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第3話 空飛ぶ船で大冒険!?プラチナサイコロの驚愕能力

《【大スクープ】ついにプラチナサイコロ始動!まさかの空中浮遊物体が出現》


山賊全滅事件から1週間。俺の山奥ライフは順調そのものだった。


毎朝、銅製サイコロで金貨を稼ぎ、川魚に餌をやり、時々村で買い物をする。平穏で規則正しい生活。これぞ俺が求めていた理想の暮らしだ。


「今日もいい天気だな」


小屋の前で伸びをしながら、俺は二つの月が浮かぶ青空を見上げた。この異世界に来て1か月。ようやく慣れてきた。


川魚たちも俺になついて、手を水に入れると寄ってくる。可愛いやつらだ。


「さて、今日はアレを試してみるか」


俺は革袋から純プラチナ製のサイコロを取り出した。最も美しく輝く、最高級のサイコロ。これまで使うのを躊躇していたが、そろそろ試してもいいだろう。


「どんな能力なんだろうな...」


期待と不安を胸に、俺はサイコロを振った。「5」と「3」。合計8。


すると、俺の頭上に巨大な影が現れた。


「うわああああ!」


見上げると、空中に巨大な船が浮いている。全長20メートルはありそうな飛行船だった。船体は美しいプラチナ色に輝き、まるで貴族の船のような豪華な作りをしている。


飛行船からロープが降りてきた。


「え...まさか乗れってこと?」


恐る恐るロープを掴むと、俺の体がふわりと浮き上がった。まるで重力を無視するように、船内に吸い込まれていく。


「うおおおお!」


気がつくと、俺は豪華な船室の中にいた。


《【独占取材】船内は超豪華仕様!プラチナゴーレムが最高のおもてなし》


船室は想像以上に豪華だった。


ふかふかのソファ、立派なテーブル、美しい装飾品。まるで王族の居住空間のようだ。窓から外を見ると、森が遥か下に小さく見える。


「これは...すげぇ」


俺が感動していると、船の奥から人影が現れた。いや、人ではない。プラチナでできたゴーレムだった。


「ようこそ、ご主人様」


プラチナゴーレムは銀のゴーレムよりも洗練されており、まるで執事のような丁寧な立ち居振る舞いをしている。


「どちらへ向かいますか?」


「え...どこでも行けるの?」


「はい。ただし、航続距離に制限がございます」


プラチナゴーレムが説明してくれた内容は以下の通りだった。


- 飛行船の航続距離は、サイコロの目×10キロメートル

- 今回は8が出たので、80キロまで飛行可能

- 距離に達すると自動的に着陸する

- 1日3回まで召喚可能


「80キロか...結構遠くまで行けるんだな」


俺は窓の外を眺めた。森の向こうに街らしきものが見える。


「あの街まで行ってみたい」


「承知いたしました」


飛行船は静かに滑るように移動を始めた。風を切る音もなく、揺れもない。最高級の乗り心地だった。


《【衝撃レポート】空から見た異世界の絶景!しかし着陸先で大ピンチ》


飛行船での空の旅は最高だった。


眼下に広がる森、草原、川。そして遠くに見える街並み。異世界の絶景を堪能できた。


「いやー、これは気分いいな」


プラチナゴーレムがお茶まで出してくれる。至れり尽くせりのサービスだ。


30分ほどで目的の街に到着した。予想以上に大きな街で、城壁に囲まれている。中世ヨーロッパ風の建物が立ち並んでいる。


「ご主人様、間もなく着陸いたします」


「分かった」


飛行船は街の外れに着陸した。俺が地面に降りると、船は光の粒子となって消えていった。


「さて、街を見学するか」


俺は興味深そうに街の方向へ歩き始めた。しかし、問題がひとつあった。


80キロの移動で、復路のことを考えていなかった。帰りも80キロ必要なので、今日はもう飛行船を使えない。歩いて帰るしかない。


「あー...しまった。計画性がなかった」


しかし、せっかく街まで来たのだから、少しは見物していこう。


街の入口で門番に金貨を1枚渡すと、簡単に中に入れてもらえた。神聖帝国の金貨の威力は絶大だった。


《【緊急速報】街で大買い物!しかし帰り道で盗賊団と遭遇》


街は活気に満ちていた。


商人、冒険者、騎士、市民。様々な人々が行き交っている。露店では食べ物や道具が売られており、俺の心は躍った。


「おー、これは便利そうだ」


俺は金貨5枚を使って、以下の物を購入した。


- 薬草栽培の種

- 川魚の餌

- 調理用の香辛料

- 保存の利く食料

- 毛布と衣類

- 簡単な工具


荷物が重くなったが、これで山奥の生活がより快適になる。


問題は帰り道だった。80キロの道のりを荷物を背負って歩くのは無理だ。


「馬車はないか?」


街で聞いてみたが、俺の住んでいる山奥方面に行く馬車はない。皆、危険地帯だと言って嫌がる。


「仕方ない...歩くしかないか」


重い荷物を背負い、俺は街を出た。しかし、歩き始めて30分で後悔した。90キロの肥満体に重い荷物は地獄だった。


「はあ...はあ...もう無理だ...」


街から5キロも歩かないうちに、俺は道端で休憩することになった。


そのとき、馬蹄の音が聞こえてきた。


振り返ると、10人ほどの騎馬の集団が近づいてくる。武装しており、明らかに盗賊だった。


「あー...またかよ」


俺は内心うんざりした。せっかくの買い物が台無しだ。


「おい、そこの太った野郎」


盗賊のリーダーが馬から降りて俺に近づいてきた。


「その荷物、全部置いて行け」


「え...これは俺が買った物ですけど」


「知るか。ここは俺たちの縄張りだ。通行税として全部もらっていく」


盗賊たちは俺を囲んだ。逃げ場はない。


「あと、そのぶら下げてる袋も渡せ」


革袋を指差される。サイコロがバレてしまった。


「これは...」


俺は革袋を抱えた。これだけは渡すわけにはいかない。


「渡さないなら、力ずくで奪うぞ」


盗賊たちは武器を抜いた。


しかし、俺には切り札がある。


「分かりました...これをどうぞ」


俺は革袋から純銀製のサイコロを一つ取り出し、盗賊のリーダーに差し出した。


《【戦慄の結末】盗賊団全員が謎の呪いで即死!サイコロの恐るべき秘密》


「何だこれは?サイコロか?」


盗賊のリーダーが純銀製のサイコロを掴んだ瞬間、いつものことが起こった。


男の顔が青ざめ、体が震え始める。口から泡を吹いて、その場に倒れた。


「リーダー!」


他の盗賊たちが慌てるが、遅い。


「俺にも見せろ!」


別の盗賊がサイコロを拾い上げた。同じように体が震え、泡を吹いて死んでしまう。


「これは呪いの道具だ!」


「俺たちも触ったらヤバいんじゃないか?」


盗賊たちは恐怖に駆られ、サイコロから距離を置いた。しかし、すでに2人の仲間が死んでいる。


「こ、こいつは魔法使いだ!」


「逃げろ!」


残りの盗賊たちは馬に飛び乗り、逃げ去った。


俺は震えながらサイコロを拾い上げた。また人が死んだ。今度は2人。


「俺以外は触れないのか...」


改めてサイコロの恐ろしさを実感した。このアイテムは、俺だけが使える専用の武器なのだ。


死体から金品を回収し、俺は山奥への道を急いだ。荷物は盗賊たちの馬を借りて運ぶことができた。


しかし、心には重いものが残った。


「また殺してしまった...」


でも、今回も向こうから襲ってきたのだ。正当防衛だ。そう自分に言い聞かせた。


《【独占告白】山奥に帰還したおじさんの本音「もう人里には近づきたくない」》


山奥に帰り着いたのは夜中だった。


小屋の明かりを見たとき、俺は心底ほっとした。やはり、この場所が一番落ち着く。


「ただいま」


川魚たちが俺の帰りを歓迎するように、水面で跳ねた。この純粋な生き物たちだけが、俺を癒してくれる。


「お前たちは、俺を裏切らないよな」


魚に餌をやりながら、俺は今日の出来事を振り返った。


街での買い物は楽しかった。しかし、帰り道での盗賊との遭遇で、また人を殺してしまった。


「もう街には近づかない方がいいかな...」


プラチナサイコロの飛行船は便利だが、人との接触が増えるとトラブルも増える。俺が求めているのは平穏な生活だ。


「山奥で、魚と一緒に、静かに暮らそう」


そう決意した俺だったが、運命は別の計画を用意していた。


購入した薬草の種を庭に植え、新しい毛布で寝床を整える。街で買った物は確かに生活を豊かにしてくれた。


しかし、代償として2人の命が失われた。


「俺は...化け物になってしまったのか?」


その問いに答えはなかった。ただ、川のせせらぎと虫の鳴き声だけが、俺の孤独を包んでいた。


*神界某所*


「おっ、プラチナサイコロも使ったか」


ロキは満足そうに水晶球を眺めていた。


「これで全部のギフトの能力を把握したな。次の段階に進むときが来た」


フェンリルが心配そうに口を開いた。


「親父、あのおじさん、どんどん人を殺すことに慣れてきてませんか?」


「それでいいんだよ。力を持った人間の本性が現れてるだけだ」


ロキは悪趣味な笑みを浮かべた。


「まだまだ序の口だ。本当の試練はこれからだぜ」


「次は何をするつもりですか?」


「そうだな...そろそろ面白い相手を送り込んでやろうか」


神界に不穏な笑い声が響いていた。

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