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始末屋だった俺に新しい家族が出来た。  作者: 焔伽 蒼
第三話 襲い来る刺客
20/32

Target020「ライトノベル」



【4月9日(木) 19時30分】



学校が終わってから、俺は葉月と伴音が待っている駅へと向かう。荷物になるから貰った教科書等は置き勉した。

帰る間際に、肚州に「テメェ、目上に対して仕事しろたぁ生意気書いてくれたじゃねーか!」と、昨日黒板に書き置きした事に文句を付けてきたが、そこは逃げてきた。


つうか間違った事は言ってないし、事実を書いただけに過ぎない以上、無理に取り合う必要はないと判断したのだ。

そこのところを肚州も解っているのか、俺を執拗(しつよう)に追い掛けて来ることはなかった。


駅近まではユミと話しながら帰って来たが、寄る所があるというので途中で解散した。

それから東新宿にて葉月・伴音と合流し、現在、電車で新宿へと移動し、漫画・アニメ・グッズ専門ショップ“ゲーマー逹”へ来ていた。



「うわぁー!すごーい!」



伴音は初めて入る店の内装に感動していた。



「右見ても左見ても漫画だらけだよ!?」


「まあな。ここは書籍コーナーだからな。んで、葉月が読むような小説(ライトノベル)はあっち」



指を指して案内してあげた。葉月はポケットから紙の切れ端を出して、それをじっと見ている。


その切れ端には、ラノベのタイトル・出版社・作者の名前が何個か書かれていた。


タイトルを見る限り、知名度のある売れてる作品ばかりだ。中にはアニメ化しているのも含まれていた。



(伴音にススメる用にピックアップしたんだな)


「伴音ちゃん、好きなジャンルとかってあるかな?」


「ウ~ン、恋愛ものとか科学や機械がメインに出るものとかも好きかなぁ」


「それじゃ、こっちに良いのがあるよ!」



葉月が伴音をそのラノベがある場所へ連れていく。


俺も着いていき、そのタイトルを確認する。



「なるほどな。 これなら確かに伴音の要望が揃っている」


「はい! アニメ化も分割2クールで決まってますし、最適だと思うんです!」


そのタイトルは、雷撃文庫から出ている「機巧人形と超科学者も恋愛(ラブ)をしてみたい」と言う物で、内容は意思を持たない人形に、科学者が魂を科学的に吹き込む禁忌を犯す。そして、その技術を求めて襲ってくる敵を意思を持った機巧人形が助け、やがて、二人は恋愛感情を抱いて行くと言う話だ。

ギャグやバトルも充実していて、時には泣ける話しもある大人気ラノベ。

ミソなのは空想科学とも言える超科学者の魔法のような技術と、可愛らしい見た目とは裏腹の機巧人形の圧倒的な身体能力による激しいバトルだ。その展開から、中学生から大人まで読者層を持ち、アニメでは小学生にまで人気が出るほどになったヒット作。


確かにこれなら、伴音もハマれそうだ。ナイスチョイスだ、葉月!



「━━━って言う内容なんだけど、どうかな?」


「うんっ!面白そう! 人形に命を吹き込む……禁忌ながらも科学者なら一度は夢見る技術!そこから生まれる恋愛ストーリーとか、すっごい気になるよ!」



凄く好評だった。


それから“ともラブ(略称)”を持って、しばらく店内を見回してからレジへ行き、俺達も新巻等を購入して店を出た。

因みにユミへのお礼の品もここで買えた。多分これなら、漫画やアニメに興味が無くても使えるはずだ。



「有り難うございましたー!」



店員のあいさつを背に、外へ出た俺達は、近場のファミレスで晩飯を食べて、帰路へ着こうとしていた。


しかし、その帰り道で俺はこの楽しく平和な生活が崩れる号鐘(ごうしょう)を聞くはめになることを知らずにいた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



No side


零弐らを見つめる影が遥か後方の死角にいた。



「坂本零弐ィ……!」


「そんな歯を軋ませて殺気立ててると、零弐に気付かれる。うるさい、黙って」


「うぐぅ!? んだよ~、だって宿敵の坂本零弐だぜ?」


「うるさい。ニコライのテンションには着いていけない」


「んだよ……ヴェーラ(ねえ)はクール過ぎるぞ」


「貴女がヒート過ぎるのよ。ともかく、零弐の身辺調査は終わったわ。準備にかかるわよ」


「おうよ!復讐の時が来たぜ!」



二人は暗闇へと消えた。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━



━━━翌日。



零弐が学校へ登校するのを見送った葉月と伴音は、片付けや食事の用意を終えた後、昨日買い物してきたラノベを読んでいた。


葉月も買った新巻を自宅なのに、零弐にプレゼントしてもらったブックカバーを着けて楽しんで読んでいた。



「ラノベって面白いね、お姉ちゃん!伴音、小説も好きだったけど、このラノベって言うのも違った感じで楽しく読めるよー!」


「良かった……。それはね、2巻の後半から特に面白くなって来るんだよ」


「ホントに!?楽しみだなー」


「そう言えば兄さん、今日テーブルマナー教室何だよね。どんなことをやるんだろうね」


「そだね。高校って凄いね。聞いたことのない授業ばっか。なんかたのしそー」


「うん、今日の夕食は兄さんの上品な食べ方が見れるね」


「あはは、だねー」



二人は再びラノベを読み始めた。


この時、零弐・葉月・伴音は知らなかった。今まさに敵が陽西学園へ近付いていた事に。



『to be continued』

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