『123 クルド街に行く』
『123 クルド街に行く』
ケッテ街の転移ポイントからクルド街に行ける。
クルド街は初めて来た街。
大きさはケッテ街よりも規模があり、人口も多そうなのは、進むにつれて街は大きくなるという情報があった。
商人はクルド街に来てからオドオドしている。
商人は恐らくはAIキャラクター。
プレーヤーではないと思っていい。
オドオドするのはイベントの演出かな。
「クルド街に初めて来ました。美味しい匂いがする」
「カリナは鼻がいいからな」
「肉のいい匂いです、ちょっと寄りたい」
「おいおいカリナ。今は依頼の最中だぞ。後にしなさい」
だめだカリナは肉の匂いにつられてしまい、方向を変えて進んでしまった。
「カリナ、待って」
「届け物があるのに。仕方ない。商人さんには悪いが肉の方に行くよ」
「はい」
商人さんに説明して寄り道をする。
カリナは肉の匂いで屋台を発見したらしい。
「屋台で肉を焼いています。買って!」
「私も食べたいです」
「いい匂いだな。俺も食べたいぞ。買おうか」
屋台で肉を焼いていた。
外で焼いているから美味しそうだ。
「獣人さん、美味しい最高の肉だぞ。最上級の肉だぞ。今しか買えないぞ」
「絶対に買います!」
「肉がいい、美味しいです」
屋台の露天商は男性で、最上級の肉が入ったらしいと。
「シュナも」
「美味い、毎日でも食べたい」
「美味いな」
最初はカリナに説教しようかと思ったが、食べると美味くて笑顔になった。
シュナも笑顔になっていて、楽しそうだ。
商人さんには待たせてあるから、届け物の方に行くか。
「そろそろ行くぞシュナ、カリナ」
「はい、行きます。あれ、商人さんはいない、どこに行ったかな?」
「見えないです姿が」
「あれ、どこに行ったかな。俺も見てなかった。しまったな、つい肉に夢中になってしまった」
肉の方に意識があり商人さんを見失っていたのは失敗だった。
俺がもっとしっかりと見ているべきだったが、探すしかない。
「探してもいませんよ。まさか盗賊に襲われたのでは?」
「盗賊を恐れていたもん。盗賊にすでに狙われていたとしたら大変」
「盗賊にか。俺のミスだ」
盗賊に恐れていたら完全にミスだ。
探して見るもいなかった。
「あれって、肉の屋台も消えている。露天商人もいないですね」
「商人も消えた。そして露天商人も消えた。考えてみると変です」
「でも大丈夫です。嗅覚スキルがありますんで商人さんの匂いは記憶している。微かな匂いでどこに行ったかわかる」
「カリナに任せる。探してくれ」
「クンクン、こっちです」
カリナには特別な嗅覚がある。
戦闘ではないスキルで、人の何倍の嗅覚を持てる。
カリナは嗅覚に従って進む。
クルド街の繫華街にも入って行った。
人が多いけどカリナは迷いはない。
迷わずに進んでいる。
カリナを信じよう。
人込みの中を進んでいくと建物が並んでいて、その前でカリナは止まった。
「この建物?」
「はい、この建物から商人さんの匂いがします」
「良くやったぞカリナ。私にもできるかな」
「シュナは嗅覚スキルはないでしょ」
「そのうち習得できるもん」
「誰だ? お前らは護衛か。商人と一緒にいた護衛がなぜここにいるんだ?」
「商人さんは無事か。盗賊だよな」
盗賊が建物から出てきて、剣を持っている。
俺達が護衛だとわかったらしいが、カリナが嗅覚スキルを持っているのは想定してなかった。