新しき動き①
大変おまたせいたしました。
メッセージいただきまして奮起し、お話再開させていただきます!
本願寺の敗北は、諸勢力に大きな影響を与えることとなる。
純宗教としての存続、武力の排除。
これは信長が改めて、日ノ本中の寺領勢力に向けて宣言した改めて大きな動きであった。
故に、宗教勢力にとっての衝撃は計り知れなく、紀州において最大規模の僧兵集団を抱える根来寺においてもその限りではない。
坊舎数百とも数千とも数えられる宗教都市を形成し、寺領70万石を超え、数多くの鉄砲隊を抱えるこの根来衆は、元々親信長派である。
この根来衆が、根来寺が先ず先駆けて動きを起こすのである。
その中心勢力の頭であり、鉄砲を紀州に伝えた津田監物事、算長の長男である津田算正は、叔父である津田妙算と険しき表情で議論を交わしていた。
「叔父上!石山を見れば、織田はいずれ根来の解体もするんちゃうやろか?せやから、今のうちに何とかならんか?」算正は探るように叔父である妙算に視線を向ける。
「算正、何とか儂らが残る手ってないか儂も考えてんねん。」妙算は戦闘指揮官としては抜群の手腕を発揮するが、この度の動きは彼の理解を遥かに超えていた。
「寺院の存続と儂ら杉ノ坊や他の傭兵やっとる坊宿も生き残る方法あるっちゃあるんやけどなぁ」父監物譲りの先見の明を持つ算正はそう言い、妙算に続けて話しかける。
「織田から知行もらえへんか会って来よう思うねん」算正は根来の傭兵衆を知行をもらい、織田家に使えることで、紀伊の地において絶対的な保身を考えていた。
召し抱えられることを嫌い、気が向くままに戦に雇われる戦闘集団も戦国の終焉を迎えつつあることを気づく時が来たのである。
この話を機に大きく話が動いていきますのでお付き合いください。