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あの 甘いのは


                  甘い





   甘い


それはまるで


野生動物の様な目をした 一人の おんな


多分 女の人 子?


どうだろう


少し恐怖と怯えが映るその 多分


若草の瞳 多分 グリーン


部屋の隅に縮こまっているからよく見えない


でも多分 近づいてはいけないのは


判る。




年の頃は俺より下なのか 上なのか


しかしとりあえず隅っこに挟まってるから


よく分からんのだ



吹雪の森の 小さな小屋


暗くもないが そう明るくもない



だからよく 見えない。



「影。」

「なに」


影はいる。話しかけない方がいいのか?

でも昨日 「明日」って言ったから


こう  なんじゃない?



さて どうする俺よ。



この なんだ 女の人? どうなの?


壁と 薪と 隙間に挟まってるけど。


笑っていいとこ?


でもな。目は その多分よく見なくても判る


美しい瞳は


まだ


怯えの色を映していたから。



とりあえず俺は



パンを食うことにした。




…………………………




パンはいつものパンだ。

美味い。

あの あれよりは あれだけどな。



その 女は まだ隙間に挟まったままだ。


そのまま俺を見ている。



スープも食べる。

食べ終わるぞ?いいのか?


一応、向かい側には同じ様に用意された食事


誘うべき?


無視?


どっち??



俺は 女の人との話し方なんて 知らないんだ



「ちょ、影。」

「なに」

「あれ、どうなの。」

「なに」


「なにってお前、あの、あの隅っこのあれだよ。」

「うーん」

「なんだよ………。どうすりゃいいんだ?」


チラリと視線を投げる。


見てる 見てるけど まだ


怖がってそう 多分だけど。


あれが あれが本当にあの 甘い 甘いあれ?



縮こまってるから 柔らかいのかも


見えないし 何か俺の事 嫌いそう


ちょっと 傷付くな………


あれがしかし、あの甘いヤツなのか??

人なの?

甘いものって??



「影。」

「なに」

「あの、あの夜のさ、あの…………甘いヤツ。」

「うん」

「それって。」

「うん」

「(あれ、なのか?)」

「うん 」


なんだ その間は。


しかしどうやら


甘いのは  あの あのおんなで


間違いないらしい。


良かった ジャバウォックじゃなくて。




とりあえず 結局、どっち?


話しかけるべき?


よく考えろ。

今日も夜に甘いのが来る筈だ。

その時

「またね」

って言うかな。



じっと 女をみる。



栗色の髪がボサボサのまま束ねられていて

鼻が赤い

トナカイか


若草の瞳は まだ 俺に釘付け


ん?いいな 俺に釘付け


いかん 甘いの啜ってないのに 馬鹿


女をじっくり見る事なんて 無いからな


緊張するわ


あの


掃除の時のやつみたいなのを 頭に巻いてる


ボロいスカート ズルズルしたシャツ?


凡そ 魔女には見えない


その少女? 女の人?



どっち?  女の年齢 分かんない



兎に角その人は 俺から目を離さない


多分 綺麗な部類の顔立ち


ただ 警戒の色を宿した瞳と 少し険しく硬い


表情


それがその人を冷たく寒い 硬い ザラザラの


剥き出しの何かに 見せたんだ



………………………………………




すっかり食べ終わって、あまりジロジロ見過ぎるのも失礼かと思った、気の利く俺。


とりあえず自分の皿は 片付けた。



「影。」

「え」

「どうすんの、これ。」

「さあ」


おい


流石テキトーだな。


俺はしかし大人だ。

ちょっと試してみよう。



もう一度 女を見る。


まだやっぱり見てる。 凝視。 どうなのそれ。


まぁ


女性に見られる事なんて 死ぬまで無いと


ああ、母さん以外な


思ってたから いいかもしんない。


結構 病みつき



調子に乗った俺は 一歩


近づいてみる。


少し 瞳が動く 俺の 足元に


おお。女が俺の動きを見てるぞ。凄くね?

そんな事が生きてるうちに、あろうとは。


ああ、母さん以外な。


そう思うと 母は 偉大


いかん、初めて女に見つめられてるから頭おかしくなってきてないか。いや、いつもか。



なんか俺ここに来てから アホになってるかも。



しかしとりあえず 一歩はオッケーらしい。


よし


じゃあ もう 一歩 ん?駄目?


駄目?絶対?駄目?大丈夫 大丈夫


ほら 大丈夫でしょ?


ね?


ほら


もういっ



ああ


ごめん。はい。ストップね。はい。ごめんなさい。調子に乗りました。はい。

甘いの………減らさないでね?




結局その日は 三歩


とりあえずそのまま女は動かなかったので


俺は部屋へ帰った。



一人なら食事をするだろうと思って。




それにしても アレ なんだろうな。


でも母さんが言ってた。

「女の子の容姿にアレコレ言うのは絶対駄目」


はい 俺マザコンじゃ無いけど

人の事よく分からないから 母さんの言いつけは

守るよ


だって 傷つけるかもしれないから

駄目なんだろう?

それなら 黙っていればいい


俺は 甘ければ いいからな。 うん







その日の夜も いい匂いがして来る前に

俺は寝てしまった。何故だ。わざとなのか。

今日こそ ちゃんと









うん?


いい匂いが してきた


夢か?どっち?


おっ 柔らかい じゃあ夢か


すべすべしてんな~ 柔らかいなー

なんだろな この 甘い 甘い 匂いは


何かの 果実か それとも     薬か



もっと こっち 

ん?どこ ああ そこね


オッケー 甘い 甘い 今日も 甘甘


そういや 今朝の アレは キミなの?


甘いけど 警戒してた? 


こんなに 甘いのに?


おかしくない? 警戒してても 甘いの?


だってほら 甘い 甘甘  もっとぐっと


啜って 余すことなく 舐め取って


うん? なぜか キュッとした


おお 甘い 甘甘甘 あますぎ  あまあま



あ ま~~い



もっと 揺らして 揺ら揺ら


フワフワ 甘い 甘甘甘い


ずっと ずっと 甘い ずっと この


この 甘いのの中に 甘い   が


俺の 俺の甘いの


ああ



死んでもいいけど

死にたくない



俺の 甘いの


明日は 出てきてね



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