魔術について
「さて、出かけるか」
「そうだね〜」
「るいと!しゃるな!いってらっ!」
「可愛いなぁ〜行ってくるねぇ〜レイカちゃん可愛い♡」
「あっという間に日本語マスターしたね……シャルナちゃん……」
「案外簡単だったね」
「簡単?!」
「天界の言語より難しくなかった」
「本当に異世界ね……」
「どうしたら次元の壁が開くかなぁ」
「焦る必要ないと思うけれど……」
「まぁ、行ってくるね」
「行ってらっしゃい」
ということで、俺とシャルナは、コンビニに出かけることに。
何故かって?レイカがハーゲタッツ欲しいって駄々こねたからだ。
まぁ、可愛いから好し……?
しばらく歩くと墓が見えた。
気味悪いな……
「ねぇ、ルイト」
シャルナの方へ向いて言う。
「なんだ?」
「ルイトってなんで魔術が好きなの?」
「え?」
「私は、強くなりたかったから始めた魔術だったんだけれど、自然と好きになっていってさ」
……なるほど……な……
「魔術の理屈って結構あって面白いだろ?それもあるし、人のカラダは多くの異なる細胞でできていて、これを魔術で表すのは難しい。魔力を固めて作ったとしても形代、人形にしかならない。だから魔術は面白いんだ。いつか、歴史に名が残ること、つまり、魔力の粒子を細々と組み合わせ、ジンタイを作ることを成功させたい。だが、ここは禁忌の領域。できた人はいない。即ち、やろうとしてもできないということ。これを破ったら国ごと、家族ごと滅びかねないからな。」
「なんか理系だね」
「そうか?」
「ジンタイとかさ、意味わかんないじゃん」
「え?」
「たくさんの細胞でできているヒトって複雑じゃん?それを作りたいっていうルイトの考えは結構大変だと思う」
「それを成功させたいんだけれど禁忌だからなってな」
「作ればいいじゃん」
「え?禁忌だぞ?」
「ルイトはただ、歴史に名が残ることをしたい。でも禁忌が邪魔。じゃあさ、子供が授からない人達にだけ発動できて、その思いが本当か否かで生み出せる魔術作ったら?」
でも、国が認めないだろう。
父上に………………なんて言われるか……
少し浮かない顔をする俺。
シャルナがそれに気づき、パッと顔を明るくして
「父親とかそこら辺のこと考えてたでしょ?一緒に怒られたりすることくらいできるし、やりたいことは純粋にしたらいいじゃない。私なんか魔術を試してばっかだよ」
「それは……シャルナは……」
「シャルナは?」
「えっと……やっぱ言わない」
「なんでよ!」
シャルナは両親がいないから好き勝手できるんだろとか言えるわけないじゃないか
「さっ!ハーゲタッツ買ってさっさと帰るぞ〜!」
そう言って小走りでコンビニに向かう
「ちょ……早いって!」
「ついてこれるかな〜?シャルナ」
「何よその煽りぃ!」
「ははは!」
「待ってぇー!」
暗い夜道に声が響き渡ったのである。
今回は、現代に来てから初めて“魔術そのもの”について2人が向き合う回でした。コンビニへ向かうだけの何気ない道のりなのに、ルイトの魔術への情熱や、シャルナの素直な疑問が重なって、2人の価値観が自然に浮き彫りになっていきました。
ルイトの語る魔術の理屈は相変わらず理系寄りで、禁忌に触れるほど深く考えているのが伝わってくる。一方でシャルナは、そんなルイトの重さを軽く受け止めて、前向きに背中を押す。2人の関係性がとてもよく出ていた場面でした。
そして、ルイトが言えなかった“本音”──シャルナには両親がいないからこそ自由に見える、というあの一瞬の躊躇いが、彼の優しさと不器用さを際立たせていたと思います。
最後はいつもの2人らしく、軽い煽り合いと追いかけっこで締まるのも微笑ましくて、暗い話題を引きずらないバランスが絶妙でした。
現代の夜道を走る2人の声が、少しだけ寂しさと、少しだけ楽しさを混ぜて響いていく──そんな回でした。




