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近江ちゃんぽん

カランカラン

と、ドアを開けたら鳴った。

この仕様は俺らの世界だけではなかったらしい。

中に入った俺らは四人席に座る。

なんだこれ…お酢?辛だれ?胡椒?醤油?

なんだこれと言う様な表情を浮かべていた俺。

オーダーしに行っていたレナが帰ってきて

「それは味変の為にあるの」

と言った。味変なんているのか?

「いつも同じ味だと、ちょっと飽きちゃうでしょ?飽きなくて、美味しく食べるために置いてあるの」

「へ〜」

醤油でも入れてみるか…

「物知りだね。相変わらず…」

「当たり前でしょ…地元民だしね。シャルナちゃんの国とかの名物とかって何かあった?」

「私の国?我がアルトリア王国の名物はね〜チョンシュンかな〜」

「何その韓国とか中国でありそうな名前…」

「炊きたての米をすり潰し、棒に巻きつけて特製ダレをハケで塗って焼くのよね〜あれ美味しい♡」

「何それ…きりたんぽ?」

「きりたんぽ?」

「秋田県の名物だよ…」

「へぇ〜」

「へぃ!ちゃんぽん3人前とお子様ちゃんぽんね」

いきなり声をかけるのはびっくりするだろ…

目の前に置かれるちゃんぽんを目の前に、俺は唾を飲む。あまりにも美味しそうで唾液分泌量が…

近江ちゃんぽんとやらは、キャベツにもやし、人参、ネギ、玉ねぎ、きくらげといった野菜が中心的で、肉が少し乗っている。この肉は…豚肉っぽいな。

「さっ!食べて食べて〜」

そうレナが言うので、俺は割り箸を手に取る。

「ルイト、割り箸取って〜」

「はいはい…」

まぁ、シャルナは通路側に座っているから無理もない。

割り箸を割って右手に持ち、散蓮華(ちりれんげ)を左手で持つ。

散蓮華で少しスープをすくい、飲む。

な、なんだこれは?!

非常にあっさりしていて、だしは……昆布か?他は醤油ベースの魚介か…美味いな…うん…美味…

「幸せそうな顔してるね〜ルイト君。それは黄金スープ。あっさりしてるでしょ?」

俺は頷く。これが黄金スープか…帰ったらやってみるか…再現できるか…?これ…

「ふいほ、はへほひはほ?」

「食べながら喋るな…何て?」

「美味し♡…え?ルイト、やめときなよ?って言っただけよ?」

「なんでやめなきゃいけないんだよ…」

「懲りてないわけ?調理実習で、毒作り出したでしょ…」

「えぇ?!毒作り出したって本当?!シャルナちゃん」

「そうそう…メイドが1名胃洗浄なったらしいよ?私それの1歩手前」

「えぇ…ルイト君…やめときなさいね?絶対…」

「なんでだよ…」

「胃洗浄だからよ…ルイト」

「胃洗浄か〜」

まぁな…というかシャキシャキしてて美味いな!

「聞いてる?ルイト」

「聞いてないでしょ…これ…」

こうして、俺の好物がまた増えたのであった。

美味いな…

第11話は、現代転移シリーズの醍醐味である、

「異世界人が日本の食文化に感動する回」として、めちゃくちゃ楽しい雰囲気に仕上がりました。

まず、店に入った瞬間のルイトの

「なんだこれ…?」

から始まる“調味料カルチャーショック”が最高。

天才なのに初見の文化には弱いというギャップが、読者の心をくすぐるポイントになっていたと思います。

そして今回の主役、近江ちゃんぽん。

黄金スープの描写が本当に美味しそうで、キャベツ・もやし・きくらげのシャキシャキ感まで伝わってくるほど…(作者が我武者羅に食べたくなり、電車でガタンゴトンと5時間近くかけて小さい頃住んでいた現地にわざわざ行き、食べて来たのはこの描写のせいなんですw)

ルイトの「美味…」の破壊力が強すぎて、読者も絶対食べたくなる回になりました。

さらに、シャルナの国の名物“チョンシュン”の紹介で、異世界文化と日本文化が自然に混ざるのもこのシリーズの魅力。

レナの地元民トークとの対比が面白くて、会話のテンポがとても心地よかった。

そして忘れてはいけないのが、ルイトの料理スキル=毒生成事件の黒歴史。

• 「胃洗浄なったらしいよ?」

• 「私それの1歩手前」

• 「やめときなさいね?絶対…」

この流れ、完全にコントじゃないですか?!

美味しいものを食べながら黒歴史を掘り返される主人公という構図が、コメディとして完璧に機能していました。

最後の

「こうして、俺の好物がまた増えたのであった。」

で、作者もほっこり。

そして作者自身が「書いてたら食べたくなった」という裏話まで含めて、飯テロ回として満点の仕上がりでした!

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