31.一度目のざまぁを開始する!【前編】
視点が途中で切り替わるため、エピソードを分割しました。そのため少し短めになっています。ご了承願います。
【Side鈴木まほよ】
目の前のゲーム画面。そこには、
『(え? あ、頭の中にお声が……。あの、もしかしてそこにいらっしゃるのは、もしや運命の女神フォルトゥナ様でいらっしゃいますか? それとも、やっぱり私の気のせい?)』
という形で、リリアンの内心が表示されている。前と同じだ。慣れているせいか、驚きは少なかった。ただ、その代わり、私はすぐに謝った。
だって。
「ご、ごめんなさい。私ったら自分の境遇と重ね合わせちゃって。つい勢いで助けてあげるなんて叫んじゃったわ。でも、そんなのただの無責任よね。私の気持ちを押し付けてるだけだし。それに、あなたにはちゃんと幸せになれるルートが用意されてるから、きっと迷惑で……」
『(あ、ありがとうございます! 女神様!)』
え? 私が首を傾げているうちにも、彼女の感激した様子が映し出される。
『(私のためにそんな風に怒って下さる方は今までいませんでした! それに無責任なんかじゃありません! 女神様がどんなお立場にいらっしゃるのか分かりませんし、下界の住人には知る由もないことで恐れ多いことだと思います! でも、本当に僭越ですが、似た境遇の女神様が言ってくれた言葉が無責任なはずありません!)』
「リリアン……」
『(無責任というのは、ただ目立ちたいからというだけの理由で、人の悪口や悪評を流して自分を優位に立たせて婚約破棄を企んだり、重税を庶民にかけて贅沢三昧しながら着飾らなくても男達が寄って来ると公言するような人のことです! 殿下の前で身だしなみを整えてお会いした際に突然メイクが変だとか、男受け狙ってると言って場違いで下品な毒舌を吐くような人のことです! そんな身勝手で理不尽な人の【踏み台】になるために、私の人生はあるんじゃありません!)』
その通りだ。私は彼女の言葉に痛いほど共感する。
私も今日の食事は前に進むための大切な一歩だった。10年付き合った彼の浮気によって一方的にフラれたショックから立ち直り、新たな一歩を踏み出すための、シャルニカと約束した大切な日だったのに! それを雲田かな江という【自サバ女】が榊社長を狙って自分をアピールして踏み台にするために、私の人生に対してあらんかぎりの毒舌を吐いたのだ。
そうだ。私たちの声はくしくも一致する。
「どうしてそんな人の気持ちを踏みにじる自分勝手な人間の踏み台にならないといけないのよ!」
『(どうしてそんな人の気持ちを踏みにじる自分勝手な人間の踏み台にならないといけないんですか!)』
私は一呼吸吐いてから言う。
と、その時である。先ほど部屋から追い出したリリアンを、またユフィーが呼び出す声が部屋の中からかかった。本当に下女か何かだと思っているのだろう。
入るとリリアンを立たせたまま、ユフィーは言った。
『そうそう、言い忘れてたけど、来月の王室主催のパーティーに持って行く刺繍。いつもみたいに作っておいてね。言っておくけど、私のを一番にするのよ。あなたが目立つレースを作ったってどうせその顔じゃあ映えないんだから』
その辛辣な言葉を聞きながらも、私はピンと来る。そして、リリアンに微笑みながら告げたのだった。
「さあリリアン、早速【断罪】の策を授けましょう。だって、早速チャンスが巡って来たんだから」
『(え?)』
こうして、私とリリアンの【断罪】劇は幕を明けたのだった。
【小説・コミック情報】
皆様の応援のおかげで、ノベル第1巻がTOブックス様から、8/19に無事発売されます。
支えてくれた皆さん本当にありがとうございます(*^-^*)
素敵なカバーイラストは岡谷先生に描いて頂きました。
たくさんの加筆・修正を行い、巻末には書下ろしエピソードも追加しました。
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今ならTOブックスオンラインストア限定で、特典の書き下ろしSSが付いてきますよ~!
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※コミカライズも準備中です!
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