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66 魔界宝樹メドギナ1

 さて、魔王を討伐するにしても、今から王都を出立するわけにはいかない。

 何しろこの日は陽が落ちて、もう夜になってしまったから。


 現在治安が悪化している王都では、夜になると犯罪がそこら中で発生する、物騒な場所になっている。犯罪というのは、陽の当たる昼間より、誰にも姿を見られない夜の闇の中で行われるのが普通だから当然だよね。

 昼間でも白昼堂々行われているけど、夜になればその数は桁違いに増える。

 王都の守備隊は既に街の治安を守ることを放棄して、王宮の警備に動員されている。もはや街の中の治安を守るものは存在しない状況だ。


 犯罪に関係のない人たちは、家の中で明かりを焚いて警戒したいだろけうど、生憎と夜間に明かりを焚くには、それだけで燃料が必要になる。

 蜜蝋(みつろう)は高価で、よほどの財力がある家でないと使えない。ランプはクライネル王国には存在しない。

 ならば木を燃やして焚火や松明をとる方法があるけど、そんな物を家の中で燃やしていれば、火事の危険が高すぎて危なすぎる。

 火を焚けるのは、せいぜい台所のかまどくらいだ。


 そう言うこともあり、王都の中は王宮を除けば、ほぼ完全な暗闇となっている。

 わずかな家で、明かりがたかれているものの、その数は本当にごくわずか。


 電気によって明かりをとれる現代日本の夜とは、比較するだけ無駄だね。



 そして暗い闇の中から、時折罵声や悲鳴が聞こえ、物が破壊される音が響く。


「まるで世紀末だね~」

≪逃げ出す人が次々に出るのも頷ける状況ですね≫

 王都の殺伐とした夜に、僕とスピカはこんなことを話してる。


 ちなみに現在僕がいるのは、薬の工房にある所長室の中。

 とりあえず適当に本棚の本をパラパラめくってみたり、弟子が研究している試験薬の報告書なども見ている。


 一番弟子のエッセンバッファーは優秀だけど、ここにいる弟子たちはそれぞれの分野に極端に特化した連中が多い。

 毒薬の研究しかしない危険人物に、やたらと美白に拘る女性。不老不死の薬という名のお菓子のボーロ作りしかしない、僕でさえ理解できない研究をしている弟子などなど。


「ここにきて、今まで私が考えもしなかった薬の分野があることに気付けました」

 エッセンバッファーは、僕の抱える弟子たちの研究内容を見て、感心していたね。

 この人はすべての分野にわたって、オールマイティーな優秀さを持っている。広く浅くではなく、広い上に深さもかなりある。

 だが、それでもここにいる連中は一つの分野に特化していることが多いから、エッセンバッファーですら及びもつかない、研究や思考方式を持っている。

 王宮の主席薬剤師まで務めた人が驚くくらいだから、本当に僕の弟子たちって、すごいよね。

 世間には認められない類いの研究も多いけど、みんな自分たちの研究に一生懸命だ。



 そんな弟子たちの成果を眺めていると、ついつい僕も口の端が笑っちゃう。

「この工房が残るためにも、この国には潰れないでほしいね」

≪ええ、ご主人様(マイロード)に負けず劣らず頭のおかしい子ばかりですが、あの子たちの研究の場として、ぜひとも残ってほしいものです≫

(スピカさんや~。僕がいいこと言ってるときでも、どうして君は僕をこき下ろすの~)

≪いつもの事じゃないですか≫

(ムウーッ)


 なんだか納得いかないなー。

 とはいえ、スピカの性格って悪いからな~。

 スピカをこんな性格に育てた奴は、一体どこのどいつなんだよ!


 ……あっ、こらっ、スピカ!僕の方をジロジロ見るんじゃない!



 体のないスピカだけど、それでもスピカが僕の顔をマジマジと見ているのが、なぜだか直感で分かったよ。

 僕がキッと睨んでやると、スピカはフッと笑いやがった。


 ……ア、アカン。

 僕が僕の妄想に笑われてしまってる。


 ちょっとひどくない。

 君って僕の一部なのに、僕のことを笑うなんて~。




 あ、飴玉~。

「苦いよ~。でも甘くておいしいよ~」

 いつものように体によくて、とっても甘い飴玉を舐める僕。

 苦いって部分だけ省略すれば、完璧な出来だね。


 スピカはその後、無言になったよ。



「さて、それじゃあ魔王との決戦も控えてることだし、その前に一つお仕事をしておこう」

 とりあえず、これからラスボス戦って感じだよね。

 なので、その前に僕は戦いの準備をしておくことにした。


 ……いや、別に戦いの準備って言っても、僕の次元属性魔法を使えば「プチッ」て魔王程度なら潰せるけどね~。



 というか、中ボス戦と言ってもいい魔将軍の相手を、そもそもしてないしね~。

 カタリナちゃんが1人で、全部片付けちゃったし……




 ま、そんな些事はどうでもよろしい。

 僕はクライネル王国にある工房から、転移魔法(ジャンプ)を使って移動。


 たどり着いた場所は硫黄のおいが漂う場所。

 周囲には天を貫かんばかりの高い山々が連なる場所で、遥か天空は黒く分厚い雲で覆われている。

 地面の下からは、溶岩が重く蠢く音が響き、地面のあちこちにある亀裂からガスが噴出している。


 僕はこの場に来ると同時に、魔法で周囲の空気の組成をいじってやる。

 実はここ、火山性の毒ガスがそこら中で噴出していて、人間には致死の環境なんだよね。

 なので大気の組成をいじって無害化してやらないと、すぐに死んじゃう超危険地帯だよ。


 まあ、僕にかかれば致死性のガスを無害化する程度簡単だから、僕にはそれほど危険な場所じゃないけどね。


 で、高い山が連なってるけど、そのほとんどが火山。

 この火山が連なっている山脈は、"ドラゴニア山脈"って呼ばれてるね。



 僕が移動してきた場所は、ちょうど山々の間に窪地ができてる場所。ただし白いガスが窪地にたまっていて、それが周囲を覆い隠してる。

 なので僕は風魔法を軽く使って、辺り一帯を覆ってるガスを吹き飛ばしてやる。


≪慎重にやってくださいよ。"竜巻(サイクロン)"や"(テンペスト)"クラスの魔法にならないように気をつけてください≫

(わかってるよ。そんなドジしな……ヘクチッ)


 ――ゴワッ!


 オッといけねえ。

 くしゃみをした拍子に、魔法の加減がちょっと狂っちまった。


 幸いちょっと強い風が吹くだけですんだけど、一歩間違えたら次元属性の乗ったカマイタチがそこら中を吹き荒れて、この辺にある岩を片っ端からバラバラに切り刻む羽目になったかも。


≪……≫

「い、いやー、こういうことは慎重にやらないとね~」

 スピカからの無言の圧力を前に、僕は愛想笑いを浮かべて頭をポリポリかいて誤魔化す。


 と、とりあえず、あざとく笑えば問題ないよね~。




 で、ガスが飛ぶと、窪地の中には黒い巨大な木々が生い茂る森……樹海が露わになった。

 以前"蜂蜜の森"……

≪"不帰の森"です≫

 あ、それそれ、それね。

 "蜂蜜の森"に行った時に、陰鬱とした気配が森全体に漂っていたけど、ここの黒い樹海は陰鬱なんてレベルじゃない。


 何やらどす黒いオーラが樹海に生える木々の1本1本から発されていて、樹海全体ではそのオーラがとてつもない威圧感へと変貌を遂げる。

 それだけで恐怖を呼び覚まし、人の精神をおかしくできる禍々しいオーラ。

 黒い木にしても、小さなもので30メートル。大きくなると50メートル以上で、幹の太さは成人男性何十人分もの太さ。

 まるで魔王城の周囲に広がっる森みたいだね~。


 まあ、実際に魔王の城の周囲にそんな森が広がっているのか僕は知らないけど、少なくともここは、火山性の致死ガスが普段から充満していることもあり、生命が存在することを拒絶する環境だ。

 そんな場所に生えている、黒い木々の樹海だ。

 全く持って、まっとうな場所でないのは誰の目にだって理解できる。


 そしてここがまっとうな場所に見えるかと僕に尋ねられたら、「ここは僕の秘密の花園です。綺麗でしょ?」とでも言っておこうかな~。



 さて、そんな"暗黒邪神オーラ"満々な気配が漂う樹海。

 ちなみに"暗黒邪神オーラ"っていうのは、今僕が適当に考えたネーミングだけど、実際この樹海って、ヤヴァさ満点の気配を漂わせているから。

 そんなイメージをしてくれると嬉しいな~。



 そして樹海を前にした僕だけど、僕のそば目がけて空から女の子が突如落ちてきた。


 はい、そうです。

『親方、空から女の子がー!』

 なんて有名シーンを彷彿……とはさせないね。


 なにしろ落ちてきる女の子は、音速の数十倍という速度で落下していて、ソニックブームが発生してるよ。

 空を覆っていた雲がソニックブームでぶち破られ、雲の隙間から青い空が一瞬だけ露わになる。

 クライネル王国は現在真夜中だけど、ここはまだ夜じゃないから、雲さえなければ空が明るいんだね~。


 まあ、そんなのはいいね。

 ――ドゴンッ!

 女の子が地面に着地?それとも落下?墜落?

 それと同時に地面に亀裂が入る……どころか、そのまま巨大なクレーターが出来てしまう。

 溶岩が固まってできた黒い岩の大地が砕け散り、破片が辺りを舞う。さらにはソニックブームが吹き荒れて、樹海の木々がざわざわと音を立てる。

 というか、砕けた大地の欠片がソニックブームに吹き飛ばされて、音速を超えた死の弾丸と化して辺りをぶっ飛んでいく。



 まったく、僕のそばにクレーターが出来る速さで突っ込んできて欲しくないな~。

 それに溶岩岩(ようがんいわ)の弾丸とか、マジでシャレにならないよ。

 僕みたいな無力な子供でなくても、一撃受けただけで頭が粉砕なんて、グロい死に方しかねない。

 もっとも僕は次元結界(ディメンション・シールド)展開しているから、弾丸はもとより、この女の子の音速を超えた直進を受けても、かすり傷ひとつつかないけどね~。



「陛下、我がドラゴニアの地へようこそおいでくださいました」

 僕の傍に落下してきた女の子……まあ、女の子とは言うけど、12歳児の背丈しかない僕よりも遥かに長身な女の子の登場だ。

 漆黒の髪と瞳をした、綺麗に整った姿をしている。そして、どこかディアブロの完全無比な美しさを彷彿とさせる美貌を持っている。胸はそれほど大きくないものの、体全体が恐ろしくバランスのとれた、モデル体型の美少女だ。


 そんな美少女が、僕の傍で跪く。

 まあ、跪くのはいいんだけど、自分が落下した際に作ったクレーターの一番下で、跪いてるんだけどね。


「やあ、シルビナ元気にしてる?」

「はい、陛下のおかげで私は常に元気でございます」

 頭を伏したまま答える美少女シルビナちゃん。



 あ、そうそう。

 この子がさっきから僕に向かって「ヘー、イカ」って言ってるけど、気にしなくていいよ。

 きっとここではイカが特産物だから、僕にイカを食べてけって意味で、言ってるんだろうし~。


ご主人様(マイロード)、このドラゴニア山脈はイカどころか、大抵の生物が生きていけない過酷な環境ですよ≫

(ワ~、だとすると、火山ガスを吸収した死の水の中で生きている、超異世界生命体"魔界ダイオウイカ"みたいな、ヤバそうなイカが特産品なのかな~)

 まあ、そんなイカがこの世界にいるかなんて、僕は知らんが。


 ……それにしても以前ドワーフの里でも似たようなネタをしたから、イカのネタで遊ぶのはもういいよね。

≪ええ、同じネタを何度も使うのは、ただの漫才ですから≫


 うむ、スピカもこう言ってることだ。

 イカの事なんてもうどうでもいい。





 で、話を元に戻すとしよう。


「陛下がここおいでになられたということは、"メドギナの葉"をご所望でしょうか?」

 美少女シルビナちゃんが僕に話しかけてくる。


「そうそう。いくつかポーションを作っておこうと思ったんだ。とりあえず10枚ぐらい取ってきてくれる?」

「はい、わかりました」

 僕が頼むと、シルビナちゃんはすぐに頷いて立ち上がった。


 そして全身から白銀色に輝くオーラを放ち始める。

 "聖竜覇気(セイント・ドラゴン・オーラ)"って呼ばれるオーラで、実はこれ、昔僕がうっかり倒しちゃった竜帝さんも全身に纏ってたオーラなんだよね。

 効果は魔法や物理攻撃に対する絶対遮断効果で、人間が使える最上位の攻撃魔法を連続して食らっても、このオーラを貫くことはかなわないと言われるほどの強度を持ってるよ。

 もっとも僕の次元属性魔法の特徴は"防御力完全無視"だから、"聖竜覇気(セイント・ドラゴン・オーラ)"なんて、ただの紙装甲にもならないけど~。



 とはいえ、次元属性魔法さえなければ、無敵のバリアと言ってもいいオーラを纏ったシルビナちゃん。

 このオーラって、竜族の中でも最上位の存在でなければ纏えない代物。

 ちなみに彼女がこのオーラを纏える理由は、僕が倒した"竜帝さんの娘"だからだよ。

 まあ、小さなことは気にしなくていいよね~。



 シルビナちゃんは、先ほどの音速の10倍超えてる速度よりは遅いけど、それでも目にもとまらぬ速度で駈け出して、窪地に広がる黒い樹海へ突撃していった。


 その途端、樹海の黒い木々が一斉に枝を伸ばして蠢き始めた。



 あの黒い木々なんだけど、"魔界宝樹メドギナ"って言うんだよね。

 名前からしてヤバそうな雰囲気を持ってるけど、あの木ってものすごく高濃度の魔力がある場所でないと育たない木なんだ。しかも動かないただの木と違って、近寄る生物は全て枝で捕まえて食べちゃうっていう危険植物。

 "食虫"植物とか"食人"植物なんて可愛い物じゃなくて、"食生"植物って呼びたくなるね。ちなみにここでの食生の"生"は、生きている生物全般を意味する"生"ね。


 "聖竜覇気(セイント・ドラゴン・オーラ)"を全身に纏ったシルビナちゃんが、"魔界宝樹メドギナ"の樹海へ突っ込むと、それに反応してメドギナが、一斉に枝を伸ばして蠢き始めた。


 何百もの枝が一斉に蠢き、それが神速の速度で動くシルビナちゃんへ迫る。

 人間の目では捉えるのがやっとの速さで動いてるのに、メドギナの枝の動きはそれよりもさらに早い。


「クッ」

 シルビナちゃんの傍を、メギドナの枝が何本か掠めるようにして飛んでいく。


 枝がかすっただけで、シルザナちゃんの纏っている"聖竜覇気(セイント・ドラゴン・オーラ)"が大きく力を失ってしまう。超防御能力を持っているはずのオーラだけど、メドギナの枝は防御能力を無視して、オーラを食らっていく。

 もしオーラを纏わない生身だったら、シルビナちゃんの体は大怪我確実だね。



「ていっ、はあっ!」

 だが一方的に負けまいと、シルビナちゃんは徒手空拳で、伸びてきた枝を迎撃。

 手刀の一撃が、自分の胴体よりも太くてデカいメドギナの枝を、一撃で粉砕して破壊してしまう。

 折れたとか切れたじゃないよ。

 "粉砕"ね。



「カアアアッッッ」

 さらにシルビナちゃんが咆哮すると、口から白銀光線(ブレス)が放たれて、迫るメドギナの枝を一度に何百と破壊した。


 だが枝を破壊されても、メドギナの枝は怯まない。


 砕かれた枝の先端が蠢き、そこから針のように尖った触手がうねうねと蠢いて何十本と伸びてくる。


「わー、"触手の森"だ~」

 "美少女ヒロイン対触手の森の大決戦"。


 そんなフレーズがつい脳裏に浮かんじゃうね~。


≪男ってのは、どうしてこうなんでしょうね≫

 スピカが何か言ったけど、そういうことに関係なく、シルビナちゃんとメドギナの戦いは続く。



 枝の先を触手と化し、うねうねとうねる触手が、シルザナちゃんを全方位から包み込まんと広がっていく。


火炎爆発(フレイムバースト)!」


 対してシルビナちゃんは包囲されまいと、火属性の上級魔法を放って、触手を一気に焼き払う。

 その一撃は非常に強力で、シルザナちゃんに迫ってくる触手どころか、巨大なメドギナの木を何十本も、炎の塊で侵食する。


 僕の使うただの"火球(ファイボール)"だと直径10メートルぐらいの範囲を焼き払うけど、シルビナちゃんのそれはもっとバカでかいね。


 ……うん、100メートルぐらいの範囲が一気に燃え上がり、炎で爆発したよ。




 もはや魔法と言うより、どこの戦争ですか?

 戦車砲なの?

 ミサイルなの?

 46センチ三連主砲でもぶっ放したの?


 なんて感じだね~。

 いや、そういうものより、確実に今の魔法の方が破壊範囲が広いけどさー。



 さらに、

風刃乱舞(ウインドスラッシャー)!」

 乱舞する上級風属性魔法が、メギドナの枝を次々に切り刻み、枝を切断していく。こっちも枝でとどまらず、メドギナの幹にも深々とした傷を作りまくっていくね。



 ちなみにこれらの魔法は以前アイゼルちゃんも使ったけど、同じ魔法でもシルビナちゃんの放った魔法の方が、圧倒的に威力が上、効果範囲も広大だった。

 広いじゃない、"広大"だった。


 比較するだけ無駄で、とても同じ魔法に見えない。



 そんな超火力の魔法の直撃を受けて、メドギナの木は傷口から樹液を流し始めた。

 だが傷口は溢れ出した大量の樹液に包まれることで、驚異的な再生力を発揮して修復されていく。さらに先ほど放ったシルビナちゃんの魔法の何割かを、メドギナは食らっていた。


 木々が黒い輝きを放ち、そこから植物ではありえないことに、"黒光(ダークレイ)"と呼ばれる闇魔法を周囲に展開させた。


 黒光(ダークレイ)は闇属性の魔法で、暗黒の闇に包まれたものに、腐敗と腐食の効果を及ぼす。健康な体はゾンビのように腐乱した体となり、草木はその全てが臭気を放つ腐った汚物へ姿を変える。


「こざかしい!」

 だが、シルビナちゃんは吠える。


 全身に纏っていた聖竜覇気(セイント・ドラゴン・オーラ)の力が強まり、白い白光の塊となってシルビナちゃんが光り輝く。


 そんなシルビナちゃんの体を、瞬く間に黒光(ダークレイ)の光が侵食していった。


 ほどなくして闇光(ダークレイ)の効果が切れると、その中からは五体満足で無事な姿をしたシルザナちゃんの姿が露わになった。




 えーとね。

 この後も、シルビナちゃんとメドギナの熱戦が続いたよ。


 始めのうちは僕も「シルビナ頑張れー」、「いけー」とかって応援してたんだけど、僕って12歳児でしょう。

 おまけに、クライネル王国にいた時点で夜だったよね。


 なんだかシルザナちゃんの戦いを見てる間にうつらうつらとしてきて、眠くなってきちゃった。


「ムニャムニャムニャ~」

 途中で船こいで、いつの間にか寝ちゃってた!


後書き



 おかしいな?触手の森なんてする予定なかったのに。


 もっと普通の木のはずだったのに……

 平和的に葉っぱを摘むだけのイベントのはずだったのに……


 なぜ(メドギナ)はあんな異常生命体になってしまったんだ……?

(by作者)

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