pre-命題と恋愛2
この小説は、「命題と恋愛」の続編として書いたものです。
前作を読んでなくても分かるように書いたつもりですが、前作も読んでいただけるとなお分かりやすいと思います。
僕と幻の出会いから1週間、今日は”命題”の日だ。
改めて思う。なぜこんなことになってしまったのか・・・
過去回想ーー
「・・・おとぎちゃん何カップ?」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・最低ね」
なぜ僕がこんな質問をしたのかは、当人の僕をもってしても謎だ。
ここからの僕の怒涛の謝りは割愛させてもらおう。
必死の陳謝の結果、彼女は条件付で許してくれた。
以下条件。
1、週に一度何かしらの命題についての討論
2、学校へ一緒に登下校すること
(彼女はこの町に引っ越してきたらしく、僕と同じ学校に転入するらしい)
3、上の2つを高校卒業まで(あと約半年)守ること
--回想終了
こうして僕は、謎の罰ゲーム(?)を受ける羽目になったのだ。
改めて問おう。誰が悪いのかと。
・・・僕です。これは逃れようのない事実だった。あまりにも単純明快で絶対なこの答えに、なんとなくにやけてしまう。
過去への憂いはこの程度にして、現在の話に移ろう。僕は心を落ち着けるために深呼吸。
現在位置。それは・・・幻の部屋。
これは”松の部屋”とかの部屋の名称ではなくて、幻、間淵幻の部屋である。
正確に言うなら彼女の親が購入して、彼女に与えられた部屋だが。そんな回りくどい説明は要らないだろう。
ちなみにこの家は、一言で形容するなら・・・屋敷。間違えなく、僕の今までの人生で訪れたどの家よりも大きい。だんとつナンバーワンだ!
部屋には箪笥があり、なぜか一番下の段が全開になっている。中身は・・・僕はおそらく十数度目であろうチラ見を敢行する。
視界に一瞬移るそれは、女性の下着である。この場合、誰のものかなんてのは明らかであろう。こんな広い家で、共用箪笥すなんてまずありえない。
下着についても鮮明に描写しておく必要があるな。あれ、なんかため息をついてほかのページへ飛んでしまった人の雰囲気が伝わってくる・・まぁいいさ、僕は僕のやりたいことをするまでだ。
まず大きさ。僕は女性の下着について詳しいほうではないので、大きいのか小さいのかの判断に困るが、僕個人の判断からすれば・・・大きい。ビッグ!!
そして、色だが・・・この色は僕の最も好きな色、そ
「私のプライバシーを侵すのはそこまでにしてくれる?あなたが変態なのはもう分かっているから、言い訳は結構よ。そろそろ今日の命題に移りたいのだけど」
な、何だと・・・幻もこの部屋にいることになっていたのか!!これではまるで、僕が本人がいるにもかかわらずその人の下着を観察している変・・
「言い訳は結構よ、同じことを二度も言わせないで。で、本題に移りたいのだけど」
「・・はい、おねがいします!」
状況に流される。それで済むならそのほうがいいさ。
「じゃあ、まずはあなたの意見をお聞かせ願おうかしら」
僕からか。僕はこの一週間考えてまとめ上げえたことを発表する。
「なぜ勉強するのか、一言で言えば、人格形成かな。僕の考えを理解してもらうために、まず頭の中に小さな球を思い浮かべてみて。この小さな球は人の本能といった、誰もがすでに持っているもの。ここでぼくがルネサンス期の画家について学んだとしよう。ボッティテェリ、ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと。そうするとその球の一部が膨らむ。すなわち、本能のみだった球が知識を吸収して少し大きく成長するってわけだ」
僕は考え上げたこの説にある罠をしかけて語る。
「・・・それは分かりやすい比喩だけど、そもそも”なぜ学ぶか”の答えにはなってないと思うのだけど」
さすがに”命題”について語り合おうというだけのことはある。僕は今までもこの説を3,4人の友人に語ったことがあるけど、彼らの反応は曖昧なものあった。
彼女がちゃんと理解しているかの確認のためにわざと結論を省いて説明したけど、ちゃんと分かっているようだな。僕は初めての理解者を得て、少しうれしく思う。
以前彼女は僕を”パートナー”と言ったけど、それは僕から彼女にも言えることみたいだ。
「その通り。僕はまだ結論を述べていない。それは今から述べよう」
僕はいまだ他人に話したことのない部分に入る。
「知識を吸収して球が大きくなる。その結果何が起こるのか。それは、人間性が豊かになること。これによるメリットは数え切れないほどある。身近なもので言えば、物知りな分、会話を広げやすいこと。相手からしても自分の知っている話題について語り合うのは楽しいことだろう。そして、僕の思う一番のメリットは、視野が広がること。知識の大きさはそのまま見える世界の大きさにつながるといっても過言じゃない。何かを知った後、なんとなく世界が広がったような感覚って感じたことがあるだろう?・・・えっと、つまり僕の言いたいことはそういうこと、あくまでも小さな子供の一意見だけどね」
最後につけた一言があるかないかで聞き手の印象も変わってくるだろう。って、こんなことを考えている僕は十分に嫌なやつか・・
「なるほど。あなたの言いたいことは理解したわ。どうやら、あなたを選んだことは正解だったようね」
そしておもむろに立ち上がる彼女。そのまま、ぼくの近くまで歩いてくる。
「目をつぶりなさい。ご褒美よ」
そういって彼女の顔が僕に近づいてくる。僕は緊張してすぐに目をつぶる。
「 」
彼女は耳元であの答えをつぶやく。
「もう目を開けてもいいわよ」
僕は言われたとおり目を開ける。彼女が微笑んでいるが、僕の顔は真っ赤になっている。
「この前、正直にメールしてきたあなたへのご褒美よ」
彼女はいたずらっぽくそういう。
「あら、もうこんな時間。そろそろお風呂に入りたいから帰ってくれる?」
「・・・お邪魔しました」
僕は先ほどの動揺からまだ立ち直れず、言われたとおりに帰る。
自宅の前に到着。いい加減動揺もおさまってきた。
僕を動揺させた魔法の呪文は・・・いや、これは僕だけの秘密にしておこう。
ひとつヒントを言うなら、”大きい”と言った僕の目には狂いはなかったってことさ。
こんにちは、高居望です。
今回は、先日投稿した短編小説の続編と言う形で投稿させていただきました。
”僕”の語っている考えはあくまでも一個人の考えなので、気にいらない所等たくさんあると思いますが、「こんな考えのやつもいるのか」程度に見てくだされば幸いです。
最後まで読んでくださった方、ありがとうございました^^