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自宅で 俺は


「ウソだろ…………。」



俺は。


最初にあの缶を開けた時、嘘だと思わなかったわけじゃ、無い。



でも、正直言って死にたいとも思ってたし、実は「甘い何か」も気になって、いた。


しかし

嘘だと思ったり「甘いの」を探したりすれば

辿り着けないと、書いてあったからそうしたのだ。


多分、必死に考えない様に、して。








そう、気が付いたら俺は家にいた。


暖炉の前、俺のコートはソファーに掛けられていて火も燃えている。


テーブルにはあの紙束。


始めのページしか見えなかったその報告書とやらは、今は7頁迄、見える様になっていた。



よく、考えろ?


もう、一度森へは行った。


だから、多分俺がここでアレコレ言っても多分彼女と森の存在は無くなるわけじゃ、ない。


この、報告書内の「僕」も言っている様に。




しかし。

本当に。

俺だったとは。


いつから「僕」なんだ?

あの森で、お淑やかになったのか??


まぁ、それはいい。



とりあえず俺は、その報告書をまた始めから隅々まで読む事にした。






「まぁ、言うても大した事書かれてないんだよな………「アレ」以外は。」



ソファーに身を投げ出し、額に手を当てる。


生きてて、温かい、いつもの、俺だ。


あの、赤ちゃんみたいなヤツじゃ、ない。



なんだろうな。

あの。


あの、あそこに居ると馬鹿みたいになるやつ。


やはり、魔女の森だからか?

()()にいる俺は

ちゃんとした

ちゃんとした

大人な筈だ。



とりあえず頭を振って、地下へ行く。


何だか腹が減った気がするからだ。


サーモンを見つけてホッとすると、保存用のパンを幾つか、掴んで戻る。

ネズミは居なそうだ。

結局、姿はハッキリ見ていないしな?


まさかアレも……………?


どうだろうな。

無いとは、言い切れない。



キッチンは寒く、そのまま居間で食事にする。


とは言っても、サーモンとパンを齧るだけ。

俺がネズミだな、これ。



ああ、彼女との食事が恋しい。

あまり味がしない燻製、固いパン。


しかしあの報告書には「すぐ森へ戻れ」と書かれていた。


やはり俺はここに居ても、そのまま弱って死ぬのだろう。

あの、俺の甘いのが切れたと同時に。




しかし、冷静なうちにどうするか考えなくてはならない。


そう、森へ帰るという事は。



無事、また辿り着けるならば。


ん?また死ぬ気で行った方がいいのか?

しかし辿り着けなきゃ、本当に死ぬからな。

まぁ一緒か。



問題は、着いた後だ。


そう、別に俺があんな赤ちゃんみたいじゃないとしても。

冷静な、俺だとしても。


そう、俺は泣いている女を泣き止ませるスキルなんて持ち合わせてはいないんだ。


どうする?

ぐるぐる検索するか………とりあえず。

ちょっと待てよ…………えーと「泣いてる女を」

なんだ?

「泣き止ませる」「慰める」


ほい、トン、と。


ん?


・泣いてる女の子の慰め方


「女の子」か?あれ あの 俺の甘いの。


まぁいいか………。


うん?


・問題を解決しなくていい


えっ


ちょ ちょっと? そうなの??


待って。なにそれ。

え?じゃあ俺、何で甘いの泣いたか聞かない方がいいの??マジ?ホントに?ホントに本当?

後で怒られたりしない?


「仕方のない人」とか言われない??


いや、それはそれで、いい♡


あっ、また馬鹿になってる。いかんいかん。

甘いのは思い出すだけでヤベェな。



・理由を理屈で追求しない


えーーー?

マジ?どゆこと?ぐるぐるさん、嘘ついてないよね??

えっ。じゃあ適当に流した方がいいの??

マジ?

なになに………


・理由を知っても解決できない事が多い


えっ。

なに?

おんな って 

地球外生命体とかなの???!?


意味わかんないんだけど。

ちょっとぐるぐるさんに聞いたの、失敗?


いや待て。

とりあえず最後までは読もう。だって俺には

他に助けてくれる人はいないのだよ。


なになに?


・泣き顔をあまり見ない


おお、これは出来そう。

だって。そもそも女の顔なんてそんなじっと

見れなくね?なにそれ。

その、モテるやつみたいな。

無理無理。


じゃ、次。


・抱きしめる


おおおおおとおととたおおおおおおたともあたいた???

ちょ

急にハードル上げんなし。


これはちょっと家出案件。はい、却下。



・ハンカチを渡す


えっ それ?

ハンカチ王子か!


しかし。お前、俺を甘くみてるな?

おま、お前人嫌いの話し下手な俺がハンカチをポッケに常備しているとでも??


いや、母さんの言い付けは聞く方よ?

いい子ちゃんの俺。


しかしよ、しかし。

ハンカチは持ってねぇよ。


じゃ、持ってこ。



で?次は?



・見守る


それ得意。

それにしよ。そうしよ。

えー。でもさ、ホントに見てるだけで解決すんの?理由聞かなくても?

ホントに??


そんな魔法みたいな事、あるの??


魔女だから?しかし魔女の慰め方って、同じ?

てか、俺の甘いの、魔女なの??




まさか それも ぐるぐるさん知ってるかな?


ちょっと楽しくなってきたな…。


えーと。「魔女とは」



・人智を超えた力で人に害を及ぼす

・悪霊と交わって魔力を得た女性


えっ。コワッ。

ちょっと、うちの甘いの、魔女じゃなくね?

この定義で言えば。

だって。

だってうちの あのこ 可愛 可愛

可愛い いよ?


害、及ぼされて 無いよ?


いやいやしかし

その時その場所によって

違うのだろう魔女の定義は。



じゃあいっか。



で?

とりあえず、ハンカチ持って~





あれ?それだけか?



そんなもんか。


じゃあ、行くか。


暖炉の火を消し、報告書をまた缶に仕舞う。



あの子の名前は何というのだろうか。


いつか、教えてくれるかな。

俺が、死ぬ前くらいには。



でもアレな。

きっと

きっとよくあるパターン。

名前教えると

都合悪いやつ。多分、それか。


まあ 正直

名前なんて、重要じゃない。


俺はやるだけやってみる、だけ。



よし。行こう。


コートを羽織る。


ポケットには飴の包紙。


新しい飴を一つ。それとハンカチ。黄色な、黄色。




そうして鍵を閉めて

俺はまた、森へ向ったんだ。








追伸:俺、ありがとう。

  それだけ分かれば、頑張れそう。








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