第1章 出会いと再会
「体育祭実行委員...」
部活動紹介と同時に行われた委員会紹介。
ふと気になったのは、紹介していた男子生徒の肌。
それは思春期の女子に起きやすい尋常性ざ瘡。
クラスにもそれを気にする女子が数名いた。
教室に戻ると、入部体験の日程が説明された。
『かなめちゃんは何部にする?』
先生に気付かれないように話しかけて来たのは前の席の水城はな。
新入生で1.2を争う程の容姿の持ち主と噂されているのを聞いたことがある。
「部活ねぇ〜」
部活動には一切興味がなかった。
子どもの頃から人より才に恵まれており、優勝しても何も思わなくなった。優勝すると母親が張り切って料理をし、晩ご飯が少し豪華になるが、兄からの視線が気になる。気持ちは分かる。何故なら母親は人より体力が少なく、すぐに寝込むからだ。その為、兄弟揃って表彰される事を避けてきた。次第に競争本能と言うのも薄れてきた。
ふと窓の外を眺めると1人の生徒と教員の姿が見えた。
何を話しているか聞こえないが、生徒が教員に捕まらないように逃げているのが分かる。
『あれって、神崎先輩じゃない?』
「神崎センパイ?」
『そうそう!今日の委員会紹介にも出てた神崎颯斗先輩』
言われてみたら、体育祭実行委員を紹介していた男子生徒だ。
『神崎〜!俺らの自由はお前に託された!』
1人の男子生徒の声と共に、数名の男子生徒がゾロゾロと校庭に出てきた。
『今度はかいり先輩か...』
少し曇った表情でいうはな。
「あの人となんかあるの?」
『何かあるって訳ではないんだけど...』
その時。チャイムが鳴った。
悔しがる教員と、喜びながら円を書いて飛び回る男子生徒達。
「何あれ」
私がそう言うと、
その声に重なるように、
『進級祝いのやつだと思うぞ』
担任の声が聞こえた。
担任が言うには、進級祝いに担任が生徒に飲み物を配るらしい。基本的には担任の自腹なので、安く済ませたいらしいが、あの担任は違うらしい。時間いっぱい逃げ切れば全員に好きなものを買ってあげるとの事。
「なんでもいいのに」
『まぁまぁ、そんなこと言わないの!先生と生徒で仲良しって事だよ』
優しい口調でフォローするはな。
「ちなみにセンセイ!」
『ん?なんだ?』
「私たちには?」
『そんなのもちろんねぇよ』
そう言って笑いながら教室を出て行った担任。
視界を校庭に戻すとその男子生徒と目が合った。
「神崎センパイ...」
この人が後に私の...
『ところで仮入部どこ行く?』
「ちょっとまって、今話終わるところ、」
『?何言ってんの?』
「...」
『...』
少しの間沈黙が続く、
“グゥ〜”
「お腹すいた」
『もぅ、かなめちゃんってば〜』