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page 8


ああ


できれば、ここから先は

読まずに済ませたかった。


きっと、きっとお前がこの頁を読んでいるという事は


あの、甘い、アレを啜る前に帰ってきたという事だろうな。


と、いう事は、だ。




前回よりも余裕は、無い。


暖炉で暖まって、一晩寝てからなんて考えるな。

僕はそれでまた寝たきりの、リハビリからだったからな。

まぁそれも無事、また辿り着く事が出来たらだけど。


多分。


多分だけど。


彼女が本気で拒絶したなら、きっとあの森へは帰れない筈なんだ。




実感しただろう?


あの森は、彼女の影響を受けていると。


その通りだ。


きっと何度かは彼女も思い直して、迎えをよこす筈だ。

だがな。しかし。


お前が何か、致命的な事を起こした時

迎えはもう    現れないんだ。




僕はそれで同じ森で、何度も迷い

違う森にも入り

そうして永久に、彼女の森を見つけられなくなった。


でも、もしかしたらこれを書き終わったあとに

チャレンジする森で

実は待っていてくれるかもしれないけどな?


その、仕組みはよく分からないのだ。






さて、今回お前がどのヘマをして

戻されたのかは知らないが、多分僕よりは

マシだと思いたい。

だって君はこの報告書を読んでから、森へ行っているのだからな。

マシになってないと、困るんだ。



帰された理由は、なんだか分かるか?

それが分かれば…僕の知ってる事ならいいんだが。

とりあえず、思い当たる事から書き留めておく。




ちゃんと、彼女の仕事に文句を付けずにやったか?


人とあまり関わらなかった為に、彼女との付き合いも勿論、手探りだった僕だが役に立とうとするあまりに余計な事まで口出ししない様に気を付けろ。

彼女は彼女なりの、やり方がある。

母親から引き継いでいるらしいが、それはあっちが言い出すまで黙っておけ。


泣くぞ?

まあ僕は泣かせたんだけどな。

気を付けろ。



それかあのカラスに馬鹿にされて

帰ってきたんじゃなかろうな?


あいつは僕を揶揄うのが趣味みたいな奴だ。


しかも人間に化けるとイケメンなのがタチが悪い。


ケッ



思い出しちまった。


いかんいかん。


いやさて。とりあえずアイツは無視だ、無視。


とにかく彼女との気になるネタを投げてくるが

大体誇張しすぎのヨタ話だから

気にするな。気にしたら、負けだ。


何かキラキラしたものでも、遠くにぶん投げておけ。多分、追いかけて行くだろう。

確か戸棚にビー玉がなかったか?


あったら持っていけ。




あとは


なんだ。



なんだろうな。


もしかしたら。僕は。

慎重になり過ぎていたのかも知れない。



色々、勿論心の中では色々な事が

それはもう沢山、渦巻いていたのだけど。




「これを言っても困らせる」

とか

「きっと迷惑だ」

とか

「僕の事なんて好きなわけが無い」

とか

「どうせ居候だ」

とか

「恥ずかしくて言えない」

とか



もう、色々な事を言い訳にして

ほとんど なにも

彼女に、伝えられなかったんだ。


「僕なんかが」とか「女の事はよく分からない」とか言って。




しかしな。


こうなってみて初めて

そんなちっさなプライドなんて


傷つきたく無いという

僕自身が置いた小さな壁なんて


さっさとぶっ壊せば良かったのだと

そもそも作らなくて良かったのだと

後悔しても遅かったんだ。



僕は

別に誰も見ちゃいない

あの彼女との森の小屋で


誰に格好付けていたのか


何処への体裁を保とうとしていたのか


何故彼女と自分の気持ちを一番に考えられなかったのか


きっと、死ぬ迄後悔し続けるのだろうよ。





なあ、僕よ。


きっと、報告書を読んでからあの森へ行く事の出来る、幸運な僕よ。


少しは未来は変わったか?


一言でも、彼女に何かを伝えられたか?



お前が彼女を欲しいと思ったなら


プライドはここへ置いて行け。


その暖炉に入れて燃やしてから、行け。




森へは死にに行った筈なのに


救ってもらったからと


また生きている時と同じ過ちを続けた


僕の様になるな。




お前は 自由だ。



誰が見ているわけでも無い


何に縛られているわけでも無い



お前が相対しているのは


 

 あの 甘い 彼女 ひとり



それを忘れるな。




無理な事なんて


何も無い。


彼女を失うことに比べたらな。






いつでも始めの心を忘れるな。


お前は



死にに



行った。




そこであの甘い   に救われて

欲を出した。


生きる


という欲だ。



「生きる」には 現実では沢山の


ルール 柵 重い荷物 足枷 障害物



がある。



だがあそこは現実であって、現実では無い

魔女の森だ。



もう一度言っておく。




お前は 自由だ。




重い荷物は持っていないし お前の足を引っ張る奴もいない。


ただただ彼女にきちんと

向き合うこと。



自分以外の存在とすり合わせをして

歩み寄ること。



それができれば、きっと。



大丈夫だろうと、思うんだ。




分かったな?

大丈夫か?

三回くらい、読めよ??





それでは


もう続きを読む事がない様、また


祈っているよ。










追伸:あのカラスはお前のライバルじゃ、ないぞ。







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