女子高生の指導霊が僕を差別します。
「こりゃ! しつこいぞっ、いい加減成仏せい!!」
「そうじゃそうじゃ、二度と近付くでないと言うとろうがっ!」
「そんな、僕はただ修行をしているだけなのにっ」
「なにが修行じゃ、可愛い孫にお前のような者を近付けてなるものかっ」
「これは差別だっ、ほかの浮遊霊が何体か付いてる人が居るのに僕だけー。憑依とかしないから、少しだけスカートの下を覗くだけだからっ」
町中をゾロゾロと女子高生が帰っている横で、僕は女の子達の指導霊に土下座をして許しを請う。今日こそ、なんとしてもエロいことをして色情霊にならなくては。
「お主、浮遊霊のくせに何故色情霊の様なマネをする?」
うおっ、今日はかなり古い時代の守護霊様のお出ましだっ。
「お侍様、僕は生前のことをあまり覚えていないのですが……。一つだけ、一つだけハッキリと覚えている事があります」
「ほう、それは?」
「僕は死んだら絶対に色情霊になる! と決めていたことです。それよりどうして僕だけ彼女たちに近付いてはいけないのですか? 他の浮遊霊は数体取り憑いているのに、これはもうイジメです」
「我らはべつに浮遊霊からこの者を守ってはおらん。自力ではらうのを手助けはするが、基本的に見守っているだけだ。お主を追い払うのはー、孫に変なことをしようとするからだろう」
うんうん、と周りのじっちゃんばっちゃん達が頷いている。
「しかし……、分かった。ならなぜお主は浮遊霊なのか。決めているなら始めから色情霊になっておるはず」
「それは……、僕にも分かりません。ただ、今の僕には性欲というのが一切無いのです」
「ならばもう諦めて成仏せよ、仕方が分からぬなら我が上げてやろうぞ」
お侍さんはそう言うと、ふおぉぉっ! と気合いを込めはじめた。マズイ、このままだと強制的に浄霊されてしまう。
「い、いえ、お構いなく。それじゃー」
「待て、待てと言うにっ、ええい待たんかっ!」
僕は素早くその場を離れた、最近段々とコツが掴めて素早く動ける様になったのだ。