Target008「3ーG組」
肚州先生に蹴られ、扉から教室へダイブを決めてしまった俺は、このシーンと静まり帰ったクラスメイト達にどう言い訳をしようかと考えたが……何も思い付かねぇ!
何が「新鮮だろ!」だ!こんな新鮮だれも求めてねぇよ!あいつ、本当に教師か!
ギンッと教室の外で未だに親指を立てている肚州先生を見ると……
「ぷぷ……クフッ……!」
笑うの堪えてやがったぁぁぁぁぁぁあ!
あんなの教師じゃねぇ!二度と先生って呼んでやんねぇ!
「レイジ?」
ん……? 何やら聞き覚えのある声がしてきた。
床の冷たい感触を味わっている俺へ、白くて綺麗な手が差し向けられていた。
「悪い……」
その手を握って立ち上がろうとすると、その手の主はユミだった。
サラッとした髪を顔を隠さないように片手でかき上げながら、中腰で俺を引っ張り起こしてくれた。
「ユミ?」
「うん、さっきぶり。 やっぱり同じクラスだったんだね」
「やっぱり?」
「さっきレイジを校長室に送ってからね、教室に戻ったらセンセーが居なくてね、転入生が来るって黒板に書き残しがあったからもしかしてって……」
書き残しって……肚州め、マジでヤル気あんのか!?
「それじゃコイツが転入生だ! 皆かまってやれよー」
「……」
コイツ呼ばわりかよ……。まあ、俺も呼び捨てしてやるが。
つうか、いつの間に教卓の方へ来ていたんだ。 また気配もなく……いつ俺の後ろを通り過ぎて行ったんだよ。
「ほら、ユミも席に戻った戻った」
「あ、ハイ。 また後で話そうね、レイジ」
「ん? お前ら知り合いなのか?」
その質問に俺はぶっきらぼうに答える。もはや、尊敬等してないからだ。
「地下校舎と校長室まで案内してもらったからな……」
その瞬間、教室がざわめき出した。
「おい、あいつ地下校舎まで案内してもらったって……」
「言ったな。もしかして日中の奴等じゃないのか?」
「それはないだろ。校長に顔を通しているんだろうし、肚州ちゃんが教室まで連れてきてんだから。それもこの3ーGにだ」
「私はユミ様に手を握られた奴を、八つ裂きにしてゴミ箱に捨てたいです!」
「ヤベッ!あの男、俺の好みだぜ!」
……一様に色々と言ってくれているが、最後の二人からは殺気に似た何かを感じた。後で名前と顔を特定する必要がありそうだ。絶対……!
「知り合いなら話は早いな。お前の席はユミの隣だ」
「は? 目が悪いのか?席なんて相手ないぞ」
「そうだ! ユミさんの隣は俺が座ってるじゃねぇか!」
元々座っていた赤毛の男が抗議してくる。同感だ。頭がおかしいとは思っていたが、まさか目までおかしいとは━━━と、思ったところで俺は目の前がボヤけてきた。
「言葉遣いが生意気だぜぇ~!」
気付けばホールドスリーパーを肚州に掛けられていた。つうか、ヤバい……!マジで苦しい!入ってる!入ってる!
「おーい、海藤。 お前さんも口答えするのか?」
「……いえ……」
海藤と言われる男は、しぶしぶ席を立ち、空いている後ろのにある扉の近くの空席に座った。
そして……俺も目が座り……意識が途絶え……た……。
「あ、ヤベッ。加減間違えた」
「れ、レイジ!?」
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キーンコーンカーンコーン
そんな音と共に、俺は意識を覚醒させた。
「はっ! 俺は一体……」
周りを見回すと、ここが教室であることは間違いなかった。
ただ不可解な点を挙げるならば、まず壊れた扉がすでに修復されていること、教師どころか生徒も姿が見えないこと、更には時計を見ると既に日暮れの時間という三点だ。
「あ!目が覚めたんだ!」
声がする方へ向くと、廊下から扉を入ってユミが駆け寄ってきた。
「ユミ? 俺……今まで何してた?」
「えと……」
目と顔を天井へと向けて、言葉を言い淀んでいた。
「肚州先生に落とされてました」
まあ、それは予想出来ていた。が、あまり考えたくはなかったな。
仮にも日陰ではそれなりに名は売れてたし、実力もあった。
そんな俺が、落とされただけではなく、長い時間目覚められなかったんだ。時計が9を指していたのに、今は3を指しているのが証拠だ。
あのホールドスリーパー、入りも絞めも完璧だった。油断していたとはいえ、ここまで落ちていれば、奴の実力が本物だと認めざるを得ない。
だが!俺にもプライドがある。この借りは明日にでも必ず返してやるからな……!
「殺気が出てるよー」
「は!? 悪い……気にしないでくれ。それよりも待っていてくれたのか?」
「うん。流石に放置する訳には行かないし……それに明日以降の予定も伝えなきゃだしね!」
「ありがとう、助かる」
「気にしないで!友達じゃんっ」
ユミの明るい表情に、俺まで笑顔になってしまう。
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俺はユミから明日の予定を聞き、途中まで一緒に帰った所で別れた。
今日は新学期と言うことで日中に登校だったらしく、明日からは夜間に登校するみたいだ。
17時30分までに登校、そこから21時50分まで授業を行い、23時30分までには完全下校をしなければならないらしい。
それと俺のクラスは3ーG組のようだ。
なんか思ってたのと違う。
俺、こういう学校生活を送りたかった訳じゃない。
とりあえず今やるべきことは2つ。
今日中に仕組屋へクレームを付ける。
明日中に肚州と再戦する。
時間は17時近い。俺は自宅であるマンションへと辿り着いた。
「さて、明日の準備でもするか。学校が始まるまでに、買い物したい所もあるしな」
そこで異変に気付く。
「……俺の部屋に灯りが点いている」
消し忘れ……な訳はないな。となると、誰かが侵入している。
「……泥棒か、また親父か……」
どちらにせよ、またしても罠を無効化されたって事か。
それなりの手練れかも知れない。だが━━━
「もう油断はしない。本気で捕りに行く!」
『to be continued』
どもども、焔伽 蒼です!
困りました。
ネタや展開は直ぐに思いつくのに、手が追いつかない。元々、時間的な理由もあるのですが、最近は私用が忙しくて……。それはそうと、今期のアニメは面白いのいっぱいありますよね~(笑)
か、勘違いしなでください!け、けけけ、決してアニメ見ていたら手が止まっていたとかじゃないですからね!?小説創りはアニメ見る並に楽しんでますから!人に見せるの楽しいですから!
・・・・・・すいませんでした。