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君には
帰りたい場所は
あるか。
世界中の森を旅してきた。
そんな僕が最も「帰りたい」と思う森はあの「魔女の森」だろう。
もう一度だけでいいと
何度も森に入った。
夢だったのかと違う森にも挑んだ。
だが もう残っているのは雪の無い地域の森のみ。
それとも君は魔女なのだから
雪の無い森を雪で隠し
あらゆるものから身を隠していたのか。
君の森の事は誰にも言うつもりはない。
僕だけの秘密だからだ。
君の甘い が
他のものにも味わう事ができるなど
考えたくもないからね。
しかし僕は
見せびらかしたくもあるんだ。
君という甘美な果実を味わった事のある男は
そうはおるまいよ。
いや、いたのかどうか、考えるのは止そう。
だから
条件を付けて置いておく。
死にたい奴がこの箱を開いた時にだけ
この報告書が現れるようにしておくんだ。
素敵だろう?
冥土の土産にしてもいいし、もし
奇跡が起きて
君の森に辿り着けたなら
その者はきっと。
…………………………………
そう、君はラッキーだ。
まず、一つ目のラッキーを手に入れた。
だがな。
二つ目のラッキーを手に入れられるかどうかは
分からないがな。
見つからない可能性の方が遥かに高い。
寧ろ、見つからないなら知らなかった方がいい情報だ。
これは。正に。保証する。
もし探して見つからない事に絶望するならば
続きは読まない方がいい。
君が
探し続ける事ができるというならば
読んでみても、いい。
だがな 君が「死にたい」と思っている時点で
この勝負は君の負けなんだ。
でも君はこれを見つけてしまった。
それは どういう事なのか。
もし、魔女に会ったら教えてくれるかもしれないな。
僕の最後の魔力を使って、この魔法をかけたよ。
君には探す権利はある。
見つけたのだから。
もし、彼女に会えたら伝えてくれ。
君の極上の は
僕を十分苦しめ、助けたと。
では、健闘を祈る。
いつかどこかでこれを見つける
僕へ。