俺の けじめ
そうして俺は無事、起きられる様になった。
名前はまだ、ない。
いや、あるけど。
あるけど、言ってないね?
でも、必要無いと言えば、無いのだよ、きみ。
分かるかね?
名前 というものは
呼ぶ人 がいて 初めて
用をなすものなのだよ
だよねー
あの甘いの 呼んで くれないよねー
呼んで くれないかなぁー
無理かなー
とりあえず
とりあえず 俺には
ミッションがある。
そう、この、扉を開けて あの
あの 俺の 甘いのに
しゃ ざ い
をせねばならんのだ。
そう、俺は忘れていなかった。
謝ったよ? 夢の中では、な。
やはり
ここは
けじめ として ビシッと
顔を見て 謝らんといかんだろうな うむ。
やはり
ここは
これからの 俺達に 俺達
こ れ か ら の 俺達♡
に
必要だと 思うのだよ、きみ。
だよねー
決意だけは
すぐ できんだけどさぁー
この、この扉が 開けられんのよ。
何か 魔法でも きっと
かかってないよねぇーーーーーー
さあ
開けろ俺
また 家に戻るのは御免だぞ。
「うおっ!」
そうして俺は
願い通り 背後から 影にどつかれたのだった。
……………………………………………………
「おはよう。」
甘いのは いつもの 端っこ
隅の あそこ 薪が少し減った あの隙間に
今日も挟まってる。
ん?
しかしまた縮こまった俺の 甘い
ん? 元にもどってねーか?
俺の あの
血の滲むような努力 水の泡?
いやしかし
それを招いたのも 俺自身なのは確か。
しかし俺は
甘いのマスターにまでなったおとこ
やるときゃ やるのよ 見てて おっかさん
ほい
手 だよ 俺の あの懐かしい 手
また 乗せて?
ほら 大丈夫
大丈夫大丈夫
んーまた大丈夫言い過ぎて信用無い感じ
ねぇ
甘いの。
「今日も 可愛」
あれ
おれ もしや 家出して まさか生まれ変わった
プレイボーイに?
おんなの顔見て 「可愛い」なんて
言えるとは
でもよ?
お前ら
予想してたか?
甘いの 目を背けた 壁見てるよ
おい 誰だ おんな褒めればいいって言ってたやつ
ぐるぐるさんか??
逮捕すんぞ。どーすんだこれ
うーーーーーーーーん?
あっ
あっ、戻ったよ 戻った なんだ?なんだったの?
しかし 甘いのの手がピクリと 動いたのは見逃さない
おれの視力は3.5 勿論ウソ
少し 和らいだその瞳に 間違いでは無いと
俺は 確信。
今日も若草のそのビー玉みたいな目は
俺の手をじっとみてる。
俺の手を じっと 見て
乗せて~ それに乗せるんだよ? ほら
思い出して?乗せてたでしょ??
君の 君の 君専用の 俺の オテテ よ
よっ それ ほい の、のっ
乗せ、ほい よっ あと一歩 それ
ふぁ
ふぁっ ふぁふあ~ やわけ~
や わ け~
あっぶねぇ
にぎにぎすっとこだったわ あぶね あぶね
急に にぎにぎは まずいよな
それにしても「泣いてるおんなを抱きしめる」とか俺多分100年後とかにできてるか、できてないか。それすらワカンねぇよ
さて。
で?
どうする?
ここで謝っとくべき?飯食ってから?
どっち??
考えろ。俺の頭。仕事して。
いやしかし これ迄の経験からいいまして はい
先送り→×
だよね。はい。分かってます、 そうよね
つい
力が入る俺の 手に
若草の瞳が 近くで
ゆらりと 揺れたんだ。
それを見て俺は彼女を安心させようと考えていた事を、頭の中に並べる。
俺が勘違いをして部屋に篭り、彼女を泣かせてしまった事。とても、悪い事をしたと
思っている事。あの甘いのは俺だけの甘いのにして欲しいこと。これからはきちんと、思っている事は言うこと。それが嫌な事なら、遠慮なく言って欲しいこと。
「ごめん、なさい。」
しかし
しかし しかし
ヘタレな俺の口から出たのは その 一言だけ
どんだけ
思っていても 口に出さなきゃ
ないのと同じ だが 俺のきみよ
少しだけでも
俺の意を 汲んではくれまいか
なぁ きみよ
もしも
君が 魔女ならば 俺の頭の中ですら
読んではくれまいか
いやしかし 全部は 恥。
部屋の隅
パチパチと 爆ぜる 暖炉の薪
そうして甘いのは 初めて
俺の手を取ったまま 喋った
「 わたしも 」
それだけ。
それだけだったけど
なんでか俺は 俺の 甘いのの言いたいことが
分かった 気がした。
そうして俺達は
手を取り合ったまま少し
少しだけ
笑い合ったんだ。




