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始末屋だった俺に新しい家族が出来た。  作者: 焔伽 蒼
第三話 襲い来る刺客
23/32

Target023「ニコライ」



【4月10日(金) 20時00分】



(ユミの掛け声で狙撃を交わすことは出来たが、俺と同じ軌道線にいたニコライが気付く事が出来ず、餌食となってしまった。しかも、銃痕は右胸……もろに急所じゃないか!)


「に、ニコライー!」



弟が崩れ去る中、姉のヴェーラが駆け寄っていく。



(ニコライはもう……それに狙撃は俺ではなくニコライを狙ったものだった。となると次は、ヴェーラが狙われる!)


「ニコライ!ニコライ、しっかりしなさい!なんで……なんで返事をしてくれないのよー!!」



タァンッ!



そんな音が聞こえる。第二の狙撃だった。スナイパーライフルは通常の銃の7~8倍の速度を誇る。

音が聞こえた頃には、銃弾は既に相手の懐まで迫っている。この状況からはいくら回避術に優れた人間でも避けることも、防ぐ事も不可能。


だが俺はその常識を覆す。こうなることは、さっきの思考の内に判っていた。

だからこそ、まずヴェーラに向かって走る。同時に狙撃手から第二射が発砲される。そこで右手に持つナイフを強く握り、意識を研ぎ澄ませる。



(聴覚を遮断、嗅覚を遮断、気配を消すのを止め、視覚に全ての神経と気力を集中させる!)



抹殺屋スキルA級〝五感封鎖〟を使い、更に罠張屋スキルB級〝神経過剰〟で視覚を急強化させた。それにより起こる現象〝減速する世界〟のおかげで、今の俺には通常の3分の1にまで時間の流れが遅く感じている。


その感覚で見た弾丸は、それでも尚速い勢いでヴェーラの頭を狙って飛んできていた。



(くそ!これでも間に合わねぇ!━━━なら、使うしかないか!)



俺は加速した。普通の人間には出せない速度で。


技の発動は一瞬、これなら誰にも見られないだろう。


おかげで弾丸より先に、ヴェーラの前へ移動出来た。



(俺の前で二度も殺らせるかよ!オリジナルスキルA級〝弾丸両断(バレット・カット)〟!)



持っていたナイフに気力を込める。そのまま、弾丸の軌道線上に乗せて縦に振った。


弾丸は気力でコーティングされたナイフの刃に当たり、キキンッと火花を散らして真っ二つに割れて、後方に45度に別れて地面へとめり込んだ。



「銃弾を……それも狙撃弾を斬ったの……?」


「うっそー……」



その離れ技には、ヴェーラもユミも心底驚いていた。



━━━━━━━━━━



「俺の弾丸を斬った……何者だ、あの男」



陽西学園の体育館付近をスコープ越しで除いている、黒スーツにロングコートを着ていた男も、その技に肝を抜かれていた。



「まあいい。いかに優れた技能を持っていても、それを(はじ)く物が(もた)ければ意味は持たない」



だが、そんな事を意にも介さず、再びスナイパーライフルを構えて、冷静に今度は零弐を狙う。



「さあ、二発目は防げるか見せて貰おう」



タァァンッ!



━━━━━━━━━━



タァンッ!と、また銃声が聞こえた。

三発目の狙撃か!次に狙ってくるのは、十中八九俺だろう。

まだ〝感覚封鎖〟と〝神経過剰〟は生きている。だからこそ、弾丸は目で追えていた。軌道線上は……なに!?足か!



成る程、俺が狙われる事を読んでいる事をさらに読んで、脳や心臓と言った急所に警戒させて、一番遠い足を狙うフェイントを仕掛けて来たって事か。


相手も実力者だ、それもヴェーラ・ニコライ以上の!

足を射たれたら、その隙に四発目を撃ち込まれて殺られる。かといって、ただしゃがむだけではナイフは間に合わない。


となれば!身体全体の力を一気に脱力させる。


ガクンッと俺の身体は、重力に従い地面に倒れ━━━切る前に脱力した力を気力で瞬発的に込める。地面すれすれの力からの〝弾丸両断(バレット・カット)〟!



キィィィン!



体制の悪さと力の不十分から両断とは言わなかったが、弾丸を弾く事は成功した。直ぐに起き上がり、四発目の警戒に入る。



「はぁはぁ……次はどこを狙う!?」



━━━━━━━━━━



狙撃手はさらに驚いていた。

あのフェイントを見破り、無茶な体制から弾丸を斬った事ではない。



「あのナイフ……刃溢れ一つしないだと……?」



驚いていたのはそこだった。スナイパーライフルの弾丸を二度も正面から受けておいて、折るどころか傷一つ付いていないなんて有り得ない。



「……まさか気力使いか!?」



そう、狙撃手は知らなかった。零弐が気力使いだと言うことを。


元来〝気力使い〟と言うのは、生まれ持っての才能とそれを伸ばす為の過酷な訓練による努力、そして訓練や気力使用に耐えるだけの精神も必要になる。


その為か気力使いは極めて希な存在なのである。



「気力使いを相手にするには、明らかな装備不足だな。これ以上は弾薬の無駄か」



狙撃手はスナイパーライフルを折り畳み、弾丸や固定器具等もアタッシュケースの中へ閉まった。



「依頼は半分達成か。これでは報酬も半分になるが、まあ仕方無い。それよりも面白い男と出会えた」



フフ……と笑い、暗闇の中へ消えて行った。



━━━━━━━━━━



「……殺気が消えた……諦めたのか?」



零弐は警戒しつつ、ヴェーラとユミ……そして冷たくなっているニコライを、体育館の奥へと連れていった。



『To Be Continued』

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