第16話 リンの気持ち
前回のあらすじ
新パーティ最初のクエストとしてゴブリンの討伐を受注した3人。見事な連携もあり、順調にクエストをこなしていった。しかし、3人の帰り道に怪しげな男たちが現れ、麺汰は攻撃され意識を手放す。その後リンとミラは必死に交戦するも、人数差もあり、リンはミラに麺汰を連れて逃げるよう指示を出した。
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私は必死に弓を放ちます。
あれから2人を追加で倒しました。
「おらっ!」
「ぐあっ……」
ずざあああ。
地面を滑るリンの体。ついに立ち上がることすらできなくなった。
怖い。嫌だ。帰りたい。また麺汰さんに会いたい。
「はあ~。長かったな~。全く抵抗しなければ、こんなにかからなかったのによ。」
「で、こいつどうするんですか?」
「ん?決まってんだろ?こんなに綺麗で可愛い銀狼族の女いねえだろ?多少楽しんだ後に売るんだよ。」
「お頭!多少分けてくださいよ~?」
「ああ、いいぜ。俺の後でな!」
嫌だ。嫌だ。嫌だ。麺汰さん以外の男に触れられると考えると、それだけで気持ち悪くなる。
なんで私だけがこんな目に合わないといけないの……。私はただ麺汰さんと楽しくパーティを組んで、生活できればそれでよかったのに……。目から自然と大量の涙が流れ落ちます。
私の頭の中を過去の私がよぎります。
『かっこよく私をおいて逃げてなんていうんじゃなかったよね。最悪あのミラとかいう女に敵を寄せ付けて逃げられたかもしれないのに。』
『結局、こういうことになるんだよ。ヒーローなんて目指さないで、目立たないように、狡猾に自分だけでも助かろうとしておけばよかったのに。』
しかしなぜでしょうか。
以前までの私であれば、本気で後悔していたであろう行動なのに、なぜか正しかったと思える私もいるのです。
『私は麺汰さんに助けられた。だから今度は麺汰さんを私が助ける番だよ。それにミラさんの力を借りなければ麺汰さんは逃がせなかった。』
『3人共倒れなら、いっそ他の人だけでも助かった方がいい。私は逃げられなかったのだから。』
『少しの付き合いですがミラさんはいい子でした。あの子なら麺汰さんを守ってくれるでしょう。』
私は完全にはヒーローにはなれないのでしょう。やはり心のどこかで醜い私がいる。
ただ、私はそれでいいと思いました。麺汰さんのように完全なヒーローでなくても、私利私欲が混じっていても、自己中心的でも、人助けられる人になれたのだから。
私は最後の力を振り絞って立ち上がります。
「このまま汚されるぐらいなら、死んでもあなたたちを連れていきます!」
必死に矢を放ちますが、全く当たりません。
「あっはっは!見ろよあのヘロヘロの矢。誰が当たるんだよ。」
「「「わははは!!」」」
ううっ……。心が折れそうになります。
麺汰さん、私はあなたの事を好きになってしまったようです。ですが、この思いを伝えることもできずに、お別れのようです。
私は、最後のあがきとしてやみくもに走り、逃げます。
「おらっ!逃げるんじゃねえ!」
「がっ……」
背中を蹴られ、地面を体が滑ります。もう、本当に起き上がれません。
いよいよ限界です。最後の時間が来ました。
「麺汰さん、あなたの事が好きでした。」
今夜は月が綺麗です。私とは対照的に綺麗に輝いています。少し憎たらしいかもしれません。
私は一瞬で隠していたナイフを首に引き抜き……
「ぐぼっ!!」
「お待たせ、リン。ごめんな、守ってやれなくて。」
「ん、お待たせ。こいつら全員殺す。」




