盲目的な初恋は
ただひたすらに虚しくて
テレビの電源を点けた
『テレビから失恋ソングが流れる』
『【君が大好きでした】』
『なんていう』
『ありふれた詞が歌われる』
『テレビに映る、泣きそうな顔で歌う彼女はきっと』
『ありふれた失恋を経験したのだろう』
気付いた時には手遅れだった
ずっと誰かを好きになりたかった
片思いで悩む友達が羨ましかった
誰かを好きでいられるなんて、どんなに幸せなことだろう
他人の方が良く見えるのは当たり前の現象で
でもやっぱり思わずにはいられなかった
誰かを好きになりたいと
『【無意識に目で君を追っていた】』
『【いつからか君を背中で見分けられるようになっていた】』
好きな人を求める毎日
全てが灰色な世界を徘徊する
この世界を色付けてくれる誰かを探して
『【つまらない日常で】』
『【君だけがいつも輝いて見えた】』
日常に紛れた色んなものに
私は見向きもしなかった
私が求めるものはどこだろうなんて
私が求めるものを知ったような気で
『【君と同じ物を持っていると】』
『【なんだか少し嬉しかった】』
だから手遅れになったのだ
どうしようもなく物語が完結してしまって
それから私はようやく気付いたのだ
探し求めていたのはすぐ傍に居たのだと
『【でももう、そんな日々は来ないんだ】』
世界は暗転した
彼が彼女を好きならしい
そして彼女は彼を好きならしい
晴れて二人は結ばれたらしい
『【ずっと好きだったけど】』
『【とうとう言い出せなかった】』
私は私の知らぬ間に彼を好きになり
知らぬ間にその恋は破れたのだった
もはや私には
いつまでも想い続ける事も赦されない
かといって私には
あっさり切り捨てる事もできない
『【いつの間にか君は】』
『【私の手の届かない場所に】』
『テレビに映る、泣きそうな顔で歌う彼女はきっと』
『ありふれた失恋を経験したのだろう』
『私もきっと』
『ありふれた初恋を経験したのだろう』
多分中学の時くらいに書いたものです。意味もなく発掘してみました。
題名とあらすじは今考えたものですが、個人的にあんまりしっくりきてません…。
『盲目』に『恋』、『恋愛』とか『初恋』とか、あと『目隠し』なんていう単語をもとに色々考えましたが、結局納得できるものはできませんでした。あらすじもかなり荒っぽい…。
センスがほしいです。切実に。