「ええ。アレメシアのミリシアの街のネージュ家のラズダンの長女、ミル・ネージュと申します。ネージュ家の長である父は現在ミリシアの街の長をやっていますわ」
「ありがとうございます」
「人数が絞れた、とのことなのでお話ししますが、今回ここに来たのは財産が欲しいからではありませんの。むしろいりません、と言いに来たのです」
「……理由を聞いても?」
「あの男の財産など女としてほしいとは思いません。私、いったい彼の何人の女のうちの一人ですの?」
目を見る。ヒッジに対する感情が見て取れた。うん、これは本物だ。だが、うん、ヒッジお前が思っているほど相手はお前を好きではないようだぞ。誠実さが足りてねえ。
「特別な五人には入っているようですがね」
「特別の割にミリシアの街でも私以外に4人も女がいましたけどね」
……そりゃ怒るよ。思わず首を振った。
「ですから私は辞退します。他の方に分けてあげてくださいな」
他の方も受け取るか分かりませんけど、という言葉を残してたった一人のミル・ネージュ候補だった彼女は去って行った。ヒッジ。お前女遊び酷過ぎだろう。