Target031「条件」
【4月13日(日) 18時50分】
俺を含む終末の宴の面々は、赤髪の亡霊を倒すなり早々に陽西学園を跡にした。
その理由は、地下要塞学園の教師達が近付いて来ていたからだ。
いくら休日で地下には誰も居なかったとしても、宿直がいるはずだ。曲者揃いの教師陣がな。気配に気付かない訳がない。外から2、3人の足音が尋常じゃない速度で近付いて来た為、騒ぎになる前に撤退したのだ。
今居るのは陽西学園から坂本宅の帰路途中にある大きな公園だ。
よもぎ公園と言う名前で、森並みに木々がたくさんあり、そこを散歩コース等を作るために開拓、中心には噴水広場があって夜は街灯とライトアップによるイルミネーションが人気のデートスポットとしても市民に愛用されている。
「人払いは済んだわ」
現在、この公園には俺達以外の人が居ない。
会話するにあたって、日向者に日陰世界の内容を聞かせる訳にはいかないからである。
「さて、私達〝終末の宴〟は依頼主である〝零弐〟の依頼を成功させたわ」
綺麗な桜色の髪を靡かせて、優雅に決め込む桜花。童顔な顔立ちのせいか気品さを感じられなかったが、まあ背伸びしている子供にも見えて可愛かったから突っ込まないであげよう。
……ただ、ある話題を覗いてだがな。
「話す前に1つ聞きたい……」
そう。俺には上記の件よりツッコまなきゃならないことがある。
「なぜ体育館を爆破解体した!?」
「ああ、そのこと」
なんか「え?そんなことが聞きたかったの?」みたいな顔をされた。
それも桜花だけではなく、ベンチに座っているメアリーも、木に寄り掛かって煙草を吹かすヲンも、噴水を背に直立立ちしている一夜も総応に疑問の表情を浮かべていた。
俺は深い溜め息をする。やっぱり、この常識の欠如には困るものがある。
「え?え?何でそんな残念そうな顔をしているの!?ひょっとして〝また〟!?」
やっと気付いてくれたか。
「まただよ、桜花」
「戦闘の痕跡を完全に消すためにも、派手に爆破してしまおうと言うメアリーの助言は嘘だったの!?」
このやり取りも何度したことだろうか。
我らがボス、花梨桜花さんは天然で純粋なのである。常識を知らないとも言えるが。俺達他の宴メンバーとは違って、桜花は生まれが日陰世界なんだ。しかも、育ての親が〝あのじいさん〟ともなると、常識を知らないまま育つのも仕方がないこと。そこに加えて、人の言う事を何でも信じる純粋さがあるせいか、こうしてちょくちょく仲間に騙される。
確かに爆破による証拠の隠滅は効果絶大だがな。足跡は消し飛ばしてくれるし、細かい証拠も熱で灰にしてくれる。
だがやりすぎだ。もっと、方法はたくさんあるだろうと言いたい。
キッとメアリーを睨む。その嘘丸見えの寝たふりやめろ。
あ、桜花がゆっさゆっさメアリーを揺すりながら起きてと連呼している。あれすらも騙されるか~。うん、稼業柄見破ろうぜと言いたい。……いや、いつか言おう。
「まあ、爆破の件はもういいや。桜花もあんまり騙されないでくれ……この後の話の件もあるんだしな」
「わ、わかった……気を付けます……」
素直な返事だ。
「じゃあ本題に入ろるか。確認するが、依頼達成時に支払う報酬は、金銭ではなく例の条件で良いんだよな?」
「「構わない」」
「即答!?」
桜花やメアリーどころか、一夜にヲンまで声を合わせて即答してきた。
正直、報酬は金銭の方が良かったのだが……まあ、これも約束だ。諦めて条件を呑むしかないな。
「わかった。それじゃあ、条件通りに俺、坂本零弐は終末の宴へ戻る」
桜花とパアア!と嬉しそうに表情を明るくしていた。
「構いません。 お帰りなさい、零弐」
手を差し出してきた。桜花の笑顔を見ていると、自然と気分が良くなるんだよな。
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翌日━━━あれから、宴メンバーとは公園で別れて、俺は帰宅した。
家に帰ると、いつものように葉月と伴音が迎えてくれて、何事もなかったようで安心した。そこからは、普通にご飯食べて、風呂入って、少しラノベを読んでから落ちるように寝たわけだが……まあ疲れていたのだろう。現に今、時計の針は9時を指しているのだが、遅起きした割には眠い。葉月も伴音も学校へ出ていったようで、俺も夜は学校だと思い準備を終わらせ、部屋の掃除に取り掛かっていた。
元々掃除等は週1程度にしかやらないものだったが、新しい家族が増えたこともあり、毎日二人が学校へ言っている間は俺が掃除をしているのである。
まあ、その掃除も間もなく終わるから、テレビでも見て暇を潰すか。
リモコンでテレビを付けると、ニュースが放送されていた。
『━━━昨晩、何者かに爆破された陽西学園の体育館なのですが、犯人は以前不明でテロリストによる攻撃ではないのかと、捜査を進めています。その間の陽西学園なのですが、校長の決定でしばらく休校にするとの事で━━━』
「……え?」
しばらく周囲の時間は止まった。……おかしいな、俺はいつの間にかG級の技を会得したんだ?
『To Be Continued』




