その なにか
暗いと思っていたが
多分 違う なにも見えない
きっとこれは 暗さ ではなく
「見えない」のかもしれない
だって 目を閉じても 闇
目を開けても 闇
「見えるかもしれない」という 希望 が
全く存在しない そんな空間
しかし何故だかそれは 黒ではなく 闇
それは、解る。
その深い闇の中
微かな 予感
聞こえてくる足音は
とてつもなく 奇妙な音
奇妙というか 何というか
何かを
潰しているような
叩きつけている様な
キモチワルイ 音
グチョグチャ ネチョリ
グチョグチャ ネチョ
グチョグチャ ネチョリ
グチョグチャ ネチョ
グチョグチャ ネチョリ
ちょ
そろそろ
勘弁
俺がそんな事を思っている間にも
音は 近づいてくる
いやな 臭い
鼻をつく 悪臭
纏わり付く 闇とその臭い
ベタベタネットリ
臭い 暗い なんか コワイ
この 闇の中にいるだけでも
気持ち悪いのに
更に それ が
近づいてくるのだ うげ。
その確実に近づいている なにか は
大分もう、俺に近い とても近く
少し吐きそうになりつつも 鼻をつまみ
目を凝らす俺
しかしそれがいけなかった
一度の瞬きの後
「それ」は姿を現し
その 人ではない
動物でも 多分ない
なにかの 不廃物の塊の
よ う な
「それ」が目の前にいきなりあったもんだから
俺はもう全速力で走った
なりふり構わず 反射的に
これは本能か
前も思ったけど 俺は意外と足速くなってた
しかし
しかし
その「なにか」は俺と同じくらいの速度
「ありえねぇ!」
そう 叫びながら兎に角走る 俺
こんなに走った事 ない
手なのか なんなのか 延びてくる
「なにか」から、必死に逃れようとしていた。
とにかく
とにかく
走って
走って
逃げたんだ。
「あっ!」
遠くに窓が開いたのが見えて
俺は走る 全速力 最後の力を振り絞って
「アレ」に捕まるわけにはいかない
その一心で 走りまくってギリギリセーフ
開いた窓に、飛び込んだんだ。
…………………………………
「どわっ!」
ドサリと突っ込んだのは
いつもの俺のベッド
いや、俺たち♡のベッド
「 よゆうが あるな」
そんな窓の皮肉を聞き終わる前に俺は
クレームをつけた
「ちょ、マジで俺死ぬかと思ったんだけど!あれ、何?」
まだ心臓はバクバクいっている
窓はベッドの端 窓際に逆光で座り
俺を見ていた。
その 深い森の 静寂に包まれた様な 窓
その色を見て
やっと落ち着きを取り戻してきた俺
しかし
しかしのしかし
「どういう事だよ。なんで?」
俺のその言葉を 少し 噛んで飲み込んだ窓
そうして窓は言った。
「おまえ このこと 一緒に いるのだろう」
「ああ。」
「ならば たえよ 」
えっ?
全然 分かんねーけど?
「だから、なんで急にこんなんなるわけ??」
また 少し 細まる窓
大きな瞳の端にシワが出来
その
太古の生物の生態を見た
みたいな気分になった俺。
とりあえず興味深いからそのまま見ていた。
その、窓が考えている 様子を。
しばし 考えた末 窓は言った。
「あれが おりだ 」
えっっっっ
おり?
って
あの
あのあの
かの 有名な
甘いのがごっくんしている や つ
だよね?
「まじで?」
ゆっくりと 「そうだ」という意味の
瞬きをする 窓。
「あんなもの、飲んでたら。」
「そりゃ、いつか 死ぬわな。」
「はぁ。」
「ほう。」
「ふぅん?」
「成る程?」
で?
俺は アレ
消化したやつ
飲んでんの?
「オエッ。」
そんな俺を見て 窓は言った。
「やめて も いいぞ 」
え いや だって そうすれば
「ダメでしょ。俺の甘いのが 」
「俺は助ける。彼女を。」
ん?
でもさ。
よく、分かんないんだけど。
「で、なんでまた今日はその、変な所に連れてかれたワケ?今までと、何が違うの??」
そう、訊いた俺に
窓はまた しゅっ と
細まって
考え始めたんだ。




