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始末屋だった俺に新しい家族が出来た。  作者: 焔伽 蒼
第三話 襲い来る刺客
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Target029「二一殺人/針師」



【4月12日(日) 17時10分】



俺は陽西学園に向かって歩く。

SDカードの情報で、奴等が次に狙う場所は陽西学園であることが書かれていたからだ。


そこに行けば黒幕に会えるかと予想していたが、どうやら正解のようだった。


その道中に〝狙撃者〟に狙われた。そして、今度は〝二一殺人(ふたひとキリング)〟だ。



「バレバレみたいだな。殺気は消していたのだが」


「そうね。これじゃあカップルを演じる意味もない」



男女の二人一組の抹殺屋、奴等は刀剣格闘術の使い手だったな。

にしても不愉快だな。こいつら以外に気配がない。中位ナンバー程度で俺を殺るつもりなのか?



「お前らだけか?」


「ずいぶん余裕ね、あんた」


「〝針師〟の姿が見えないが」


「!? 情報が漏れてるな」


「ふっ、情報が漏れたかと言って、こいつに何か出来る訳でもないよ。こっちには狙撃者やテトラ様がいるんだから」



この反応……本当に一組だけで襲撃してきたんだな。仲間同士の連携はなし、と。

その証拠に狙撃者がこいつらより先に襲撃してきたことを知らない……情報すら満足に回せれないのか。


こっちには既に狙撃者を倒したと報告が入っていると言うのに。この場に居るもう一人の仲間にな。



「さあ抹殺するわ!」


「諦めて死ね!」



男女が襲い掛かってくる━━━が、その攻撃が俺に当たる事はない。避ける必要も。


キィン!


鉄がぶつかり合ったような音を出す。



「なに!?」


「こいつ……!」



二人のナイフは一本の刀によって、同時に受けられていた。



「やれやれ、零弐殿は相変わらず人遣いが荒い。急な呼び掛けな上に半日で来てくれなんて、オレらでなければ不可能なご要望ですよ?」


「ああ、悪いと思ってる。そして、俺が頼むのも筋違いだって事も」


「まあ依頼ですし、その報酬についても文句はありませんから、良いのですけどね」


「その話は後でな。 ここ、任せても良いか?一夜」



この長い髪を後ろで結って下ろしポニーテールにしている男は一夜(いちや)と言う、ヲンと同じ終末の宴の一員だ。


侍のような格好をしている上に、人の名前を呼ぶときに必ず殿を付ける一風変わった奴ではあるが、その実力は奴等程度の小物ならば簡単に始末付けれる程だ。


因みに侍の格好をしているのは、本人が武士とかが好きなだけで、先祖とかが武士や侍だったわけではない。農村を成功させた領主ではあったみたいだが、一夜はそれを(なげ)いている。


因みの因みに、実家は父方が大きな農家で母方が老舗の刀鍛冶として稼いでいて、資産でみれば割と金持ちである。



「任せてくれて大丈夫ですよ。オレには恋人の凪叉が居ますから」



グンッとキリングの二人を()退()けて、愛刀〝凪叉(なぎさ)〟を見つめてうっとりしているこの変愛趣味がなければ、普通にイケメンなのにと何度思った事だろうか。



「さあ凪叉、共に行きましょう。一心抜刀流━━━」

「変態が来るわよ!」


「気持ち悪いからコンビ技で殺っちまおう!」



二人がナイフを片手に想像以上の速度で迫って来るが、俺としては一夜は目をキランッと光らせた方が恐ろしかった。



「〝木の葉流し〟!」



スラァァと優しく二人の間を無傷で通り抜けた。勝負あったな。



「交わされた!?」


「後ろだ!」



二人が振り返り、再度突撃を仕掛けるがもう遅い。


パキンと二人のナイフは綺麗に柄から刀身部分が落ちた。



「「!?」」


(ばかな……!いつの間に!しかも柄から先を綺麗に斬り取られている!何て剣捌きなの……!)


「〝終劇といきましょう〟。一心抜刀流〝つむじ風〟!」



下から上へ斬り上げられた斬撃に気力が乗り、螺旋の衝撃波となりキリングごと打ち上げた。


空を舞って落ちた二人の衣服は斬り刻まれ、裸体の姿で地面に転がる。



「ばか……な……気力使い……だと……?」


「なぜ……私らの……服を……うぅ……」



パタンと二人は気絶した。



「あれ? 零弐殿、まだいらしたのですか?」


「ああ、思った以上に早く終わりそうだったからな。……それに、もう針師の方も終わったようだし、どうせならメアリーを待とうかなと」


「ああ、途中から近付いていた敵を相手していたメアリー殿も、もう終わりそうなんですか」


「終わりそうではなく終わったのよ!」



その声のする方を見ると、路地から金髪ゆるふわロールのピンクドレスを着た、ちょっと背が低めの女子が出てきた。

メアリー・フォレスト、フォレスト財閥のご令嬢なのだが、日向の住人でありながら訳あって終末の宴に加入してき人間だ。


4つも年上の一夜と違って、メアリーは俺と同い年だから割と仲が良い方だ。



「それは失礼しました、メアリー殿」


「メアリー、久しぶり。悪いな、急に呼びつけたりして」


「構わないわよ? 報酬が本当ならね」


「お前もその話か……」


「もちろんよ━━━ん? はぁ、まだ動けたの?」



メアリーが見下した先には、ヨロヨロと歩いてくる針師の姿があった。



「まだ負けてない……!」


「あいつフラフラだけど、なに盛ったんだ?」


「神経毒と麻痺毒を針に付けて刺しただけよ?」


「そうか……(可哀想に……早めに倒れて置けば苦しまずに済んだのに……しかも、あえて針で打ち込むとかえげつない)」


「針男だっけ? お前の相手は〝終了よ〟。だから、これで寝てなさいな」



ポンッと投げたのは丸いボール、それが針師にぶつかった瞬間、破裂して黄色い煙と強烈な臭いがしてくる。



「強力な硫黄臭を詰めた球よ」


「うがあああああああ!鼻が!鼻があああああああ!」



断末魔の叫びの後に針師は倒れた。


何だか凄く可哀想に思える。見せ場もなかったし、瞬殺だし。



(メアリーはやっぱり、えげつないな)


「何の騒ぎだ」


「ヲン、もう追い付いたのか」



気付けば、狙撃者の相手をして倒したヲンが、もう追い付いていた。



「ヲン殿、流石ですね。狙撃者は手強い相手だと思いましたが」


「所詮は中位ナンバー、5分も必要ない」


「だね!ウチなんか、3分で終わったし!」


「オレは2分ぐらいですね」


「ああ、言い争いは後にしてくれないか? 速いところ、黒幕を潰しておきたいからさ」



話が長くなる前に終わらせた。



「学園には間も無く着く。皆は周辺に敵が居ないか探りつつ、相手に逃げられないように隠れててくれ」



皆は(うなず)いてくれた。



「さて、学園へ向かうか」



『To Be Continued』

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