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『002 スライムと戦闘』

『002 スライムと戦闘』


 俺はとにかくこの冒険者と会話した。

 少しだけ不安は消えたのは不安を共有できたからだ。

 だがまだ信じられないのも事実であって、俺は生まれてから40年日本で暮らした。

 日本は世界でもGDPは世界有数の国で先進国になっている国。

 その日本で生活してきた俺が突然に中世っぽいゲームに転生したと言われて信じられるかと言えば、完全には信じられないのが常識だ。

 誰だってそうだろう。

 まだ現実感があるのに、頭がついてこないのだ。


「街にはプレイヤーがいて、みんな混乱している。もし信じられないなら街の外に行けばいい。魔物がいるだろう。魔物と戦えば俺が言っている意味がわかる」


「魔物と戦うか。わかったありがとう」


 その冒険者プレイヤーから街の外に行けばわかるという情報を得て、ダンジョンオンラインでは街には魔物はでなくて外に出ると魔物と遭遇するシステム。

 多くのRPGゲームで採用された方式だが、幸いにも武器は持っているし外に行ってみるとしたのは、確かめたかったからだ。


「草原は同じだ。モニター画面で見ていた風景がそのまま広がっている」


 同じ光景が見えたが、画面と違い風や匂いが感じられる。

 そして一番重要な魔物もいた。

 魔物はスライムだ。

 ゲームではかなり弱い魔物に分類される魔物。

 粘着質な性質で、体力は低い。

 攻撃力も低いので、初心者冒険者向けが討伐するにはいい。

 俺は武器である剣を持って構えた。


「スライムを切る!」


 スライムと戦闘になる。

 俺のレベルは10。

 スライムと戦うには余裕で勝てるレベルではない。

 苦戦はしていた。

 やはり苦戦するのは俺の攻撃力が弱いからで、何度も剣で切る必要がある。

 しかもスライムの攻撃を受けてもいたが、何とか討伐できた。


「討伐できた」


 冒険者プレイヤーが教えてくれた意味がわかったのは、魔物と戦えばわかるという意味で痛いのだ。

 オンラインゲームでは絶対にあり得ない体の痛み。

 痛覚があるのだ。

 間違いないこれは現実なんだと実感した。

 日本ではVR技術によって精密に3次元を作りだして、まるでその場にいるような映像は可能だったけど、痛みまで再現した例はなかった。

 スライムが続々と迫ってくる。

 剣でぶった切った。

 そのたびに腕に切る感触が起きる。

 ダメージを受けると痛みがあり、体力も減る。

 スライム程度なら何とか倒せるが、その時に俺はある重要なことに気づいた。


「待てよ、これってゲームに転生したならば、魔物によって殺されたら俺はどうなるのか」


 単純だが気づけなかった疑問だ。

 ダンジョンオンラインでは体力がゼロになった時点でキャラは死亡する。

 死亡したキャラを蘇生する救済方法が備わっている。

 救済システムがないとプレイヤーは死んだら終りなら、もうそのゲームはやらなくなるからで、救済するから続きをプレイできる。

 その方法は街に用意されていて、蘇生アイテムによって蘇生する、蘇生魔法によるもの、教会に金を払って蘇生するのがある。

 蘇生アイテムは使うことで発動して、プレイヤーのキャラは蘇生する。

 しかし蘇生アイテム自体が激レアなアイテムであって、誰でも持っているわけではなくて、アイテム店でも販売していなかった。

 たぶんダンジョンや行くのが困難な地域まで行くと入手可能なアイテムだろう。

 多くのRPGゲームでそうだった。

 魔法も同じく激レア。

 最上位の魔法使いしか使えない魔法なので今の俺には無関係だ。

 そして教会で金を払う仕組みがあった。

 金で解決するという、およそ神父らしくない考えだが、金で蘇生できるのはあった。

 まだ俺はダンジョンオンラインでは死んではいないから、確認はしていない。

 街には教会はあるのは確認済みなので、情報が欲しいところ。

 他のプレイヤーに会ったら、情報を共有したい。

 スマホはゲーム内にはないだろうしな。

 そして問題はゲームでできていたことが、今の段階で可能かは不明である点。

 本当に蘇生できるかはわからないのだ。

 あくまでゲームであるから蘇生できるのであって、今の俺はゲームに転生しても生きている感触があるのだ。

 だから必ず蘇生できる保証はない。

 むしろ死んだらそれで終わりですって方が自然だ。

 物理的に蘇生するのは限界だってあるし、日本でも同じで蘇生するなんて不可能である。

 そう考えると冷汗が出た。


「もし死んでいたら」


 急に怖くなった。

 死んでも大丈夫というゲーム感覚でスライムと戦闘してしまったから。

 もし死んでいたら、本当に死ぬかもしれなかった。

 背筋がゾッとして急いで街に帰った。








 俺はマロウ街に戻った。

 すぐに教会を探した。

 教会はあって多くの信者がいた。

 神父がいるので話しかけてみる。


「蘇生について教えてください」


「蘇生は教会ではできません」


「えっできないの? なぜです」


 まさかの蘇生できないと。

 ゲームでは出来たはずだ。

 どうしてできなくなったのか。


「蘇生は神がなされることです。神が蘇生はできないと告げていますので」


「そうでしたか、ありがとうございます」


 神が出来ないと言ってるらしいから、俺が何を聞いても変わらない。

 昨日までは蘇生はできていたと思うのは、ダンジョンオンラインのネット掲示板の板を見ていたから。

 掲示板には最新のゲーム情報が書かれるので、そんな変更があれば必ず書かれるが、いっさい書き込みはなかったことから、今日からかプレイヤーが転生してからだろう。

 転生したのと関係しているのかな。

 神父はプレイヤーではなくてプログラムだろう。

 最新のAIは人に近い会話をするので話題となっているけど、ゲームでもAIプログラムが使われていると掲示板に乗っていた。

 教会を出てから冒険者ギルドに行くとした。

 冒険者ギルドは冒険者が集まる場所で、依頼を受けることができる。

 ギルドなら情報が得られるから行ってみよう。


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