Target025「土曜日」
【4月11日(土) 9時15分】
「おっきて━━━!!」
「ぶわぷっ!?」
何だ!?まるで犬にのしかかれたかのような衝撃が!
目を開けると、朝日と共に伴音の顔が目の前にあって……
「って、近ぁ!?」
「わわっ! び、びっくりしたぁ……」
「いや、びっくりしたのは俺の方なんだが……とりあえず起きるから、どいて貰えるか?」
俺の上に乗っかっている伴音を転ばさないように、そっと起き上がる。
そこで異変に気付く。
「何か服に気合い入ってんな。どこか行くのか?」
「うん!映画観に行くの!お兄ちゃんとお姉ちゃんと!」
「そうか。それは楽しみだな」
「うんっ!」
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顔を洗って歯を磨いた頃には目も完全に覚め、伴音が用意してくれた朝食を葉月が運んでいてくれたので、三人で食べ始めた。
「このスクランブルエッグ美味しいよ、伴音ちゃん!」
「ホント!?よかったぁ~。 お兄ちゃんはどうかな?」
「掛け値無しに美味いよ。スクランブルも半熟だし、ウインナーもパリッとしていて絶妙な焼き加減だ」
「えへへ~、二人に褒められると嬉しいよっ」
「そだ、今日ってどんな映画観に行く予定なの?」
「えへへ~、観てからのお・楽・し・みっ」
「うん、じゃあ楽しみにしとくね。ね、兄さん」
「ああ、そうだな。楽しみにして━━━おく━━━か━━━ん?」
そこで先程から感じていた違和感に気付く。
「え!俺も!?」
「あれ!知らなかったんですか!?」
俺と葉月がいまいち噛み合わない会話をしていると、伴音がプフゥ!と吹き出した。
「あははは、お兄ちゃんツッコミおそーい!お姉ちゃんの反応もおもしろーい!ふふふ」
「いやいや、余りにも自然な流れで伴音が言うから気付くのが遅れたわ!」
マジで気づけなかったわ。
「わ、私もだよ~!伴音ちゃんと兄さんが、自然な流れで会話しているから、お互いに話はついているのかと……」
「ついてなかったんだよ、これが」
「ああ、面白かった。じゃ、30分後に出よっか」
「あれ!?冗談じゃなかったの!?本当に行くの!?」
「だめ……?」
目をウルウルさせて、見上げて来る。反則だろ……そのスキル。
「……いや、行くよ。土曜だし、たまには映画も良いよな」
「良かったね、伴音ちゃん」
「うん、良かった!それじゃ、ご飯食べたら準備して行こう!」
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「二人とも私服似合ってるよ」
葉月はワンピースドレスにストールと清楚な雰囲気を出していて、伴音は女の子っぽいチュニックにホットパンツと活発らしさを含んだ姿だった。
「二人とも可愛いよ」
「あ、ありがとうございます……」
「な、なんか照れるね……」
本心を述べただけなのだが、葉月と伴音は顔を赤らめて下を向いてしまった。
こうやってみると本当に姉妹みたいだな。
「さあ、行こうぜ」
「「うん!」」
それから暫く歩いた後に、道端に人だかりが出来ているのを見付けた。
(何だ……? これは血の臭い……)
「何か事件かな……」
「怖いですね……。結構警察の人がいっぱい居ますし、何か大きな事件なのかも……」
「……」
俺は何か嫌な予感がした。現場を見に行かなければと言う気持ちが強くなる。
「……!?」
人混みを掻き分けて、現場を確認する。
マジかよ……ヴェーラ!?
地面に横たわっていたのは、ヴェーラとニコライだった。
(あの出血……いや傷痕から察するに、心臓を貫かれている……この相手を即死させるやり口、スナイパーか?)
そう思ったが、傷口の開き方や血痕の飛び散り方が、銃で撃たれたものではない。
あれはどちらかと言うと、ナイフや刃物……槍や刀みたいな鋭利な物によって一突きにされた感じだ。
スナイパー以外にも敵はいたって事か……ん?
よく見ると、ヴェーラの手が人差し指だけ塀の方へ向けられている。
その不自然さに、指先の塀を見るが何もない。
目を凝らして、辺りを真剣に見てみる。そこで、ある物が落ちている事に気付いた。
(あれは……SDカード?)
『To Be Continued』




