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浅井、朝倉滅亡

「猿め!やりおったわ!!」

信長はこの上なく上機嫌だった。


元亀2年12月横山城の木下秀吉が、浅井方の豪族である阿閉貞征、磯野員昌を調略し、織田家の配下に治めたのである。


これに先立ち朝倉家の重臣である前波吉継、富田長繁、戸田与次らが織田方に寝返っている。


織田軍は純粋な下士官を中心とした、いわゆる軍隊である。

当然動員をかけ雑兵を徴する事も出来るが、当時では珍しい、否、大勢力では織田家が只唯一、1年を通し自由に兵を派遣する事が出来たのである。


農耕期などを気にせず何年も銭の続く限り兵力を投入出来るのである。


これに付きあった結果は見ての通り、朝倉、浅井はもうすでに領国経営が破たんしていたのであった。



信長は本願寺攻略軍団を残してほぼすべての兵力を動員したのである。


その数総数8万人の大軍勢である。



織田軍はとうとう自身の築いた野戦陣地を出て、北近江攻略を開始する。

浅井勢は小谷城に封じ込められ、救援に出れず、2万の軍勢を率いている朝倉勢は指をくわえて見ているしかなかったのである。



ここで浅井家がなぜ、信長を裏切ったのかについて言及したい。


金ヶ﨑の合戦の折り、信長はあえて浅井家に動員の陣触れを出さなかった。

というのも、浅井家が六角家との抗争の折り、朝倉家に多大な恩を受けているのも知っていたし、浅井の手前黙殺の確認だけを当主である長政とかわしていたのである。


しかし良くも悪くも旧体制の浅井家である。


所詮国人豪族の盟主にすぎない浅井家は、家臣達の意見を無下にできないのである。


前当主久政を強引に蟄居させた長政であるが、当然父も依然と影響力を持っており、これにかこつけて勢力を取り返そうと画策した。


信長を挟み撃ちにしようと軍勢を差し向けたのは久政派の勢力だったのであるが、これを抑えられなかった己を恥じて、反織田の旗色を鮮明にし、そむいたのが現状である。


何せ信長自身が浅井謀反を長政の使者により報告を受けたので、心中察する物があったのであろうか、たびたび破格の条件で帰参を求めている。

だが、織田と戦うと息巻いていた重臣豪族がこぞって信長に下る姿を長政は滑稽に思い見つめていたはずである。


ここで浅井長政の眼を疑う光景が展開された。


なんと、朝倉軍が撤退していくのである・・・・・。


「私は何のために義兄上に槍をむけたのか・・・・・。」

長政は絶句し、その頬からは一滴の涙がこぼれおちたのである。



この時父である久政は己の愚かさを思い知り、二通の書状をしたためた。


1通は織田信長に、そしてもう1通は息子長政にである。


その書状を近衆にことづけ、自身の腹を切ったのである。

介錯を添えない壮絶な切腹と伝え聞いた信長は、書状の内容を思い返し、「無駄な事を何故するのか・・・。」とつぶやいたという。


彼にはやはり合理的な事以外を理解する事が難しかったのである。

ただ、冷静さを保つようになり、心のゆとりは出来ていた。


「朝倉軍を追撃し、根切りにいたせ!!!!」

ここに戦国史上もっとも凄惨な追撃戦が始まった。


そして一族の裏切りに会い、朝倉義景はあっけなくその一生を遂げる事になったのである。



時を同じくして浅井長政は父の自害、書状に目を通し覚悟を決めた。


木下秀吉に自身を含め信長の妹市を始め、浅井家の身柄を預けたのである。

これには信長は大いに喜んだ。


しかし、浅井家の名前を残すのは許さなかった、久政に今回の一連の責を負わせ、長政には織田の性を使わせた。


一門として遇する事により、浅井家の旧臣をゲリラ化させない為の措置である。


これにより、浅井、朝倉両家は戦国の時代より消え去るのである。

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