『057 アイドルのライブに行く』
『057 アイドルのライブに行く』
「チケットなんて要らない」
「えっと、なんで要らないの?」
「ペドロだから」
「いやいや答えになっていない」
意味がわからない答え。
俺だからって、おかしいだろうに。
多くのファンがいて支えられているのがグループであるから、俺なんか完全に部外者です。
「ペドロは特別。チケットなしでいいよ。スペシャルゲストってことで」
「ファンが怒るよ。でも行けるなら行ってみたい」
「ペドロが来るなら、みなたんとかに報告しておく。グループチャットで書いておくよ」
よくわからないままライブに行くとなった。
ライブの場所は秋葉原だ。
ここは渋谷だから秋葉原に移動するとした。
電車だと俺は金を持っていないので、せりかとタクシーに乗るのがいいとなり、タクシー移動。
渋谷から秋葉原までは、そんなに遠くないけど、せりかと一緒に乗るタクシーは緊張する。
運転手はどう思っているかが考えてしまう。
「グループチャットの返事来た。みなたんはペドロが来るの喜んでいるし、ナギはどうぞ来てくださいってさ。るりるりはケーキあるよって」
「ありがとう、ぜひ見るよ」
秋葉原に到着し、タクシーを降りてからライブ会場に。
ビルの中にあるようだ。
こんな所にライブができる場所があるのは知らない世界だな。
俺はゲームオタクであって、アイドルは好きだがライブには行ったことはなかったから、初めてのライブだ。
ビルの外には多くの行列があるが、これはせりかの客なのかな。
「行列は客なの?」
「うん、私達のライブに来るファンだよ。私らは裏口から入るよ、ペドロも」
「裏口とかあるのか、ほんと芸能人だな」
るりるりが来て、
「ペドロ~~ライブ見てってね」
「うん、見させてもらうよ」
「あ~~~んして」
「ええっ、いいのかい、美味いよケーキ」
「私が自分で作ったケーキなの」
「美味しいです」
るりるりが自作のケーキを俺の口に入れてくれるのは恥ずかしい。
でも凄く美味しいのは本当で、るりるりはスイーツ作るのも食べるのも好きらしい。
せりか達はライブの準備があるし俺は観客の方に。
ライブハウスがステージで、観客は空間に押し込んでいる感じで
大勢いる。
俺も混じって始まるのを待つと、せりか、みなたん、ナギ、るりるりが出てきて歌を歌う。
一気に観客は大盛り上がりになった。
「凄い熱狂だな。これがアイドルのライブなんだな」
熱狂は止まらないで進む。
俺も夢中で声援していた。
完全にラブライブのファンになっている自分がいる。
すると、みなたんがステージ上で俺に向かって投げキッスをした。
俺ではなくてファンに向けてしたのかもしれないが、俺の方に向かっていた。
ファンはそれに気づいたのか、俺を見てくる。
まるで、みなたんが固定客にだけ投げキッスをしたみたいな空気。
なんかヤバい空気なので俺は場所を変える。
危ないところだったのは、みなたんがあんな事をすると俺が危険になると思った。
そのままステージは終わった。
観客は大声援をしていた。
終わった後は、また裏の楽屋に俺は移動した。
「お疲れ様です、凄かったよ」
「私が投げキッスしたのわかったでしょ?」
「わかったし、隣の客が俺を怪しい目で見ていたさ」
「私はペドロが投げキッスを返して欲しかったのに」
「できるかよ、あの中で」
やったら俺は殺される空気だったぞ。
「さあ、着替えよっと」
「汗かいたもんね」
「ええええ、俺は出ていくよ」
「いいのよペドロは見ても、なんで恥ずかしいの」
「さすがに服を着替えるのは見るのはちょっとな」
汗をかいているし、服を着替えると言って着替えだす。
いいのかなと思いつつも見てしまうのは俺は情けない男だろうか。