十話(修正)
「隷属契約とは主従契約とは異なり一方的な契約なのです」
相変わらずの無表情でシリアは隷属契約について教えてくれた。
「どう言う事だ」
いまいち俺は理解できず質問する。
「つまり、主従契約でしたらどちらかが契約破棄を申し込むことができます。
正当な理由であれば破棄する事が可能です」
「申し込みだって。
一体誰にするんだ」
「教会に申し込みます
契約書を作っているのは教会ですから」
「教会が契約書を作っているのか」
俺は驚いていたこちらの絵本の中では教会は勇者や英雄等の手助けをしていて正義の味方と言える存在だからだ。
その教会が主従契約という契約書を何故作っているのか。
そんな事を考えていると。
「その事についてはいつか教えて頂けるはずです」
そう言われ教会の話はそこまでとなった。
俺はできれば教えて欲しかったが先に隷属契約の事について教えてもらうことにする。
「それでは、先程の続きですが....」
************
この後、俺はシリアとの質疑応答で分かった事を纏める。
隷属契約では従者では無く隷属者と言われ枷の、内容も変わってしまうらしいその内容とは。
一、契約を破棄してはいけない
二、主人を守護しなければいけない
三、命令には絶対服従
四、許可無く離れてはいけない
これらの四つになるらしい。
普通は主となるものが隷属させる人物に一方的な、魔法刻印を刻み付ける。
発動条件は魔法刻印によって変わるらしいが。
「恐らくですが、目が覚めた時に一番最初に見た人物の隷属者になるようになっていたようです」
俺の話を聞いたシリアは少女に刻まれた魔法刻印の発動条件を推測した。
契約が破棄出来るのか聞いてみる。
「出来ません」
「どうして」
「今回の魔法刻印が、高位の刻印かもしれないからです。
一度で解除出来ないと彼女が死んでしまいます」
「枷のせいなのか」
「その通りです。
隷属者である彼女には枷である『契約を破棄してはいけない』が働ます」
「他に方法は無いのか?」
俺はシリアに聞くが無表情のまま少し考えている。
なので期待して待っていると。
十秒程経った後にシリアは一言。
「無理です」
それを聴いた俺は期待していたので。
「......」
絶句した。