第23話 それでも日は昇る
前回のあらすじ
他の街に拠点を移す前に、みんなにラーメンをごちそうする。しかし、一番お世話になったゴーズさんの姿が見えなかった。冒険者ギルドの中にいるのかもしれないと、中に入るが、残念ながらゴーズさんの姿はなく、ゴーズさんに関する噂話を聞き、北の森へと向かうのだった。
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「麺汰さん、明日の準備とかちゃんとしてますかね?」
「ん、ご主人の事だからちゃんとしてると思うけど。」
「あっ!明日の集合時間間違って伝えてました!明日は馬車に乗るから早めに集まらないといけないのに!」
「それは大事。伝えにいこ。」
私達は麺汰さんのいる宿へと向かいます。
コンコンコン。
ドアをノックする音だけが響き渡ります。
「あれっ?麺汰さん、いなくないですか?」
「ん、ご主人いないのかな?」
ミラさんが勝手に扉を開けました。
「あっ、ミラさん!」
なんと鍵はかかっておらず、開いてしまいました。
「いないね、ご主人。」
「いませんね。」
「どこでしょうか?」
「んー、いるとしたら冒険者ギルド?」
「ですよね……。行きますか。」
「ん。」
私達は冒険者ギルドへと向かいました。
「麺汰さんですか?さっき来られましたよ。」
「何か言ってました?」
「……ゴーズさんに関して聞いてこられました。」
「ゴーズさんに関して?どういった内容ですか?」
「冒険者ギルドに顔を出したのはいつが最後か、また何か依頼は受けているのか、ですね。」
嫌な予感がします。
周りから噂話が聞こえてきます。
「ゴーズ北の森で死んだらしいな。」
「北の森は現在封鎖されてるらしいぞ。」
麺汰さん……。
「ミラさん、どうします?」
「行くしかない。恐らくご主人行ってる。」
「ですよね。」
「ん、注意して進もう。」
私たちは土砂降りのなか北の森へと進みます。
街道を歩いていると、誰かがやってきました。
「麺汰さん!!」
「ご主人!」
良かった麺汰さんは無事に戻ってきました。
麺汰さんが何かを持っています。
あれって……ッ!!
私たちは麺汰さんに合流し、冒険者ギルドに帰りました。
びしゃびしゃの私達に驚いていた人たちも、麺汰さんが持っているものを見て驚き、泣きます。
だって、だってそれは……ゴーズさんの遺体だったから。
損傷は激しいですが、ゴーズさんだと判別がつきます。顔は綺麗だったから。
麺汰さんは何も言わず、受付へと進みます。
「この人を弔いたいです。頼みます。」
「はい……。」
冒険者ギルド総出で、ゴーズさんの土葬が始まりました。
皆でゴーズさんに祈りを捧げます。
何人も泣いている人が居ました。ゴーズさんは街のシンボル、とても明るい人で、面倒見のいい人で、冒険者の人たちの親代わりで、本当に慕われていました。とっても豪快な人で、そして強くて……。
私も思わず涙が零れ落ちます。
「ゴーズさん……安らかにお眠りください。」
麺汰さんは、さっきから一言もしゃべっていません。拳から血が出るほど強く握りしめており、歯を食いしばっています。
「麺汰さん……。」
葬儀が終わり、皆解散していきます。
麺汰さんはその場を離れません。
「ゴーズさん、お世話になりました。きっと俺たちの戦った相手の親玉と戦ってくれてたんですよね。貴方の事だ、なんとなくわかりますよ。本当にすみませんでした。謝ってばかりだと、あなたに怒られちゃいますね。守ってくれてありがとうございます。でも、俺は許せないです。この件、絶対に復讐します。ゴーズさんが望んでいなくても、俺は貴方をこんな目に合わせたやつを許すことができない。必ず……必ず、見つけ出して殺します。」
一度も見たときのない麺汰さんの姿。正直すごく怖いです。ミラさんも、震えています。
麺汰さんはすっと私達の横を通り過ぎて冒険者ギルドへと入っていきます。
私達は麺汰さんに話しかけることができないまま、夜を明かしてしまうのでした。
「おい、麺汰。女の子にあんな態度はだめなんじゃねえか?」
真剣な顔で怒ってくるゴーズさん。
「ちゃんと女の子たちに謝っとけよ!愛想つかされると女ってのは一生戻ってきてくれねえからな!気をつけろよ~!」
ガハハと笑うゴーズさん。
「俺の敵討ちは嬉しいが、囚われないでくれよ!ただあいつらもいつかは麺汰達の事を狙ってくるかもしれねえ。きちんと強くなって守れるようにしとけよっ!!」
背中をバンッ!と叩かれた。
「はっ!ゴーズさん!」
俺はベットから飛びあがる。まだ早朝だった。
「夢か……。ゴーズさん、最期まであなたに指導されてしまいました。ゴーズさん、今まで本当にお世話になりました。ありがとうございました。」
俺はゴーズさんが死んでから初めて泣いた。
日が昇り始めた。




