1.私だったらゲーム内の浮気王子に何度も【ざまぁと断罪】をする!
1話目は導入ということでやや短めです。次話から本格的なざまぁや断罪が開始されます! お楽しみに!!
「ガッデム!!」
私こと鈴木まほよは、ゲームのコントローラーを投げ出しながら叫んだ。
「何よ、このクソゲー!!」
そう言った私の目の前のウィンドウには、
「シャルニカ・エーメイリオス侯爵令嬢! 君との婚約は破棄する! 僕は真実の愛に目覚めた! このミルキア・アッパハト子爵令嬢と結婚することにする!」
などと、この乙女ゲー『ティンクル★ストロベリー 真実の愛の行方』の第一王子マーク・デルクンドは、王立学園の卒業式のパーティー会場で突如宣言したのである。
「ふっざけんなぁ! 何が真実の愛に目覚めたよ! ただの浮気じゃないの!」
私がこれほど激高するには訳がある。
私ももうアラサーのOLで、ずっと付き合っている彼がいた。将来は結婚するものとばかり思っていたのだ。
だが、
「すまない。他に好きな人が出来たんだ。別れてくれるか?」
10年近く付き合って婚約の話までしていた彼からの、別れの言葉はたったそれだけ。後で聞いた話によると、あいつはずっと若い女と浮気をしていたらしい。
そんな訳で私は精神的に参ってしまって会社を辞めて、今は実家に戻っている。ただ、今は心を癒したい。そう思って手を出したのが、今流行っている乙女ゲーという奴だったのだ。
おおむね、イケメンの男性が沢山出てきて、主人公の女性であるシャルニカがモテモテになる、という内容だと説明書に書いてあった。
そ・れ・な・の・に。
「こんな身勝手な浮気が正当化されて、傷物にされて、しかも一方的な婚約破棄ですってえええええええ!?」
恐らくこの後、婚約破棄された主人公の元に色々なイケメンたちが寄ってくるのだろう。なお、この第一王子すら攻略対象だったはずだ。なので本編はまだスタートしていない。
だが!
私は自分の境遇と余りに状況が重複していたために、思いっきり感情移入してしまう。
そして誓うように宣言する。
「私だったら絶対許さない。こんなことが許されて良い訳がない。そうよ、それにそもそも家同士が決めた結婚をこんな身勝手な理由で反故にしてうまく行く訳がない。つついたらボロが出るに決まってるんだ」
ならば、
「くうううううう! 私がもしシャルニカだったら。いえ、せめてもしこの声が彼女に届くのだったら」
私は情念のこもった声で言った。
「一度の断罪じゃ済まさないわ。そう。それこそ何度も何度も、毎日毎日、断罪して、ざまぁって言ってやって、悔しがらせて、この浮気男に【徹底的な断罪とざまぁ】をしてやるのに!!!!」
パリン。
「えっ?」
何かガラスが割れるような、変な音がしたような?
携帯電話……からではなさそうだ。裏返しにした携帯はメッセージの着信の信号を示す光が漏れているが、あんな音はしない。
そんな時である。
(頭の中に声が……。誰かそこにいらっしゃるんですか? それとも、とうとう私はショックで頭がおかしくなってしまったのかしら)
そんな心の声が、ウィンドウから音声として漏れて来たのである。
それは余りにも突拍子もないことだが、この乙女ゲー『ティンクル★ストロベリー 真実の愛の行方』の主人公シャルニカの声なのだった。
【小説・コミック情報】
皆様の応援のおかげで、ノベル第1巻がTOブックス様から、8/19に無事発売されます。
支えてくれた皆さん本当にありがとうございます(*^-^*)
素敵なカバーイラストは岡谷先生に描いて頂きました。
たくさんの加筆・修正を行い、巻末には書下ろしエピソードも追加しました。
ぜひ【ご予約】くださいませ。
今ならTOブックスオンラインストア限定で、特典の書き下ろしSSが付いてきますよ~!
https://tobooks.shop-pro.jp/?pid=175028087
※コミカライズも準備中です!
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