次の日
「おはよう」
「おはよう、影。今日は?」
「あっち」
「………そうか。」
良かった。
調子に乗ったから もしかしたらもう
あっちの部屋 出禁になるかとおもったわ
良かった 良かった
さて 今日は四歩 近づけるかな
…………………………
「おはよう。」
俺はちゃんと挨拶する事にした。
やっぱり、大人の基本 いや 子供もか
姿が見えないと 挨拶してくれるんだけど
この 女の人 も
ん?
待て。ナンカチガウ
?????
今日、違う人なんだけど。ナニコレ
甘い 俺の 俺の甘いのは?!
「影。」
「なに」
「俺の甘いの、どこ行った。」
「いるよ」
「どこに?外?」
「そこ」
「えっ。」
いや いないけど。
ていうか 正確に言うと 違う人なんだけど。
誰?
しかしきっと 同じ女 なのかも
だって今日も彼女は 壁と 薪の 間
挟まっているから
こんな所にハマる奴はそうそういない
そして 瞳の色こそ違うが
浮かぶ色は同じ 警戒と少しの恐怖
うーん
どういう事だ これは。
なんだなんだ どーなってんだ おかしいな
いやでも 彼女は多分 魔女
若しくは 人では ない もの
だから
そうなのか。そういう事?よく分かんないけど
まぁ 甘いなら いっか。
そう、今日の彼女は昨日よりもぐっと大人っぽい黒髪だ。
瞳は深い青。多分。
少し濡れた様に光った時、青かったから多分青いんだろう。ここからみると隅っこにいるから、黒っぽいけどな。
多分、青いんだろう。
しかし、服装が同じだ。
だから、そうなんだと思う。
どうして どうやって 何故
違うのかは 分からないが
俺は まぁ どっちでもいい
昨日のでも 今日のでも
しかし
褒めるべきか
母さんは
「髪型を変えたら褒めろ」と言っていたぞ。
しかし
髪型は一緒だ。髪の色が、違うんだ。
そんな時は どうしたらいい
褒めるべきか 褒めざるべきか なぁ 影よ
「なぁ。」
「なに」
「なんで?」
「?」
「違うだろ。」
「さあ」
やはり影に聞いたのは 間違い
俺も 学習しない男
しかしとりあえず 今日も 動かない彼女
話はしなくていい せめて 一緒に座ってくれないだろうか
まぁ
そんな事を言えるのなら 今頃相手の一人や二人
いや それは 駄目だろ
相手は 一人
真面目か
さて
ちょっと試してみよう。
そう、俺は大人だから 学習したから
まず三歩。
どうだ? オッケー? 大丈夫?
もう一歩
おっ。イケる。でもさっきより 縮こまってるぞ
ヤバいか ヤバいのか どうなんだ
いいぞ顔に出して 俺も 分からないからな
喋るか 出すか してくんないと
ちょっと ちょっとずつ もうちょっとちょちょ
あっごめんごめんごめんなさい すいすいません
あ、はい
駄目、ここまで。はい。
しかし 結構 ちかくね?
俺はその距離を確認すると、テーブルを移動させる
彼女の 近く
一緒に食う 気分だけ 一人より 美味い
折角の食事だもんな 作ってくれたのか?
魔法?しかし 美味い 手作り さいこう
俺はこのトマトベースが好きだぞ
ん?
やっぱ腹減ってないか?パン 食う?
いや、君のパンだけど。
ほら どうぞ なんか餌付けみたいだけど
しかし実際餌付けされているのは確実に 俺
まぁ 甘いから なんでもいいけど
今日は謎の配置で一緒にパンを食べた。
進歩だ。
え?甘いの?
そりゃ啜ったよ?
甘かったぁ なんか 段々 甘甘 甘い
なんでか 甘い 甘くて 柔らか フワリと
甘い 甘い 甘くて 死にそう
最近 甘過ぎて 全部喰いたいんだ
しかしきっと 全部喰ったら なくなる気がする
それはまずい
我慢我慢
………………………………
「おはよ。」
その次の日からはなんとなく扉を開けて、普通に朝食に行く。
影は始めから、こっちの部屋にいた。
もう、このルーチンでいいらしい。
あれ? あの 甘い 俺の 甘いヤツは?
あの隅っこに いないんだけど。
「影?」
「なに」
「あの、甘いのは?」
「さあ」
「役にたたねぇな。何か言ってなかったか?」
「なんも」
そうか。
まだ 俺は 伝言するには値しないのか
ずーん
えっ。俺 めんどくさっ
ん?寒い?
その時扉が開いて吹雪の中帰って来たのは、雪まみれの女が一人。
真っ赤なフードのマントが眩しいその女は
あれ?
俺の甘いのは?
また? え? どうなの?
まさか 毎日? 毎日違うの? 忙しくね???
やはり瞳に警戒の色をまだ残した俺の甘いヤツは
今日は
金茶の髪、フワフワ、薄い茶色の瞳。
フワリとした動物の毛がついたフードコートを脱ぐと
いつもの あの ボロ
ああやっぱり 俺の
しかし
忙しいな。
何故、毎日違うんだ?落ち着かなくね?
しかし俺には女ゴゴロなんて
分かりやしないんだ。
それが 彼女なりの 考えだなんて
全く思い至らなかったのさ。
甘




