習得
朝、起きたらシャルナが料理をしていた。
『シャルナ?』
『あ!ルイトおはよ』
『おはよ…』
ガラッと襖が空き、レナとレイカが出てくる。
「おはよう…シャルナちゃん?!」
『?おはよう』
「レナ…昨日はありがとう」
「どういたしまして…?…えええええ?!」
「レイカちゃんおはよう」
「おはよー!」
「なななななななんで日本語喋れてるのよぉぉぉぉぉ!」
「昨日貸してくれたスマホで覚えただけだぞ?」
「いやいやいやいや!普通そうならないって!」
「普通じゃないのか?なぁ、シャルナおかしいか?」
『なんて?』
『おかしいか?俺』
『え?いつものことでしょ?』
「ほらな?」
「幾何学外かい…」
「そういえば、年齢言ってなかったよな?」
「え?大体11か13あたりだと思うけど…」
「その間」
「12?」
「そうだ」
「へぇ~」
「もうそろそろシャルナの誕生日だったよな?」
「ならひとつ下か」
「14?」
「うん。もう過ぎたよ」
「そうか」
「れいか!ござい!」
「なら9歳差か?」
「そうそうよくわかったね」
「いつまでもここにいる訳にもいかないから、仕事を紹介してほしいんだが…」
「そんな歳で採用してくれないでしょ」
「そうか…」
「うちにはたんまりお金あるし」
「それに頼るのはヒモ男の特徴だろ」
「まぁいいじゃない」
「そうか?」
「うん」
『できたよ〜!』
『できたか?』
『うん。卵あったからシンフォケーキ作った。甘ったるくないから食べやすいのよねこれ』
「ケーキ?」
「けーき!」
『妹ちゃんが好きそうだからね』
『なんでわかるんだ?』
『ほら、服にケーキの柄が入ってるし』
『確かに…さすがシャルナだな』
『えっへん!』
『威張るところじゃないだろ』
「ありがとう。シャルナちゃん」
ということで、意外にそこまで甘ったるくないケーキを食べた朝だった。ここではこんな歳じゃ雇ってくれないのか…
今回の話は、現代に来てまだ間もないルイトとシャルナが、少しずつ“生活”を始めていく回でした。特に、ルイトがスマホを使って一晩で日本語を習得したという、とんでもない天才っぷりが光っています。一方でシャルナはまだ喋れず、身振り手振りで頑張っているところが、2人の対比として可愛くもあり、現代の難しさを感じさせる場面でもありました。
レナとレイカとの距離も一気に縮まり、年齢の話やケーキのやり取りなど、温かい日常が広がっていくのが印象的です。シャルナの料理の腕前や気配りも自然に描かれていて、2人がこの世界に馴染んでいく最初の一歩になった回でした。
ただ、この穏やかな朝がずっと続くわけではなく、ここから先は“現代での生活”と“異世界の影”が少しずつ交差していきます。今はまだ平和だけれど、物語は確実に動き始めています。




