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22 イヤな性格した奴

 なんだかんだで、王都周辺でかなり気楽な異世界ライフを送っている僕たち。


 レオンたちは主に戦闘をしているわけだけど、僕は1人だけ戦闘に参加することなく、離れた場所から「頑張れー」とか言って、適当に応援しているだけ。

 いやー、相変わらずみんなの視線が痛々しいね~。戦闘では僕の出番なんて全くないから!


 そして戦う皆の傍で、熱心に採取作業をしているよ。

 ますますパーティー内で白い目で見られるよ~。



 そして王都にある拠点に戻れば僕は薬作り。


 でも信用を全くされてない僕なので、僕が薬を作っていても、誰も何も言ってこない。

 素晴らしいよね~。僕の信用って、どこまでマイナスに落ち込んでるの?

 少なくとも、「何作ってるん?」とか言って、興味ぐらい示してよ~~~。


 グスン。


 ま、いいや。

 パーティー内でいない子扱いされるのも、もう時間の問題だね。

(もう完全に手遅れとか、パーティー内ボッチって言うなよ!)

 でも、おかげで僕は1人で薬を売りに行ってぼろ儲け。


 ウハウハですな。

 パーティー内で僕は黄金色のお金を、ただひたすら溜め続けてますよ。


 国王が最初に出した銀貨500枚?

 ハッ、そんなの今の僕の稼ぎからしたら、ただのはした金じゃない~。


 ちなみに最近は森でとれた薬草から低級回復ポーションとかも作っているよ。

 うん、RPGの定番ポーションだよ。

 傷口にかけた瞬間に傷が塞がったりするような超絶回復能力なんてないけど、それでも目に見えて傷の回復が早くなるんだ~。

 しかも僕が作れば低級回復ポーションとはいえ、品質が全て"伝説級(レジェンド)"になる。その辺で売っている低級回復ポーションなんて目じゃないんだよ。

 僕、このまま生産系チートを続けて、この国の金貨が消滅するまで、ひたすら薬剤作成と言う名の金貨集めを続けちゃおうかな~。


 アハハハ~。

ご主人様(マイロード)、完全に金に目がくらんでますよ≫

(ハッ、いけないいけない。僕としたことが目の前の黄金につい我を失っていた。こ、この程度のお金で目がくらむわけがないじゃん。前世では『成金デブ野郎、くたばりやがれ』なんて言われて、嫉妬されたことがあるくらいだよ。それくらいお金持ちだった僕からしたら、今持ってる金貨なんて小銭だよ小銭~)


 うん、僕ってとってもイヤな奴だね~。

 ――なになに?「そんな性格してるから、妻に3度逃げられて、今世ではパーティー内ボッチになってるんだろう」だって?


 え、そ、そうなのかな……。

 これってもしかして、全部僕の身から出た錆なのかな?



 う、うーむ、分からない。考えれば考えるほど分からなくなるぞ。



「ねえ、レオン。僕ってイヤな奴かな~?」

 自分1人では判断がつかなくなった僕は、この国へ一緒に召喚される羽目になったレオンに尋ねた。

「お前、自覚があったのか?」

「自覚……ほとんどないかな?」

「……」

 あれ、なんでレオンの奴黙ったんだ?

「何か喋れよ」


 ――ゴスッ

 長身のレオンと、12歳児の身長しかない僕。僕から見れば、レオンは見上げるほどの大きさがあるので、それだけで威圧感が半端ない。でも、僕はその体にパンチを入れた。


「い、痛い」

 なのに逆に僕の拳の方がダメージを受けてしまう。

(お、お前の体固すぎんだよ!物理防御力がヤバすぎんだろ!)


 そんな僕の行動に、レオンは呆れた顔をしつつ、

「この世界でお前以上に性格悪い奴なんていないだろう。なんたってお前は……」

「レオンさん、こんなところで何してるんですか?」

「アイゼルか」


 2人だけで話をしていたところに、アイゼルちゃんが登場。


「レオンさん、これから買い物に行きません?実は見ていただきたい衣装がありまして」

 そこでなぜか顔を赤らめて、モジモジし始めるアイゼルちゃん。

 レオンは、

「分かった」

 とだけ口にする。


 クールですな。

 むっつりスケベですな。

 貴様は表面ではクールイケメンを装って、その実夜な夜な女の子を襲う変態スケベェ戦士に違いない。

 いいか、女なんて一皮むけば殺人鬼よりやばいんだぞ。


 僕なんて1度目の妻と離婚して、2度目の妻と再婚するまでの間に付き合っていた女の子から、

「私に黙って三又かけていたわね。他の女に渡すぐらいなら、ここで一緒に死んでやる!」

 そう言われて、あわや包丁で殺されかけたこともあるんだから。


 フ、フフフ。

 あの頃の僕って超モテたからな~。

 一方的に女の子の方から寄ってきて、告白されて、その延長で結婚することもあって……そして全員が、僕のことを一方的にふっていった。

 ……なんなんだよお前ら、どうして俺から全員去っていくんだ。

 しかも別れるときは全員、俺を見る目に仄暗い憎悪を抱いていて……





 あ、いけないいけない。

 今の僕はプリティー美少年。12歳の肥田木昴(ひだきすばる)君だよね。前世の爛れたクソ男のことなど知らん!


≪やっぱりご自分のことを、とても駄目な男だと思っていたんですね、ご主人様(マイロード)

 コ、コラッ!

 どうしてここでスピカさんがいらない突っ込みを入れてくるんだよーーー!


 全く、この子の生みの親の顔を一度見てみたいわ。一体どんな性格をして……



 って、さっきから投げてるブーメランが全部僕に戻ってきてるじゃん。



 もう、この話題はこれまで。

 ここでお終いだ!


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