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異世界人ですか?

 紙を渡すとすぐに受付の人が、上の階にある能力測定の場所に移動してくれと言われた。

 ちなみに並んでいるときに前の人たちが話しているのを聞いていたのだが、その能力測定の道具は過去に滅んでしまった“超魔法文明”の遺産? のようなものらしい。

 技術だけ残して消えてしまった優れた科学技術……ではなく魔法技術があるらしい。


 都合がいいものがあるものだ、と俺は、ご都合主義の良さを痛感しているのですぐに俺は受け入れた。

 そして上の階に行くと幾つもの石板のようなものが並べられていて、その一つ一つにカードのようなものが差し込まれている。

 形と色から、どうやらこれがギルドカードであるらしい。


 そう思っていると、ギルドの胸の大きい金髪の女性が、


「では、これからギルドカードについての説明を始めますね」

「はい、よろしくお願いします」


 俺は真面目な顔でそう答えた。

 そして聞いていくと先ほど紙に記入した所に会った説明とほぼ同じもので、再度説明を聞だけのような形になった。

 違いはというと、犯罪歴も記録されてしまうらしい、といったところか。


 他人の物を横取りしたり殺して奪ったりという輩も、多数の冒険者がいれば少しはいるらしい。

 そういった人物達は表のギルドに登録できず、“闇ギルド”といったものに所属して悪事を働くといった話や、“闇ギルド”は魔石などを魔物を倒して手に入れているため、そういった冒険者を狙うこともあるため気を付けてください、との事だった。

 平穏無事にスローライフをする俺には関係はなさそうだ、そう思っているとそこで測定が始まるらしい。


 言われた場所に行って石板に指が軽く触れた。と、


キュウンンッ


 耳障りな高い音が聞こえて、一瞬石板が白い光を放ったかと思うと消える。

 どうしたのだろうか、そう思っていると青い顔をしたギルドの金髪で胸の大きいお姉さんがやってきて、


「な、何をなさったのですか!?」

「指で軽く触れただけですが」


 そう返すとそこで俺の持っている紙を見て頷く。


「異世界人ね。稀によくある事例で、能力が高すぎて測定不能になる、その例ね。聞いたことはあったけれど初めて見たわ。……となると、その旨を入力して、こうして……あとはまだ依頼を受けていないから……こうして、はい、できた」


 板のそばにあるボタンを押したりして、金髪のお姉さんが頑張っている。

 少しかがむようにしているので胸の谷間が……。

 いや、見ないようにしないと、そう俺は思いながら待っているとそこで銀色のギルドカードをギルドのお姉さんは取り出して俺に手渡しし、


「これで完成です。登録は終了しました。あ、異世界人の方でしたら、後で受け付けの方によって、当面の生活費をもらってくださいね」

「あ、はい、ありがとうございます。助かります」

「いえ、生活基盤は大事ですから。特に異世界人の方は強い力を持つとのことで、生活のために暴れられても困るといった理由から支給がされているのです。また、その時にチート能力の記入が必要になりますので、そちらの方で聞かれたら答えてください」

「はい」


 俺はそう答えて、一階の受付に向かったのだった。






 それから俺はギルドの一階にやってきた。

 きしむ木製の階段の音がやけに大きく聞こえて、大丈夫だろうかと思ったが特に問題はなかった。

 カードと一緒に紙を持って降りてきたはいいが、どの窓口に行けばいいのかよく分からない。


 人が空いている所、混んでいる所……どこだ、空いているところでいったん聞いてみようかと俺が思っていると空いている受付の人が、


「あ、異世界人の方ですか? こちらで登録処理などをしますので来ていただければと思います」

「あ、はい、ありがとうございます」

 

 呼ばれてそちらに向かうと、胸は控えめだが耳がとがった銀髪の……エルフのような三つ編みの女性だった。

 異世界人からはそう見えるが、この世界ではこういった容姿も当たり前なのかもしれないのでそれについては俺は言わないように努めて、


「これがギルドカードと、紙です」

「はい、では紙の方は回収です。そしてギルドカードもお預かりしますね。では、チート能力についてお聞きしてもよろしいですか?」

「水を作り出したりといった能力です」

「なるほど。今水がやや不足していますので、重宝されますよ。あそこにある以来の四分の一が水関係の依頼ですし」

「そうなのですか? そんなに困っていたのか……」

「ええ、よろしければそちらの依頼を受けていただければと思います。では、これが三か月分のお金になります」


 そういってギルドの人が俺にお金を白い袋に包んだ状態で俺にお金を渡してくる。

 それからだいたいの相場を聞いてから、


「もしもこの町にしばらく滞在するのでしたら、宿ではなく安い物件を借りる方がお得ですよ」

「そうなのですか?」

「ええ。特に水を呼び出せる人は重宝されますしいかがですか? 一月ここにいてみて合わなければ他の町に、といったように」


 そう話す受付のお姉さん。

 だが何かが引っかかると思いながらそれがわからなかったので保留して、


「ではありがたくお金はいただきます」

「はい。次は三か月後の受給ですからお気を付けください」

「……三か月ごとにいただけるのですか?」

「はい。この世界に異世界人が来ると、人間関係に適応ができない方もいらっしゃるので、そういった方はその……引きこもりのような生活をすることになりまして」

「……そうですか」

「けれどチート能力がある関係上、暴れられても困るし、野垂れ死にされてもいつ必要になるのか分からないというのもあり、そういった保証がされているのです」


 実はそんな理由で異世界人にはこのお様なお金が支給されるらしい。

 この世界、実は平和なんじゃないかと俺は思いはしたが、それは口に出さずに、


「色々とありがとうございました。また何かありましたら、聞きに来ます」

「お待ちしております。あ、ギルドカードをお忘れですよ」

「あ、本当だ」

「大切なものなのでお忘れにならないよう気を付けてくださいね」


 そういって受付のお姉さんは俺の手を包み込むように、銀色のギルドカードを渡してくれたのだった。



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