第1話 宝探し
目の前には信じられない光景が広がっていた。
小さな部屋に横たわるたくさんの人
ピクリとも動かない
秀は死んでいるのではないかと思い一番近くにいた少女に近寄ってみる。
少女は秀に背中を向けるような形なっていた。
秀はそれを強引に自分のほうに向かせた。
そのときギクッとした。
その少女はとても美しいく、長い髪が印象的だが顔に血の気がない
顔面蒼白状態なのだ。
秀はひょっとしてと思い少女の胸に耳をあてる。
ドクン ドクン ドクン
心臓の鼓動が聞こえる。
どうやらまだ生きてるようだ。
少し安堵した。
しかし、その刹那少女が起きだした。
そして自分がどのような状態にあるかを知る。
自分の胸に知らない男が顔を当てている。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜」
少女は怖くなって大声で叫んだ。
秀は後ろにのけぞった。
「違うんだ、その、この、これは・・・」
必死に弁解しようとしたが言葉が出ない。
「ほら、周り見てみろよ!」
秀はそこらへんに寝転がっている人々を指差す。
少女は唖然としたのか白い顔がいっそう白くなった。
「え、なにこれ、みんな死んでるの?、ここでなにがあったの?」
「さぁ〜なわからない。オレも気がついたらここにいたんだ。」
少女の顔は深刻そうだった。
年は秀とさほど離れていないと思うのに大人びた顔だった。
「お前、前日の記憶とかってあるか?」
秀はふと聞いてみた。
少女はまた悩みこむ。
「いえ、ほとんど覚えていないの。ごめんなさい」
そう言って彼女はふかく頭を下げた。
━ごめんなさいって謝られてもねぇ〜
と秀は思ったが言えばいっそう雰囲気が悪くなるので言うことはなかった。
しばらく沈黙が流れる。
ぞろぞろと他の人達も起き上がってくる。
起き上がってきた人は必ず「ここはどこだ」、「記憶がない」とかみんなパニック状態だった。秀はそれをなんとなく眺めていた。
━みんな知らぬ間にここに連れてこられたんだ。これってアレか、誘拐か?
とか思っていると一人の中年の男性が話しかけてきた。
「おい、ここはどこなんだよ!おい答えろよ!!」
その人はやけに興奮していた。
「知りませんよ、みんな気が付けばここに居たんですから。」
秀はあまり刺激しないように軽く返した。
その成果があったのか中年のおじさんは何も言わず秀の傍を離れた。
━一,二,三・・・・・・・・全部で八人か、何でこんなに・・・・・ん、待てよまだ部屋の片隅に誰かがいる。
秀は部屋の端に居る女の子の傍に近づいてみた。一緒にいた顔の白い少女もついてくる。
小学校高学年くらいだろうか、まだ幼い少女が横たわっていた。
秀は女の子を揺さぶってみる。
するとすぐにゆっくりと目を開ける。
「ここどこ?」
また同じ反応だ。
「心配ない・・・・・と思う・・・」
いまいちハッキリしなかったがその女の子にはきいたみたいだ。
怯えた目もだんだんと和らいでいった。
秀は安堵した。
ギーガッガッガッ
なにか変な音がした。
しかしどこからその音がしているのかはわからない。
皆さんお目覚めですか?
どこからか少女のような声がする。
しかしその声はとても冷たく、冷酷でココロがないような声だった。
ガーガー これから生きるためにみんなで宝探しをしてもらいます。
秀は唖然とした、秀だけでなくみんなポカンと口が開いていた。
だって意味がわからない生きるために宝探しをしろだと!
いったいここはどこなんだ・・・・・・