『103 ベヒーモスと戦う』
『103 ベヒーモスと戦う』
「あれ、祝杯してないね」
「もっと喜んでいると思ったのに、どうしてかなペドロ?」
「奥に進もうか。俺達よりも先に来ている冒険者は居るはずだしな」
12階層にて誰もいないし静かな感じ。
シュナが言うように盛大に酒盛りをしているかと。
しかし奥に進んでも誰もいないのはなぜ?
ここが最下層だというのが正確な情報だが。
するとカリナが何かを発見したのか。
「あれは? 冒険者がいます。集まっていますよ」
「酒盛りだ」
カリナが言う方に行った。
「ああああああ、殺される!」
「助けてくれ、死にたくない!」
逃げ惑う冒険者達の姿があった。
俺の方に寄って来るのでカリナが助けて聞く。
「どうしたの?」
「最下層のボスが、ボスが強いんだ。最速で到達した冒険者はみんなボスに殺された。だめだ逃げろ」
「ボスに? そんなに強いの?」
「強い、べ、べ、ベヒーモスだ。それと一人の鎧の騎士がいる」
「ベヒーモス? 嘘でしょ、ベヒーモスって言ったら最上級の魔物のはず。なんでこのダンジョンにいるのよ」
カリナが慌てて質問する。
俺も聞いていて疑問だらけだ。
あり得ない話だし、ケッテ街のダンジョンでベヒーモスは絶対にない。
運営会社ソフトイマージ社がそんなバカな事をするかというとしない。
まだ初心者から脱して来たのがケッテ街のダンジョンであり、そこにイベントでベヒーモスを出す意味がない。
「嘘だと思うなら行ってみろ。俺は必死で逃げてきたんだが、逃げると鎧の騎士に殺される。だが俺は騎士のスキを見て逃げたんだ」
「わかった、行ってみよう。しかしカリナとシュナは11階層に上がれ。危険だ。俺だけ行く」
「ペドロが行くなら私も行く」
「だめだカリナ。来てはいけない。もしベヒーモスなら援護は難しい。カリナを守れない、だから残るんだ」
「わかりました。11階層の上がって待ってます」
「絶対に帰ってきてよペドロ」
「帰るよ」
カリナとシュナは11階層に上がるように説得した。
説得に応じてくれて俺だけ進むとした。
マジでベヒーモスなら俺が行くしかないよな。
進んでいくとベヒーモスがいた。
「マジかよ、ベヒーモスだなこいつ。それと鎧の騎士が一人か」
ベヒーモスはAランク魔物だろうから、レベルは800以上は必要で、誰も勝てるわけない。
このダンジョンに来ている冒険者はレベルは200そこらだから。
すでに周囲には死んだ冒険者がいた。
俺よりも先に進んだプレーヤーで、人数は30人か。
そういえばバクエンはどうしたかな?
俺よりも先に行ったのだが、
「ペドロ、逃げろ。ベヒーモスには勝てない。死ぬだけだ」
「バクエンか、生きていたか」
生きていてはいるが、かなり深い傷もあった。
どうやらバクエンのパーティーはベヒーモスにやられたらしい。
倒れていて立っているのは俺だけか。
ベヒーモスが戦闘に来た。
俺を殺す気だ。
ベヒーモスはゲームでは有名な魔物。
巨大な4本足の魔物だ。
オークでもデカいと思ったが、オークよりも遥かに巨体。
「ドラゴンソードで切れるかな」
突進してきたから、回避スキルを使いつつ剣で切る。
「切れることは切れるか」
ベヒーモスの胴体を切る。
しかしAランク魔物だけに、まるでノーダメージですよってか。
そして回避するのが間に合わなくて、俺はダメージする。
「うううう! なんてパワーだよ。カリナとシュナは置いてきて正解だったぞ」
足で飛ばされた。
すげええパワーで、初めての経験だった。
もしレベル901じゃなかったなら即死。
死んでいた。
倒れている冒険者はみんなベヒーモスに負けたのだ。
もう一人の鎧の騎士は見たことないが、ベヒーモスの家来みたいなもんだろう。
無視してベヒーモス戦に集中。
蹴とばされて死にかかる。
運営会社ソフトイマージ社め、本当に信じられないな。