戦闘準備…?
次回戦闘描写入るって書いたのに、書いてたら膨らんで入らなくなってしまいました。申し訳ありません…二話に分割して投稿します。
◇王都・西の平原〈ワイルドボアの住処〉
『ゲーム』だった頃、西の平原は最初の狩場としてお世話になった。
今もまだ変わらないという保障はないが、今のところ変わったところはない。
難易度は西門から遠い程高くなるのだが、俺たちの現在地は平原と森の境目付近、北西にある〈ワイルドボアの住処〉だ。
理由として、他の平原のMobはみなノンアクティブだからだ。
ここの猪は適性レベルの1パーティーでも苦戦するほど、頭一つ抜けたステータスを誇っている。それでも個体のレベルは20〜25程度だったはずなので問題なく相手ができる。
「アレク、『デコイ』の練習をしたいって言ってたけど…平原でケイと一緒に狩りをした時に使わなかったのかい?」
そもそもの話として、『壁役』系統の『職』は必ず『デコイ』を覚えている。
ヘイト値を上乗せするこのスキルは『壁役』の必須技能なのだ。
ましてやアレクは歴戦の壁役でもある。他のゲームでも壁役一筋だったそうだ。
そんな彼が忘れているはずがない。
そんな疑問に対して彼は、「もちろん使ったとも。ただ、そこは『ゲーム』と違うみたいでね。説明するよりも、実際に見せた方がわかりやすいだろうから見ていてくれ」
「私とナディアは相性悪いし、下がっておくわ。ケイ、打ち漏らしたら後ろから刺すわよ」
「…アレクさん、万が一がないようにお気をつけて。………ケイも」
「ダメージを受けたら回復できるように待機しておりますので、声をかけてくださいね」
アレクも後ろから刺そうとしていたが、サリーもケイの背中に恨みがあるのだろうか。
ナディアはレベルを考慮すれば十分に危険なので気をつけないといけない。
魔法職なら30レベルでも倒せてしまうほどこいつは強いのだ。
ミーナは文字通り『後ろで待機』している。
あと何か小さなカゴを取り出して風呂敷を敷き始めた。ピクニックじゃないんだぞ。
「…俺もこいつらはあんま得意じゃねーんだけどなぁ……」『崩しにくいやつ』はめんどうだ、と億劫そうな声を出しながら『アイテムボックス』から両手用の大剣を取り出す。
西洋風の、反りが強い片刃の剣である。
ケイは剣士だが、相手によって剣を使い分けるタイプである。一番扱い易いのは『ロングソード』というオーソドックスな剣らしい。詳しくないので見ないとわからないが。
「メイザース」
名前を呼ばれた。なんだろうか
「ん?何?」
「君はまだ、こちらにきてから戦闘をしていないだろう。できればしっかりと『見て』いてほしい」
見ていないといけないのか。
………ミーナの手提げカゴの中身が気になる。食べ物なら一つもらいたい。
「見るって、戦闘するところを?『ステータス』も?」
「両方だ。特に、『ステータス』はしっかりと見ていてくれ。私が何故『デコイ』の練習をしたいと言ったのか。君なら見ればわかるはずだ」