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第3話 始まり

部屋はまだ悲鳴が響きわたる。

一人のメガネをかけた青年が女子高生の傍に近づいてゆく。

赤い液体のでる肉の塊はピリピリと電流が流れている。

「言うまでもなく死んでるな」

青年の声は普通の人よりは冷静だった。

「ここは、あの声にしたがってここにいるのが得策だな」

「なに言ってんだよ!まだ罠があるかもしれねぇ〜のにこんなとこに居られるかよ」

中年のおじさんがいきり立ち叫ぶ。

「あの声の警告としては『けして扉にふれるな』ってのだけで、他に罠があるとは言っていなかった。」

「おいおい、そんなの信じるのかよ!」

「でも信じるしかない」

そういうと中年のおじさんは黙りこんでしまった。

メガネの青年は少し死体から遠ざかりその場に座る。

「確かあの声は一人一人が鍵のヒントをもっているって言ってた。それで、自己紹介をして欲しいとおもう、名前と今ある記憶を話してくれればいい。」

そう言うも誰も反応しない。

それを見かねて青年が話始める。

「オレは大津亘おおつわたる、ハッキリしないが確か最近までアメリカのほうに住んでいたきがする。それ以外の記憶はない。じゃあ次そのこ君」

亘と名乗る青年は秀を指差して言う。

秀は戸惑う。

「え、あっ、大幢秀・・・・なんつ〜かまったく記憶がないんです」

秀はハッキリと言う。

「そうか、じゃあ時計回りに名前を言ってくれ」

なんかあっさり切り返された。まぁこんな状況じゃしかたない。

秀は隣を見る。

━え〜と、オレの隣は・・・・顔面蒼白女だ。なんて名なんだろうな〜

とか思い頭のなかで想像を働かせていた。

「え、じゃあ次私・・・?私は時冬雪じとうゆき、十八歳、ん〜と、普通の私立高校に通っていて・・・・・・まぁそんなとこです。」

少女━雪は最後のほうはあまりハッキリとしていなかった。

雪はなぜか秀を見て微笑んだ。

━ん〜雪か〜、あってると言えばあってるな。でも、大人っぽいのにオレより一つ下とはな。

物思いにふけっていても話は進んでいた。

いま話してるのは、よく絡んでくる中年のおじさんだ。

和田慎二わだしんじ、ある会社の開発部にいた。言っとくけどオレには家族がいるんだ、だからオレはぜっていこんなところで死なねぇ〜」

やけに熱弁している。

次はやけに暗い少年だ。

少年は下を向いたまま話始める。

「僕は東郷とうごう、僕はダメなやつです。ここで死んで当然なのかも知れません」

重苦しい空気が流れる。

あえて誰もつっこまなかった。

「じゃあ、次のひとどんどん言ってって」

亘が話を進める。

次はやけに体格のいい男が話す。

「僕は浅野剛あさのごうって言います。大学で柔道とか重量挙げとか肉体系のことをしていたのは覚えています。」

剛の声は体格のように重苦しくなく、優しい声でしかも礼儀ただしい人のようだ。

亘が目で次の人に合図を送る。

次の人はやけに短い髪をした小柄な女性だった。

「私は神雷弥生じんらいやよい、みなに言うような記憶はない」

ちょと冷たい態度だが何かあるのだろう。

言い終わると突然雪が「あの人知ってる、どっかで見たことあるんだけど思いだせない」と秀にだけ聞こえるような声で言い出した。

混乱して意味わからないことを言い出したのかと思ったが雪の目は真面目だった。

何かの手がかりになるかもしれない

でも、秀は完全にみんなを信じたわけではないのでなにも言わなかった。

「次の人、いっていいよ」

と弥生が秀に抱きついている幼い女の子にむけて言う。

「え、アっ・・・・・樋浦ミカ・・・・です。」

女の子━ミカは震える声でやっとこ言った。

見た感じ関係性はなさそうなメンバーだ。

こんなんで生きていけるのだろうかと少し秀は不安になった。

「それで・・・・」

しかしいきなり轟々しい音が部屋中に鳴り響き

亘が話し始めようとするのをさえぎった。

その音を発していたものはあの重い扉だった。

そして今、重い扉が開かれた。






 

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