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世界最後の一日前

作者: 目罰 幕露

~女子高生~


……


「明日、世界は滅亡します」


その知らせは突然だった。何の気なしにいつものようにお母さんの作ってくれた朝ごはんを食べている途中。そのニュースは流れてきた。最初はデマかと思った。しかし世の中というものはとても単純で、すぐに、目にも止まらぬ早さで混乱し始めた。

私の心は晴れていた。信じていなかった訳では無いが何故か清々しい気分だった。


私「いってきまーす」


お母さんには止められたが学校に行ってみることにした。特別会いたい友達がいる訳でも、とても愛している恋人がいる訳でもない。ただ、このような状態でも学校が機能するのか気になったのだ。


ガラガラガラ


教室を開けるとポツポツとクラスメイトが座っていた。


知子「ねぇねぇニュースみた?あれほんとなのかなぁ〜?」


友人の知子がいつものように話しかけてきた。


知子「やっぱり終わんのかなぁ〜、私まだ彼氏出来たことないのになぁ〜」


私「どうなのかね〜、」


いつものような当たり障りのない会話。その時間はいつものように流れていく。

どうやら今日は授業がないようで家に返される事になった。


知子「じゃあまた明日〜」


私「明日あるかわかんないけどね(笑)」


知子「まぁね(笑)」


ほんとに世界が終わるのだろうか。そんな事気にもしないほどいつも通りの時間が流れていく。


夜は少し豪華なご飯が食卓に並んだ。お母さんが気合を入れたのだろう。食事中、世界滅亡の話はしなかった。まぁそんな話をしたらご飯が不味くなるのだから当たり前かと思っていた。しかし会話はひとつもなかった。誰も話そうとしなかった。私も含め世界滅亡を信じていたのだろう。そうなると会話をするだけで涙がこぼれそうになる。だから会話はなかった。


ご飯を食べ終わりお風呂に向かった。本当に世界は終わるのだろうか、そんな事を信じたくなくなるほどいつも通りの時間が流れていく。それもそうだ。この世界滅亡の話がほんとなのかも分からない。こんな嘘だらけの世界では元々正しいことを探す方が難しいのだから。こんな嘘だらけの世界では私たち庶民には知る権利なんてこれっぽっちもないのだから。こんな嘘だらけの世界で生きている方が疲れて、苦しいのだから。


我ながら難しい事を考えている。そう思った。


お風呂を上がり部屋に入るといつも通りに日記を書き始めた。世界が滅亡したあと、新しい生物が地球に降りてきて私の日記を見つけ、今の世界、日本のことを解読するのだろうか……。そんなことを考えて少しワクワクした。そうなると少し恥ずかしい内容なのだが……。


日記も書き終わり布団に入る。何も変わらない今日。本当に世界は終わるのだろうか。そんなことを考えると少し涙を流した。やはり寂しいものでもっと生きていたいと思ってしまう。辛いと思いながら生き続けるのも悪くは無い。それこそが「生きる」ということなのだから。


どうか明日も世界がありますように……。


「おやすみ」

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