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異世界×ラーメン!スキル「ラーメン屋」を手にした俺の異世界生活  作者: にじ


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8/11

第8話 ラーメン屋凱旋

前回のあらすじ

特殊条件により新ユニークスキル「製麺」、道具「麵切包丁」を手にした麺汰。少女を救うことができた緊張感の解放と、出血が重なり意識を手放してしまう。


_____________________________________


私はリン。16歳、銀狼族の冒険者。初めてEランククエストに挑んだ弓士です。低木の中に潜んでいたゴブリンに気づかず、初撃で弓を弾き飛ばされてからは、必死にもがきましたが、全く歯が立ちませんでした。本当にもう死ぬのかなと思った時に、いきなりゴブリンによくわからない銀色の網をたたきつける人が来ました。

彼の事は多少知っています。最近冒険者ギルドに加入した麺汰さん。よくはわかりませんが、カブカ虫から死にそうになりながら逃げてきたと聞きました。「あんな羽虫に歯が立たない人いるんだ」と正直下に見ていました。


私は過去の私を悔いたい。命の恩人にそんな失礼なことを思ってしまった。しかし過去は変えられません。どうにか今、彼を街まで帰すのが私の最大の恩返し。その後のことは一旦忘れてとにかく帰らなくては。


ただ、私の足は全くと言うほど動きません。立てない……。


立とうと力を入れると強烈な痛みが走ります。


「でも、彼は私よりも痛かったはず。動けえええ!」

なんとか気合で木に捕まり立ち上がります。片足は折れているので歩けません。そんな中で人を一人連れ帰るのは無理なことです。


私の脳裏に悪魔が囁きます。

「お前ひとりなら帰れる可能性が高いぞ。二人して無駄死にするよりも、こいつの意図を汲んでやって帰ったらどうだ?」


正直私がここに居てもできることは少ないです。誰か助けを呼びに行った方がいいかもしれない。


私はどんどんと流されて行きます。自分を正当化し、自分が助かる可能性を上げている。そんな自分が嫌いです。でも私の生存本能が自分の感情を上回ります。


「そうだよね。この人のためにも助けを呼びに行った方がいいよね。」


本当に?それは私が早く危険な場所から遠ざかりたいからじゃなくて?


「ごめんなさい……。」

私は変える方向に体を向けました。


さああああ。風が木々を揺らす音。

私は弱かった。彼のようにヒーローにはなれない。自分が一番大切で、自分を正当化してしまう。私は変わりたいと言いつつ、変われない。


「う”う”っ……」

涙が流れ落ちる。


何に対して泣いている?彼をおいていった罪悪感にさいなまれて?それとも自分の弱さに?それとも自分という存在の醜さに?



さああああ。風が木々を優しく揺らし、雲から隠れていた日がさす。

私は自分が嫌いです。でも彼はこんなに醜い自分を救ってくれた。初対面の自分を。一方的に見下していた自分を。助けてもメリットがない自分を。


本当にいいのでしょうか?ここで変われなければ一生このまま。ここで彼が死んでしまったら一生後悔するでしょう。


「私はヒーローじゃない。ヒーローにはなれない。けど、けどっ……最低限受けた恩は返せる『人』でありたい!!!!」


私は体の向きを変え弓を拾いに行きました。いつもなら10秒もかからない距離。でも今は10分かけて取りました。彼の傍にいき集中力を高めます。

今度はいつゴブリンが出てきてもいいように。



何時間がたったでしょうか。

近くから葉を揺らしながらこちらに向かってくる存在をとらえます。


私は弓を最大限引き構えます。


「おい!大丈夫か!!?」

私は、彼を守れたようです。

最低限彼を守れてよかった。


彼女は緊張が途切れてしまった反動か、一瞬で体の力が抜ける。



「おい!?急いで運ぶぞ!特に男の方がまずい。出血量が多すぎる!」

「良かったな、2人1組で動いていて。」



「んっ……?」

俺は起きる。体は動かないが目は開けられた。

「生きてたんだな…俺。」


「良かった……よがっだあ”……。」

俺をみて涙ぐむ少女。


「おお、麺汰!おーい!麺汰が目を覚ましたぞ!」

鑑定してくれたおじさんが言う。


「「「良かった~!」」」

冒険者ギルドに活気が戻る。


異世界に来てから2回も助けられちゃったな。本当にみんな優しい。俺はこの街が大好きだ。やっぱりみんなにラーメンで恩返したいな。


麺汰はラーメン屋開業を硬く決意するのだった。





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