『053 シュナが仲間』
『053 シュナが仲間』
「AIプログラムです。プレーヤーではないです。私のようなAIプログラム冒険者はダンジョンにもいますから珍しくない。プレーヤーには負けたくない」
「AIプログラムだったか。カリナと同じか」
予想が外れた。
いきなり怒るし人間っぽい感情が出たからプレーヤーだと思ったが、実際はシュナはAIプログラムだった。
AIプログラムもまるで人間と比較して変わらない感情を出せるのではっきりと区別するのは不可能とされる。
会話もAIが自動生成して会話するから、人間と区別がつかない。
「私もAIよ」
「AIでしたか。ペドロに負けたからには私は覚悟はできている。覚悟は決まった。ペドロのパーティーに加わる」
「えっ俺のパーティーに入るのかシュナが」
いきなり何の覚悟かと思ったが。
「どうするのペドロ」
「シュナは俺とカリナのパーティーに入りたいのか。まあ俺は加わるのは拒否はしないが、一つだけ守ってもらう条件がある。それを守れるならパーティーに加える」
シュナはパーティーに入りたいと申し出るのは拒否はしないが条件はあって、日本に俺だけ転移していることだ。
これは俺とカリナの秘密事項。
誰にも話さないと約束してある。
それを守ってもらえるならパーティーに入っていい。
逆に守れないなら、俺の秘密が冒険者に広まってしまう。
「条件は守る。約束する。私は約束は守る」
「じゃあ仲間ね、よろしくシュナ」
「よろしくカリナ」
「今日はまだダンジョンを進めたい、一緒に進もう」
「任せて、風魔法で蹴散らせる」
予想してなくてシュナが仲間になって5階層を進んだ。
シュナの風魔法は遠距離からでも攻撃可能なので、バトルでは俺とカリナが接近戦でシュナは遠距離とバランスはいいかな。
バトルには近距離、中距離、遠距離と戦いの距離の取り方があり、剣での攻撃は完全に近距離での戦いがメイン。
その点魔法は便利でどの距離でも戦いは可能にもなる。
魔法を使える職種が好きなプレーヤーは魔法で魔物をぶっ飛ばす快感がたまらないという。
確かに魔法が決まった時の爽快さは変えられない快感だろう。
同じ獣人でもキャラに個性があってカリナは魔法は使わない。
エアーウインド魔法がさく裂。
デビルアントがぶっ飛ぶ。
破壊力はある。
レベルがシュナよりも高いはずだが、効果は大きい。
しかし問題もありそうで、
「うううう、助けて」
「俺が助ける、シュナ」
攻撃魔法の風魔法は強いが、防御力は弱いらしい。
デビルアントの攻撃でダメージを受けると、起き上がれない感じだ。
たぶん魔法攻撃重視のステータスなのだろうと予想。
「すまん」
「大丈夫だ、俺が倒したから。シュナは防御は苦手かな」
「苦手だ。でも私は強いぞ」
「強いのはわかった」
「攻撃魔法しかない」
「黙れ短剣。短い剣しか振れない女に言われたくはない」
「なんですって! 短剣は使うのが難しいのよ、背の低い人には無理ですけど」
「ああああ、私をチビ扱いしたな!」
「おいおい2人ともケンカはよせ」
「はい」
獣人どうしだと相性が悪いのかな。
そんな話は聞いたことがないが、ダンジョンでケンカは避けて欲しいものだ。
しかもお互いにAIなのにな。
ケンカはおさまりダンジョンの6階層に行く。
6階層でも魔物討伐して、十分に討伐したところで地上に戻った。
「今日はシュナが仲間になったし、ギルドに寄ってからご飯にしようか」
「祝杯です、シュナが仲間になったお祝いよ」
「ありがとう」