40.【Sideユフィー】リリアンが犠牲になって私が女王になるなんて最高じゃない!
【Sideユフィー】
「君こそが女王に相応しい。だけど、今のままでは難しいのも確かだ。なぜなら、今の国王や王太子には人を見る目がないからだ」
「確かにそうだわ!」
「自分たちに媚びてくる君の姉のような人物のみを重用し、逆に、ユフィーのように物事をハッキリ言う人材を遠ざけようとする。王族からすれば、男性のように対等に接してくる君のような優秀な人材より、男に甘える姉のような者の方が都合が良いんだろう」
「本当に最低だわ! 権力欲に支配されてんじゃねえよっ! って感じよねえ。リリアンもリリアンだけど、王族もくだらないわ。私みたいなサバサバした性格になれってんだよ!」
私はハッキリと言う。
それに対して、アンリは微笑みを浮かべて頷いた。
「その通りだ。でも、残念ながら今の彼らにどれだけハッキリ言っても煙たがられるだけだ。本来なら君のような女性が民に崇拝され、支配するべきだと頭で理解はしていても、自分の地位を守るために汲々とするだけなのさ。姉を見ていれば分かるんじゃないかな?」
「ええ、アンリの言う通りね。自分が王太子妃の立場を守るためには何でもやる最低の女だわ。私にとって悪い嘘や噂を流して社交界にいられなくしたのよ!」
思い出すだけでもはらわたが煮えくり返って、思わず持っていた扇子が折れそうなほど力が入る。扇子からはギチギチと異音が鳴った。
「分かるよ。自分が中心でないと気が済まないネチネチとした女なんだね」
「そうなのよ! しかも、その上、ジェラルド王太子殿下へも私がちょっとした手違いで王室主催のパーティーで粗相したことを誠心誠意謝ろうとした時も、先に殿下へ私の謝罪を受けないように伝えていたみたいなの! ああ、もう本当に女って面倒だわ! 私は男の方と同じ強いお酒が飲めるから、殿下にご相伴してリラックスして頂きながら、お詫びをしようとしただけなのに」
「ふふ、ジェラルド殿下か。何度か会ったことがあるが、あれは完全に君のくだらない姉のリリアン、彼女に甘えられていい気になっているだけのお坊ちゃんだ。王太子か何か知らないが、君の方がはるかに格上の存在さ」
その通りだ。アンリの言葉には真実がある。
「私は女王になる器なのですものね!」
「ああ、そうさ。僕が保障するよ」
「でも、一体どうすればいいのかしら? 私がいかに素晴らしい人材で、人の中心にいるべき存在だとしても、王族やリリアンたちが邪魔をするようでは、私は表舞台に立てないわ」
「そんなことはさせないさ。それはこの世界の損失というものだ」
そう言いながらアンリは私の手を握る。
「おっと、私はそんなに安い女じゃないわよ。まぁ、2回戦目がしたいなら、アンリの提案次第で考えてあげないこともないけれどもね」
私が長し目をすると、彼は苦笑しながら言う。
「ははは。では未来の女王のご期待に添えるよう精一杯努力することにしようかな。実はねここだけの話、君の姉であるリリアンを排除すれば、女王になることが出来るんだ」
「排除? 殺すってことかしら?」
「そうさ。君にその覚悟はあるかな?」
私は思わず、
「あっは。あははははははははははは‼」
哄笑を上げて、思わず膝を何度も叩いてしまった。
そして、笑ったせいで出た涙を指で拭ってからやっと口を開く。
「そんなことでいいのならお安い御用だわ! もちろん姉だから躊躇う気持ちが無いわけじゃないのよ? でも、私ってサバサバしてるから、国を駄目にする女をそのまま王太子妃にすることの方が許せないのよねえ!」
「さすがユフィーだね。そういうハッキリとしたところは正に上に立つ者の器だよ。僕も君を女王にすることに躊躇いはもう無くなった。もっと具体的な話をさせてもらおうかな」
「いいわよ。ふふ、リリアン。お前みたいなブスが未来の王妃なんて、冗談言ってんじゃねえよ。あんたみたいないつも男受けを狙ってるような女は王家に相応しくねえよ。私が女王として見本を見せてあげる」
「おいおい、その時にはもうリリアンはいなくなっているんだよ?」
「そうだったわね! 私ったら義理の姉なのに優しくしてきて上げたから、ついいつもの癖で彼女の至らないところを伝えようとしてしまったわぁ」
「不出来な姉に対しても、優しいなんて。さすがユフィーは大物だね」
「まぁね!」
そんな会話をしながら、私は彼から今後の計画を聞いたのだった。
それはこれまでの人生の中で一番、心躍る提案だったのである。
【小説・コミック情報】
皆様の応援のおかげで、ノベル第1巻がTOブックス様から、8/19に無事発売されます。
支えてくれた皆さん本当にありがとうございます(*^-^*)
素敵なカバーイラストは岡谷先生に描いて頂きました。
たくさんの加筆・修正を行い、巻末には書下ろしエピソードも追加しました。
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