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今日も異世界チートしてますが、それが何か?  作者: エディ
第4章 北の地での戦い
48/82

46 早いもので1年

前書き



 今回から新章になります。

「スバルたちがこの世界に召喚されて、もう1年になるな。てことはスバルも13歳か」

「うん、そうだね~」

「それにしては、全然背が伸びないな」



 現在僕はラインハルト君とお話し中。


 この国に召喚されてもう1年になるんだけど、いまだに僕たちは日々のんびりした生活を送ってるよ。

 といっても、前回の"蜂蜜の森"での一件から、いきなり半年とか時間が進んだわけじゃないから。

 ほら、僕の弟子がいきなりアメーバみたいに急増殖して増えたりしたけど、あれって結構な時間があったんだよ。単にその間の時間経過を"略"という文字すら使わずに、すっ飛ばしていただけだから。


 なので、"蜂蜜の森"の出来事からは、まだ2週間くらいしか過ぎてないね。



 で、この国でダラダラ生活している内に、早いもので1年が経っちゃったわけだ。


「僕は永遠の12歳なのだよ。ラインハルト君」

 なんとなく親指と人差し指を顎において、格好をつけてみせる僕。


「身長が延びない言い訳としてはひどいな……」

「チッチッチッ、君は王都警備隊のカタリナ・リニスちゃんを知ってるかい?」

「あ、ああ……あの人か。悪い意味でかなり有名だからな……」

 カタリナちゃんのことを持ちだしたら、物凄く気まずそうになるラインハルト君。まあ、あの人って王都一の極悪人って感じで、商人相手にやりたい放題の略奪をはたらいてるものね。

 この国の腐敗の象徴みたいなものだよ。

 本来山に隠れ住んでいるはずの山賊が、なぜか王都のど真ん中に住み着いて、日夜金品の略奪にいそしんでるって感じだもの。


 でも、僕はそんなカタリナちゃんのことがとっても大好きだよ。



 だって、この前は僕と一緒においしいお菓子のお店に突撃して、ただでたくさん食べさせてくれたんだ~。


 カタリナちゃんはお店の店長さんに「もちろんお代は必要ないわよね?だって、王都(ここ)で商売やっていたきければ、私に逆らうなんて愚かなことはしないでしょう」って、説得してたし。


 そしたらお店の店長さんは、(壊れた)笑顔を浮かべながら、首を縦にブンブン振ってたね。

「わ~い、ただで食べ放題」

「ホホホホホ、殊勝な心掛けよ店長。あっぱれだわ」


 あの時のお菓子は、甘くておいしかったな~。




 で、その時の話はこれまでとして。

 再び僕とラインハルト君の話だ。


「カタリナちゃんは自分のが"三十路(みそじ)"超えて目尻に小じわが出来始めてるのに、それでも健気に"永遠の二十歳(ハタチ)"って主張してるでしょ。だから僕も、"永遠の12歳児"なんだ」

「……言ってる意味が分からないんだが?」

「ええーっ、僕の身長が伸びないのも、"自称永遠の12歳児"ってことでいいじゃん!」


 僕の言ってる意味を、どうもラインハルト君は理解してないね?

 全く困った子だよ。

 君だってもう15歳になるだろうに、どうして自称二十歳のおばさんと、自称12歳の子供を理解することが出来ないのかね~。

 プンプン。



「まあ僕は背が伸びないけど、ラインハルト君は結構背が伸びたよね~」

「ああ、最近は体の節々がギシギシいってて痛いな」

「おおー、成長期だね~。でもいいかい、君はそれなりに顔がいいから、背が伸びて女の子たちにもてるようになっても、決してレオンみたいな爛れた大人になっちゃいけないぞ」

「……確かに、レオン様は節操がない気が」

「だよね~。あいつ、ほんとになんで殺されずに女4人とベットを一緒にできるんだろ?」


 そこでラインハルト君が思い切り目を見開いたよ。


「なっ、なっ、勇者様がそんなことを……」

「あれ、ラインハルト君は知らなかったの?」

「知るも何も、ええっ!……で、でも、英雄色を好むともいうし……」

 なんだかラインハルト君の中で、レオンに対するイメージとか信頼ってものが、すごい音を立てて崩れ去ってる気がするな~。


 レオンは普段クールぶって口数少ない男だけど、中身は所詮ただのスケベエ男よ。

 本能のままに動く淫獣なのだー!


 僕は、ポンとラインハルト君の肩に手を置いた。

 ……どうでもいいけど、僕の身長だと成長期のラインハルト君の肩に手を置くのに、つま先伸ばして背伸びしなきゃ届かなかったよ。

「いいかい。人間なんてものは、一皮二皮剥けば、所詮こんなものだよ」

「スバル、君本当に子供なのか?まるで汚れて擦れきった大人みたいな貫禄があるぞ」

「えへっ、僕は12歳のただのプリティー少年だよ」


 とりあえず、あざとく笑っておいたよ~。





 さて、こんな僕だけど、最近考えてることがある。


 "蜂蜜の森"ではディアブロを呼び出して、その後大量の悪魔(デーモン)軍団が地上に舞い降りてきてしまった。

 今ではそこにいた痕跡などまるでなく、影も形なくなっているが、それでもあれは大事件だった。


「フフフ、ヤバイな~。あれだけの軍勢が地上に降りてきたんだから、僕の居場所がばれるのも時間の問題だな~。兄さんに頭をガッと絞められちゃうな~。あああ、僕の命が終わるときが近い!」


 そう、僕は命の危険を感じていた。

 実は僕には兄さんがいるのだけど、僕は兄さんに見つかったら、確実に大ピンチなのだ。


≪命の危険と言っても、ご主人様(マイロード)が勝手に職務放棄して、休暇とか抜かして逃げ回ってるのが悪いんでしょう≫

 うん、そうだよ。

 だから僕がここにいるのが見つかったら、休暇は問答無用で終わりだよね~。


 そして兄さんに頭をガッとされて、僕は再び元の仕事に戻らなきゃといけなくなる。

 ああ、休暇が終われば、労働という名の死が始まってしまうのだ~。


 今の僕の心理状態は、平たく言うと、日曜日の夜にしてるご長寿アニメを見ながら、明日からの仕事にげんなりしているようなもの。




 ちなみに僕の仕事だけど、それはもう皆分かってるだろうから、今更言うまでもないよね~。


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