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十二話

 コンコン

 今朝の騒動で壊れそうな扉がノックが聞こえる。


「はい」

 返事をしながら、ベットから上体を起こす。

 すると父と母が入ってきた。

 父の姿はボロボロだが、笑顔を浮かべ。

 母はすっきりした様な顔をしていた。

 

「どうしたんですか。

 父さん母さん」

「様子を見にきたの。

 あの子はどうしたのかしら?」

「シリアが、お風呂に入れています」

「そうなの!

 それじゃ私も行ってくるわ」

「えっ」

 母は嬉しそうに部屋を出て風呂場に向かって行く。

 部屋には父と俺だけが残された。


「ルカ。

 すまないな」

 父が突然謝ってきたので顔を見ると。


「爺さん」

 前世で最後に見た爺さんの目と同じように見えてしまい、思わず呟いてしまった。

 何かを諦めたようで、嬉しそうなそんな感情を感じる。


「父さん。

 いきなりどうしたんですか」

「なに、今朝の騒動で色々迷惑をかけたからな。

 それを謝りたくてな」

 父はそう言うと、髪の毛をかき混ぜる様に頭を撫で回す。

 その様子は、何時もの暑苦しい父の姿だった。


「父さん、痛いです」

「おっと、悪かった」

 手を頭から離すと、笑顔で謝っていきなり不自然なほど距離をとった。

 何故、距離をとるのか聞こうとして。


「ルカ、動くな」

 そう言った瞬間。


 ドゴッ!

「おっと」

 いつの間にか少女が父の顔を殴りつけていたが、受け止められている。

 しかし、少女は受け止められた手を軸にして素早く蹴りを繰り出す。

 それさえも、危なげなく受け止める父。


「ははは、こりゃ凄いな」

「……」

 攻撃が止まる事ない少女と、笑みを浮かべながら全て防ぐ父の姿。

 信じられない光景が広がっていた。

 止めないといけないのに動けず、目も離せない。


「“阻害せし鎖”」

 突然、シリアの声が部屋に響くと、床から鎖が飛び出して少女を拘束した。


「そこまでよ」

 いつの間にか部屋にいた母がシリアと共に、父の側に近づくと。


「い、いやこれには訳が」

「シリア」

「“潰れゆく身体”」

「ぐえ!」

 父は言い訳しようとして潰れた。


「そのまま頭を冷やしてなさい」

 母は床に倒れこんでいる父にそう言うと、次は少女に向かう。

 鎖が今にも壊れそうなほど、暴れている。


「シリアお願い」

「“睡魔に襲われる”」

 シリアが再び言うと、今度は少女が倒れこんだ。

 思わず駆け寄ろうとして、母に止められる。


「大丈夫。

 少し寝てるだけだから」

「そうですか」

 母の言葉に安心した。

 とにかく、ひと段落したのだと思っていると。


「今のうちに、しっかりと契約するわよ」

「えっ!!」

 どうやら、まだ面倒ことはあるらしい。









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