見慣れた平原/彼女の祈り
次回戦闘描写入ります。
◇王都・西の平原
西門前でステータスにパーティー登録、隊列や今使用できる『スキル』などの確認を済ませた後俺たちは平原に来ていた。
門番の人や平原のmobたちもどうやら『ゲーム』だった頃と変わりないようだ。
「みんなはステータスに『虫喰い』みたいな穴がなかったよね。何処かで狩りでもしてきたの?」
すっかり聞くのを忘れていた。
それにしても
「ケイは30と少しだからまだわかるけど…40ってのは随分と高めだよね?アレク」
「ああ、実は私とケイは『門』の外に転移してね。他にも数名、『古の都』にいたプレイヤーが門の外側だったよ。
メイザースはまだ顔を合わせていないのかもしれないが『西門』の近くに転移したのは『古の都』と『古王の墓地跡』にいたメンバーが多いようだ」
正直聞いて驚いた。が、なるほどと思う部分もある。
(偶然にしては少し出来すぎている。作為的なものだとは思うけど…)
今はまだ結論は出せない。そう判断し、思考を切り替える。
それより、
「アレク。その中に『蒼銀弓』や『幻影の乙女』はいたのかい?」
「…?いいや。『銀弓』と『影』所属のメンバーは見当たらなかったね。『風馬』のリーダーは見かけたよ」
次郎さん、いたのか。
「ありがとう助かったよ。今度声をかけに行かないとね」
話が逸れてしまったがいい情報を聞けた。彼ほど頼りになる『獣人』はいない。
「それで、二人は門の外に転移したんだよね。…まさかそのまま戦闘を?」
アレクならもっと堅実に動くと思うんだけど…
「いいや。流石の私も、訳が分からずにだいぶ取り乱していたんだけどね。
ケイが私を見つけた後パーティー申請だけしてさっさと行ってしまったから、慌てて追いかけたんだよ。」
おかげでマップ一面分の『猪』狩りをするハメになった、とアレクは苦笑しながら言う。
……二人とも冒険しすぎである。『この世界』で死んでも復活できる保証などないというのに。
◇◇◇◇◇???◇◇◇◇◇
◇????
『ゲーム』だった頃とまるで変わらないように、目の前で仲間たちが談笑している。
初めて出会った頃から何かと話があったし、お互いにこの手のゲームが好きなようで何をしようとしているのか、手に取るように理解できた。
お互いの都合が合わずに『ゲーム』でしか言葉を交わせなかった仲間たちと……今、こうして話ができる。たった半年の付き合いだったのに、一緒に居るだけで幸せになれる。
それがとても嬉しくて。でも、長く続かないと知っているからこそ哀しい。
本当は伝えたい。でもそれは無理だ。伝えられたとしても、意味がない。彼らはそれを覚えていられないのだから。
今回も、ダメかもしれない。そう思いながらもどうか今この幸せが続きますようにと願わずにはいられなかった。
次回更新未定。
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